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[nikomat:03003] F# and NA and Resolution



ニコンの馬込です。

新人のくせしていっぱい出場していてすみません。
吉田さんから、Fナンバーと深度、35mmと中版の話しが
まだ中途半端なので、・・・といわれ、キーをおしています。
まだ、日本の領空圏です。

1)Fと深度
        まず、収差は考えない、フィルムの粒子も十分小さい時。
レンズの絞りの直径をD、焦点距離をfとすると、F=f/Dは
Fナンバーの定義です。フィルム上で、ぼけの大きさが直径dまで 
許されると、深度の片側sは、比例関係から、F=f/D=s/ d。
よって、s=F・d から、±sの深度がえられます。 
これは、Fが同じなら、同じ量の深度です。

次に、最終的に同じ大きさに引き伸ばすとすると、35mmに比べて
フィルム面積が、4倍の中版では、印画紙でのd35=2*d中版
より、深度は2倍かせげることになります。
(中版のぼけは2倍 許される:拡大率が35mmの半分だから)

これは、中版のフィルムや像面の平坦度の許容をゆるくするのに
役立っています。

2)情報量
光学では、Information Volume(IV) という定義があります。
IV=フィルム面積/点像面積 です。
点像直径 d0=Fλ・・・・・(1)
 ですので、同じFでは、中版が4倍 もあります。
よって、デテイルが良いのです。
さらに、同じ種類のフィルムをつかえば、引き伸ばし倍率が小さい
分、中版は画質がよくなります。

3)収差があるとき
いままでの話しは、無収差でしたが、現実には収差が在ります。
だいだいF=8位までは絞った方が点像は小さくなりますが、
それ以上では、逆に式(1)から、点像はおおきくなります。

昔、F64クラブと言うのがありましたが、・・・。

いままでの話しでは、F>8ならなりたちますから、この領域では
中版の勝ちです。

さて、同じ開放Fナンバーでは、レンズの大きさで収差がどうなる?
これは研磨精度からいって小さい方が楽、軸ずれなどの組み立て
公差は大きい方が楽、色シュウサは焦点距離が短い方が楽、
値段では、小さい方が安い。

ほとんどは、この値段により、同じ画角では中版レンズの方が
Fナンバーが大きく(暗い)レンズになっております。

F<8ならどうか?
レンズには比例拡大の法則があって、すべてをn倍すると
シュウサもn倍になって設計できます。
よって、同じタイプのレンズなら同じ面積に引き伸ばすなら
同じぼけになる、よって、フィルムサイズによらず同じですが、
粒子の関係で中版の勝ちです。

4)CDのレンズ
CDのピックアップレンズは小さいぞ!でも解像力がいいぞ!
これは、とってもきつい仕様・使用の制限があるからです。
でも、結局、ちいさいほうが、値段の割に高性能になります。
その制限とは、小さく軽い事(トラッキングやAFの周波数応答)、
波長が単色(レーザ)、物体と像の位置が一定、物体の面積が極端に
小さい、解像力限界で使うが特色です。

これらは、カメラレンズとだいぶ違います。しかし、カメラレンズも
単色で使うと解像力(点像のちいささ)ははっきりよくなります。
色フィルタをかけて取った事のある方はご存じでしょう。
それに物体の面積、物体の位置の制限も重要です。

CDのレンズは解像力の限界でつかいますので、上の式からF
ナンバーは非常にちいさくなります。実はそうなってくると
解像力はFではなく、NA(開口数)であらわすのが正しくなり
ます。F=f/Dでしたが、NA=n・sinθです。
nはレンズと物体のあいだの屈折率で、空気なら1、
θは物体の中心からレンズのもっとも外側を通る光線の角度です。

つまり、θが小さければ、F=2tanθ=2sinθ=2NA
で、FとNAの関係がわかります。

このNAをでかく、シュウサを無く、軽くするためにレンズは
小さくしないと飛んでもなく高価になります。顕微鏡も同じ。
実際のNAは、0.7程度、波長λ=.7ミクロン、として
分解能=λ/2NAより、.5ミクロンくらいです。
さらに、青色レーザなど(λ<.5)を使ってがんばります。

ちょっと違うのがステッパ用レンズですが、長くなりましたので
これにて、・・・結論:持ち運 びに苦労なく、お金があれば
フィルムサイズは大きいほどよく(分解能・情報量)撮れる。
大きい程よい。

最後は横須賀線の中で、
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    馬込 伸貴 ∈ (株)ニコン 精機・開発推進室(大井です)
             magome@nikongw.nikon.co.jp ,  IFOS = nba3194
                          ext.7321-4281, tel.03-3773-8502, fax.03-3775-9042