[Date Prev][Date Next][Thread Prev][Thread Next][Date Index][Thread Index]
[nikomat 1708] Re: Red Dot
よしだ っす。
In message <199902030905.SAA54078@ml.asahi-net.or.jp>
"[nikomat 1665] Re: Red Dot "
"Takeshi AKAMATSU <tak-qzb@ra2.so-net.ne.jp>" wrote:
> いえ、負けたのはこの べろ の先端についていて鏡胴内側にあるヘリコイド
> リング(というかなんというか、ふつうボディについているコロを直接おす部分)
> に接触している小さなコロです。(ボディのコロを べろ が押すのですが、そ
> の反対のレンズの側にも べろ の先端に小さなころがついています)
> これが回転しなくなっているのにそのまま使ったので、コロはもう半分くらいに
> なってしまっており、ヘリコイドのほうもおそらく削れているとおもいます。
ヘリコイドの位置の伝達経路が、
A距離計内可動レンズ
|a
B カンチレバー
|b
C ボディ側コロ
|c
D レンズ側ベロ
|d
E レンズ側コロ
|e
F ヘリコイド筒
に なっているんですね?
んで、Eの自由度は光軸方向、Fの自由度は光軸方向と光軸に垂直な方向
ですので、「レンズ側コロの回転軸がベロに付いている」なら、「レンズ
側コロが(回転しないせいで)削れている」ということは、摩擦の発生は
eで起こっているはずで、そのために F のほうも 削れていると思うわけ
ですよね?
部材 X に用いている 材料を Xm とし、 Xm の硬さを H(Xm) とすると、
(case-1) H(Em) > H(Fm) なら、 F は削れるが E は削れない。
(case-2) H(Em) = H(Fm) なら、 F も E も 削れてしまう。
(case-1) H(Em) < H(Fm) なら、 E は削れるが F は削れない。
です。
従って、Eが削れているからと言って、必ずしもFが削れているとは限り
ません。
*****
こういう理由で、「ライカの巻き上げギア機構で 最も 寿命の短い 歯車」
は、意図的に そういう材質で設計された のだと考えるのが自然です。
つまり、ギア機構全体の寿命を その歯車に 集中させるのです。従って、
このギアさえ交換すれば、新品同様に 復活するのです。
そうしないと、「ギア機構全体の交換しないといけない」という修理が
必要に なるからです。
だから、「関東カメラ や カメラクリニック は ド素人だ」と 私は言って
いるのです。
この「1つの歯車に寿命が集中していることに対するコメント&対策」は、
関東カメラ = 経験的に「ライカのギア機構は 注油しないことを前提に
している」と 主張し、油分を ベンジンで取ってしまう。
(yd註)歯車は線接触なので、そんな歯車機構は(低摩擦処理されて
いない限り)存在しないし、ライカのギア機構は そういう処理
をされていない。また、肉圧の大きい歯車同士(接触する線が
長い)での伝達部が多いので、高い粘度の油が必要(油切れ
しやすいから)
カメラクリニック = 「ここの歯車の代わりに、他の歯車よりも硬いステンレス
材を用いれば良い」として、そういう歯車に変えちゃう
し、更に 厚顔無恥なことに、この歯車を単体で売っている!
(yd註)他の歯車の寿命を早めるだけで、逆に「その交換した歯車以外の
全ての歯車を交換する」形で 寿命を迎えることになります。
なお、この件については、さすがの H師匠は 同じ見解でした。
ちなみに、この「寿命を一気に引き受けている弱い歯車」は、一番交換
し易い歯車であることからも、この「材質選び」が、「先々を見越した
マトモな機械設計者による 意図的なもの」であることを裏付けてます。
-----
吉田幸司 (株)ニコン zip.140-8601 <yd@nikongw.nikon.co.jp>
精機事業本部 半露3-10G | 技術開発本部 技開2-2G
voice: 03-3773-2846 | 03-3773-1111 (ex.2772)
fax : 03-3775-9042 | 03-3773-1167