[Date Prev][Date Next][Thread Prev][Thread Next][Date Index][Thread Index]

[nikomat:25812] Re:Camera rotation



日浦です。

>  > ところで F5 のパンフの「動体予測」のところは、かっ飛ばす
>  > ランサーエボでしたが、F100 のパンフは、GT とか NASCAR 系
>  > ですね。ポルシェの写真が説得力あります ^^;;;;
> 
> あのランエボは さすがに+補正だろうと思っていたのですが、
> よく考えると、周囲の色(RGBの濃度値)から、ボディが白
> (+2EVあたりで良い)だと判断するに足る情報は得ている
> んですよねぇ? つまり、他の色さえ混じっていれば、白〜灰
> 〜黒 のモノに対しても、補正量は ある程度推測可能ですよね?
> 
> # 少なくともそういうアルゴリズムは実現可能なはず。

うーん、可能でしょうか?

赤い部分がくすんだ赤(反射率が半分)で、白いところも実は
反射率が半分のグレーである、暗めのカラーリングの車と
区別することは理論上出来ないのでは?

というより、内蔵露出計では、あくまで反射光を測定するので、
反射率が半分の世界を正しく、暗く描写することは出来ないはず。

対象(この場合、車)が画像全体を覆っていないとき、その周囲は
元の反射率なので、そこを基準に露出出し(たとえば、周囲が
土色だけど、こういう色相・彩度の物体は、自然界には、ある決まった
範囲の反射率のものしか存在しないから、信頼のおける情報源だと仮定)
すれば可能と思いますが・・

#被写体の反射率が正しく再現されているような写真が
#適正露出であると仮定した上での話です。
----

フィルム上の情報量が最大になるような露出が適性露出と考える
なら、既存の中央重点露出や、数エリアの露出計に比べ、
マトリックス型の露出計は有利というか、完全ですね。
反射率が標準露光量プラスマイナス 2.5 段に収まる画素の数が
最大となるように露出を決定することが可能ですから。

#でも F5 のカタログを見る限りでは、そういうことは
#してなさそうですね。画面の最大、最小輝度,コントラスト
#等を使う、従来からのマルチパターン測光方式を踏襲している
#ように読める。
#そのかわり、実ショット解析結果(先験的知識の導入と言っても
#いい)が導入しやすいというメリットがあるから、そうやって
#いるのでしょうけれど。

それと、やはり、カラーの露出計がいいと思うのは、

例えばモノクロの露出計で、無彩色のシーンを撮影すると、 
RGBともに 18% のグレーの露光になる。しかし、新緑の木立など
いわゆる原色中心のシーンだと、無補正で画面全体を平均すると
1.5 段オーバーになってしまい、明るめのところはつぶれて
しまうでしょう。これは皆さんご存じの通り。

こういうのは熟練した撮影者ならすかさず補正するところですが、
カメラ任せでは出来なかったわけです。で、なんでこんなに
普通のシーンなのに、こんなにオーバーなの・・ということに
なります。

#そういう意味では、旧来のカメラの露出計は、モノクロ時代から
#本質的な進歩がないと言うか、カラーフィルム対応になってない。

その点 RGB だと、もっとも明度の高いチャネルを優先するような
計算をすることによって、こういう問題が減らせます。

物理的に考えても、物体の反射率は普通100% を越えることはないので、
「真っ赤」な物体の、R channel の光量が、真っ白な物体の R channel
の光量を越えることはないのです。つまり、最大値を優先して反射率を
考える、というのは妥当です。

#普通・・と書いたのは、小城さんのメールにも関連するのですが、
#蛍光物質は見かけ上 100% を越えることがあるんですよね。
#紫外線が多いと、可視光領域で発光するわけですから。
#そういう意味では、あらかじめ入射式なり標準反射版なりで測定
#した結果を使うと、オーバーになる危険性がある。
#それを考えると、RGB の露出計を頼りに決めていく方が正確に
#なる可能性は十分ありますよね。

人間の場合も、実は物体の明度は、そのエネルギーの積分値を
そのまま感じるのではなくて、最大チャネルの明度に近い感じ方を
します。信号機の色で黄色が特にほかより明るいと感じないし、
よく ちまたで見かける LED マトリックスディスプレイ(赤と緑の
LED が1パッケージに入った LED を並べて、赤、緑、黄色の表示が
出来るタイプ)なんかを見ていても、黄色が特に明るいとは感じない。

#つまり NTSC テレビ信号の明度の定義は、感覚的な明度に対応して
#ないわけですね。白黒写真だって、感覚に一致した画像かどうかと
#いうと、実は疑問が残る。鮮やかな赤だって、暗く写っちゃうもん。

つまり、フィルム上の情報量という考え方からしても、人間の知覚
というものを考えても、やはりエネルギーの平均が同一になるよう
にすべきではなく、最大明度の原色チャネルを重視した露出を
与えるのが正しいように思えます。

ということで、F5 の露出計は、出たときから、おお、着目点が
すんばらしい。・・と思ったものでした。
やっとカラーフィルム対応の内蔵露出計が登場したと言っても
過言ではないかもしれない。

---- 日浦慎作    Shinsaku HIURA ----