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[nikomat:07429] Re: Isetan '97



私よりも一回りは年長とお見受けする、まごめ膣腸様に古人と呼ばれた
こやの@筑波大学です。昨夜遅く、MHI探検から戻って参りました。
260通を越えるメールがたまっており、大変でした。
十六夜物語ではありませんが、高砂への道をレポートします。

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MHI講演の準備のメドが付いた土曜の夕方。さて、どんな服装で行く
かな?、と考えて青くなった。そう、背広のズボンが入らない。テキサ
スで蓄えた贅肉がまだとれていなかった。これから予定されている仙台
の学会、神戸の学会なら壇上で15分我慢すればすむから何とかなるが、
3日間は耐えられない。紳士服の青山に駆け込んだ。1万円の予算では
高田さんサイズの背広しか売っていなかった。やむなく、カードを使う。
伊勢丹ではなく、ここでカードを出すことが口惜しい。

日曜、朝一番で裾上げがすんだ背広を取りに行く。途中、出来上がり予
定時間まで10分あったから、改修予定の高田神社を見ようと車で通り
かかると神主さまが出てきた。首からF4sは下がっていなかった。こ
のサイズの拝殿の軍艦部再塗装なら400万円かかるのも無理あるまい
て。

新幹線でOHPの仕上げをして神戸に着く。カメラ抱えた三菱重工・高
砂研究所の日浦所員が出迎えてくれる。なんと、京都から兄じゃも来る
といふ。カメラ屋何軒かまわるも成果無し。AR−6のみ。釜飯屋で、
ヲタク話が始まる。兄じゃのレース写真を見る。FE2にこだわるわけ
が分かる。レース車なんぞはどうでもよくて、レースクイーンの豊満な
肉体を執拗に追いかけておった。かくして日中シンクロは必須である。
う〜ん、若いのぉ。とても風景写真などとれるような御仁ではない。
50/1.8とか105/2.5とか、開放では解像度がいいけど絞っても良くはなら
ない。大口径を絞るとこれらよりぐっと良くなる。コンパクトだけど所
詮は安レンズ。50/1.8なんぞボケが汚いと見解が一致した。やはりAF85
/1.4Dである。AFレンズは結晶塗りのものを買わないとダメである。
 しかし、頭の回転がやたら速くてヲタクな息子2人をいっぺんに作っ
てしまった御両親とはどんなお方であろうか。

月曜の朝、高砂駅に御簾のかかった牛車(デボネア)がきた。工場の門
を通ってから研究所まで遠いこと、遠いこと。スケジュールの打ち合わ
せの合間にMHI高砂の電話帳をみる。その一ページ目の最初に 日浦
所長 とある。取締役である。一方、高砂研の所員の机配置と電話番号
の図もあった。当然、機器・自動云々室に目がいく。日浦所員の位置は
部屋の隅で後ろは壁、隣は空席であった。トラフィックの多い此のML
に日中参加できる理由が分かった。まじめに仕事しているんだろうかと
心配になる。

実験棟に行く。建物の名前を説明される。H棟が本館、K棟が化学、
N棟が熱、HT棟がハイテク、KB棟が化学・分室、、、、である。
なぜかニコンの型番、日除け、ねじ込みで HNー1を思い出して笑っ
てしまった。これぞ三菱系の文化であろう。装置の軍艦部を開けて調整
をやってあげた。浜名湖のよしだカメラ状態である。

#ワタシの実験は油まみれにはならない。が、被爆する。

午後から講演である。巨大研究所の人が相手であるから緊張する。セオ
リー通りに、
1)不確定性原理とハイゼンベルク線幅
2)格子振動の量子化とデバイ近似
3)1次摂動による原子核のエネルギー準位の分裂
4)準位間の遷移確率に量子化軸とγ線のなす角が与える影響
云々と喋ったが、聴衆の様子がおかしかった。翌日の見学の後で気がつ
いたがMHIは「機械系」の会社であった。機械の人を相手に基礎を省
いた量子力学の話はちいと酷だったかもしれない。機械系でも、古典文
学にも造詣の深い馬込失調なら御理解いただけたであろうが。日浦所員
が来たら3か4あたりを計算させて、出来なきゃSWCを手みやげに筑
波に帰ろうと思ったが残念であった。

一休み後、実験を指導する。たまたま写真屋が来ていた。道具箱を覗くと
カメラはF3、三脚はジッツオ407CL、レンズは50ミリのマイクロ
に、AiS28/2.8、AiS35/2が入っていた。夕食後、ホテルに戻る。
翌朝は三菱の紋を付けた牛車がホテルに来てくれた。お目付が居ないか
ら御者から情報を収集する。
1)車通勤の社員が多いが、三菱の車でないと構内に入れてくれない。
2)三菱の車に乗るとガソリン券が支給される
3)三菱の車は3割引で手に入る。
なるほど。三菱の車が多いわけだ。私のクルマはミラージュだし、テキ
サスでもミラージュだったというとMHIの人は喜んだ。

午前中はデータの解析を指導する。高砂研究所の所長さんと昼食を取る。
”どこでもお好きなところを見学して下さい”と仰るので攻撃目標が自
ずと定まる。午後から見学である。
各種機器の大きさに圧倒される。タービン材料のところでは金属顕微鏡
が沢山並んでいた。全部ニコンである。
Q:”なんでニコンばっかりあるんですか?”
A:”三菱系だから、いや、性能が良いからです。オリンパスも使って
   ますよ。”
とはいうものの、一台も無かった。L教、Z会の顕微鏡もなかった。

ふと見ると、日浦所員が以前報告した写真屋さんの巣窟があった。
”ここをみたい”というとお目付はビックリした。所長がOKしたんだ
から強気である。F3にマイクロ50ミリでタービンの写真を撮ってい
た。ライティングが参考になる。奥がミニラボになっていて、現像機が
2台とプリンターがあり、女の子がプリントしていた。入口脇に80セ
ンチぐらいあるベローズが複写台につけてあった。後ろはFマウント、
レンズは見たこともないマイクロニッコール。3倍、5倍まで拡大でき
るそうである。   −>日浦所員、調査して下さい

最後にプラナー100ミリを送ったことのある建物に行く。入口のそば
には軸受けばっかり。奥に謎の鉄扉が閉まっている。ここにアジトがあ
るに違いない。此の部署の所員を引っぱり出すことにする。予想どおり
H所員が出てきた。アジトの中はガンダム状態であり、息子を連れてき
たら大喜びしたであろう。展示物を見る限り、日浦所員はちゃんと仕事
しているようで安心した。しかし、その作品のデザインはヲタクである。
ペイントを迷彩色にして光線銃でもつければ兵器ヲタクが泣いて喜ぶと
おもう。本当にレンジファインダーの研究をやっていたんでびっくりし
た。研究費でニコンSPが買えるのではなかろうか?

午後5時、牛車で駅まで送ってもらい、筑波に帰ったら夜の11時すぎ
だった。



古谷野 有@筑波大学低温センター
koyano@bk.tsukuba.ac.jp