[Date Prev][Date Next][Thread Prev][Thread Next][Date Index][Thread Index]

[nikomat:05281] Re: The aftermath of the first off-sitemeeting (Planar with the F mount)



ひうら@きょうだいです。

光学はかじったばかりなので、勉強させてください。

> >本当にドイツレンズだけがそうなるのか?
> >コレもボケ量などによりますが、ボケで木の地肌が、汚くなってしまうようだと
> >(コントラストの低下よりも)擬解像がおこれば、空気感はなくなり、ぎとぎとが
> >見立ちます。ちょっとこの辺に違いが出るかも知れませんし、絞りとボケと木の
> >間隔に依存します。

このあたりは特に、Ai50/1.8 とか Auto の 1.4 などだと気になりますね。
105mm/F2.5 もその気あり。50/1.2 は自然なことが多いと感じます。

実はチャートを CCD カメラで取ったデータがたくさん手元にあります。
合焦と、その前後 1mm づつ像面をずらしたときの前後ボケのセットを、
開放と F2.8 について一通り試したものです。大したデータではない
ですが・・・

この結果では、収差はよく取ってあるが、わざと擬解像でみかけの解像
度を上げているわけではなさそう、ということでした。
前後でいろいろ異なってきたりはしますが・・・
この結果 105mm を今実験に使っています。

あと、1/3in の CCD ぐらいでは、なかなか評価に値しませんね。
30line/mm ぐらいまでしか見えません。で、こいつらは開放からもっと
来るので、だめでした。

#最近ランダムパターンを撮影してひたすらフーリエ変換したりしている
#ので、この辺のプログラムを使えば、嘘っぽい MTF なら出るかも。
#チャートの質や、照明などの再現性がぜんぜんだめですけど。
#ちなみに僕の研究は、絞りのところにいろんなパターンをおいて、
#それによりデフォーカス前の画像を復元、距離推定をやってます。
#超ハデな擬解像を非等方にわざと発生させて利用するわけです。
##この間の合宿で、スペックルを一度ランダムパターンとして使って
##みようか、と思い付きました。 (_o_)--> 馬込さん

> Lの顕微鏡の像のキレは実に見事でした。Zなんぞパンフォーカスというか、
> 焦点深度が深いので有名だそうです。どちらもボケが云々、というイメージ
> じゃないです。

このへんは良く聞きますね。対照的に、ニコンは焦点深度が浅いそうな。
対象によって使い分ける(顕微鏡のフォーカスを移動しながら、層毎に
移動しつつ三次元構造を観察するような場合はニコン、みたいに)する
ひともあると聞きました。

合宿で数人の方と試してみましたが、Planar と Nikkor MF の 85mm/F1.4
が明らかに異なるのが実感していただけたと思います。

Planar は焦点深度が深く、ソフトフォーカスレンズみたいに、ピンだし
するのに、ううむ、と迷ってしまうようなところがあります。Nikkor は
浅いので、ここ、と決めるのはわりとたやすいです。デフォーカスに伴
う解像度のピークのグラフが、とがっているんですね。

そのかわり、Planar は開放での解像度がやや甘く、バストアップぐらい
で人の肌のキメ(ほくろなどではなく、毛穴や肌のざらざら)がうまく
つぶれてくれて、アタリ写真につながるような気がします。
で、2段ほど絞ると、改善してくるから、おもしろいものです。

Nikkor 105mm だと、「ああ、そばで見るとこんなんだよね」って感じの
肌のキメになりがちです。女性なんて、人の年齢を、肌を見てピタリと
言い当てますが、こんな感じです。

> はて、高解像度で有名なビオゴンってボケはどんなでしょうか?
> 解像度をギリギリあげてあるから、すごい2線ボケとか。 −>日浦さん@弟

そんなことはないようです。というより、超広角のくせに、中心でも
周辺でも、絞りの形が綺麗に見えるような点光源のボケ像のようです。
解像度を上げるのに擬解像を利用していれば、そうかもしれませんが、
いわゆる理想レンズが2線ボケというわけではないと思います。

----
馬込さんのまえでこの手のことをいろいろ言うのは気恥かしいですが、

波動光学効果によるエアリーディスク径を越えた解像度を達成するのに
周辺部の光量を中心部の光量に較べて強くする(2線になる)ことに
よって実現する Super Resolution とかありますが、通常の写真レンズ
の開放側では幾何光学的に解像度が決まってくるので、擬解像しないと
解像度が上げられない、というわけではないと思います。要は、幾何的
に完全に収差を取ればよいと思います。F1.4 のレイリー解像限界って
1000line/mm を越えてますからね。幾何的に無収差だと、このあたりま
でフラットに来るはずです。

○2線などの収差により、見掛けの解像度を高くすることができる
×解像度を高くするためには2線にならざるを得ない

ですね。レンズ枚数の制約などにより、「うーもぅこれ以上光束が絞れない
なぁ」という段階で、どのようにチューニングするかによって、素直
な集光特性にするか、それともやや光束を片寄らせて、高周波成分を
持ち上げるか、というチューニングはなされているでしょうね。ここで、
合宿の時に出た、「レンズ構成は変らない、面の細かいパラメータが
変るだけ」という話につながるのだと思います。

あと、「高解像度と低解像度のコントラストはトレードオフ」というのは、
波動光学的結像の元での話ではないでしょうか??写真レンズでは、
高解像度にすれば必ず低解像度側のコントラストを犠牲にしないとだめと
いうわけではないと思います。

えらい基本的なところですが、どうでしょう??デフォーカスすると
どんどこ高周波が下がって来ますよね。でも低周波は上がってこないです
よね?

#ただし、完全無収差のレンズで、円形の均一な開口であれば、デフォー
#カス時に若干擬解像は発生しますね。収差の付与や、外周に行くに従い
#暗くなるフィルタによりこれを消すことは出来ます(波動光学では
#apodization というのがあります。フーリエ変換の窓関数といっしょ)。
#だから、無収差=擬解像なし、ではないですね。

あと、「霞」と、空気感について、ですが、普通空間周波数の高い
ところが落ち込むと自然なボケになりますが、逆に、低周波の部分が
落ち込むと、かなり離れたところの明部の光が入ってきて霞がかかった
ようになります。霞がかかっても、依然、ウスボンヤリと細かいところ
まで見えるものです(芯がある)が、これは高周波成分が残っている
からだと思われます。つまり、「デフォーカス部が、霞がかかったよう」
になるのは、通常の無収差のデフォーカスではなく、球面収差を
伴うボケによってこのような周波数特性の乱れが生じ、それによって
低周波部がコントラスト低下しているから、という可能性もあります
よね。

あと、ぼけの評価ですが、よく雑誌などではとてつもなく大きくぼか
していろいろ云々しているのが多いですが、そもそもボケ味が出るの
は微量にデフォーカスしているときで、大きくぼかすとどのみち完全
円開口のボケに近づいていきます(蹴られの効果を無視すると、です
が)から大差なくなってくるはずです。このあいだの単行本でも、
ズマールやズミクロン、Nikkor S.C 50/1.4 などを比較しているのが
ありましたが、「これじゃわからん!」って思いました。

間違い等のご指摘、待ってます (_o_)