[Date Prev][Date Next][Thread Prev][Thread Next][Date Index][Thread Index]

[nikomat:13557] Re: [Leica] E60



日浦@MHIです。

SATO Yoshiyuki <sato@cyg.fuji-ric.co.jp>:
>さとう@丹後屋です。
>
>しのじまさん:
>> 1.3m位の距離で二重像を合致させてピントを合わせ、開放から一段づつ絞って
>> 撮って行くと、現行レンズは、焦点位置の移動があって、結果は後ピンにな
>> ります。開放では確かに良いのですが、f4あたりでは15から20cm位後ろにずれ
>> 被写界深度内に入りません。つまりボケます。バストアップで睫毛にピント合
>> わせて撮ると、じぇーーんぶ後頭部にピントがくるっていう楽しいレンズです。
>> 開放かf8以上に絞れば問題ないようですが、中途半端は最悪だと思います。
>これ単純に計算して、球面収差の最大膨らみがF4のあたりで
>0.2〜0.3ミリということでいいんかしら?でかすぎる!
>雑誌にのってるのは大体0.05〜0.1。

0.3mmぐらいの球面収差を持ってるレンズって多いんじゃないかなあ。
ゾナー50/1.5やヘクトール73mmなんてもっと大きい。(古いからだけど)

F1.0で0.3mmだったら被写界深度よりはるかに球面収差がおおきいですね。
そんなレンズ,開放ではボケボケで使い物にならないんじゃ,とも思われますが,
開放側でRFが調整されているなら,「芯のまわりをフレアが包む描写」となって
まあ用途によっては上手に使えてしまったりしますね。

#中間絞りでは,しのじまさんのおっしゃるとおり使えないだろうけど....

というのは......ノクチの収差図は見たことないですが,
書物に載っていたとしても収差図は無限遠ですが,ここでは近距離での収差です。

このレンズの場合,絞れば後ピンということで,近距離ではアンダーコレクション
でしょう。収差図は,いきなりマイナス側に離れていって,F1.4あたりから縦軸に
並行になってF1.0まで伸びるような形をしてると思います。
無限遠でフルコレクションになっていたしても,近距離ではアンダー側に倒れて
くるのかもしれません。

こういう場合,F1.4からF1.0までの外側を通る光は一点に集まります。近距離で
開放側にRFが調整されてるとすれば,これが芯をつくるでしょう。
F1.4から内側はボケになりますが,内側に行くに連れて面積は小さくなるので,
このボケが作るフレアは薄くかかるでしょう。

逆に,近距離でもフルコレクションのままだったりオーバーコレクションに
なったりすると,絞りによってピント位置が行ったりきたりしますし,
もっと複雑な点像になるでしょうから,描写がいやらしくなる(としか表現
できないなあ)可能性もあると思います。

ということで,ズミクロンをお持ちの古谷野さんは開放でしか使わないだろう
からこのレンズでもいいのでは?と思ったりもします。
逆に言えば,RFをよくそこまで調整したな,と思うわけです。設計思想?は濃い。
昔々のズマリットは明確なアンダーコレクションですが,そういう描写をねらった
のかも???

#絞りと距離で立体カムにしたらおもしろいのに。現代のAFは電子的にやってそうだが。

#現行プラナー85/1.4もこの手の収差ですが,スプリットやマイクロでピントだすと
#はまります。こういうレンズにコンタックスAXを組み合わせるのはまずいと思う。

----
日浦 亮太  Ryota Hiura
三菱重工業(株) 高砂研究所 機器・自動化装置研究室
email : hiura@trdc.mhi.co.jp (Office)
        ryota@d1.dion.ne.jp  (Mobile Terminal)