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[nikomat 2166] Zunow Report
まごめです。
品川ルノアールおふみでゲスト出演の小澤@にこんの Zunow Reportです。
明かされる、いろいろなこと!
#お楽しみださい!
1999,2,15
半露1光 小澤
件のZunow(旧型)は、5138番でした。つまり、大西さんが持って
いらしたレンズが巡り巡って私の所に来たわけで(本当は大西さん-->
レモン社(委託)-->私かもしれませんが、もしそうなら、値札に”S
マウント”と見えたのは私の早とちりだったかもしれませんね)...。
いやぁ〜! 世の中は狭い(大笑い)!!
追伸:
これで私の手元には新旧2種類のZunow(旧型はCマウント、新型は
Lマウント)が有る事になりますが、この2本を見比べてみるとマウン
トの違いのほかに色々と異なる点がある事が分かります。レンズ構成は
もちろん違うのですが、それ以外に
1)コートの違い
旧型はシアン系のコート、新型はマゼンタとパープルの混合コート。
カラー撮影を考えてのことか、透過光は新型の方が白色に近い。又、
反射防止膜としては旧型より新型の方が優秀(経年変化か?)。
2)瞳径の違い
レンズ前面から入射瞳径を見比べてみると、新型の方が大きく、旧
型の方が小さい。どれくらい違うかは手元では実測できないので、
はっきりとは言えないが、目で見てわかるくらいに違う。他の標準
レンズと見比べてみると、Nikor 50mm F1.4よりは大きく、Fujinon
50mm F1.2よりは小さい。してみると大体 F1.3 位か?古い文献にも
「Zunow(旧型)は F1.1 と言っているが実際は F1.3 程度」と言う
記述が有り、それを今回再確認する形となった。
3)絞りの違い
旧型は8枚絞り、新型は10数枚(枚数は忘れた)の絞りであるが、
絞り形状は新型はぎざぎざしており、どちらかと言うと旧型の方が
真円に近いのではないかと思わせる。又、絞り目盛りも異なってお
り、旧型では1.1、1.3、1.5、1.8(目盛りのみ)、2、2.8、4...16
の順となっているが、新型では倍数系列にして1.1、1.4、2、...16
とすっきりしている(旧型の絞り目盛りについては実物を実家にお
いてきてしまったので少々自信なし)。
4)描写の違い
レンズ構成が違うのだから描写も当然違う。野外に出て試し撮りを
してみた。以下は小澤の印象。参考まで(実写なので、定量的な評
価は困難)。旧型は絞り開放でかなりフレアーが出るが、ボケは比
較的きれい。光源を画面に入れると内面反射の所為でリング状のフ
レアーが現れる。コマ・サジタルコマはかなり大きい。フレアーの
量からして相当に球面収差が出ているはずだが、割合描写に芯は有
る。像面湾曲が大きいのか、周辺ではかなり像質が劣る。MS像面
も割れているように見受けられる。周辺光量落ちは F8 まで残る。
絞ると徐々に良好な描写になり、 F4 あたりで像高7割まで、F8 ま
で絞ると4隅を除いてしっかりした描写となる。開放では柔らかい
が、いわゆる甘い玉ではなく、ボケ方が素直で癖さえ把握できれば
比較的使いやすいレンズ。一方、新型は絞り開放でもフレアーは少
ない。ボケは2線ボケになり易く、いわゆる硬い描写をする。コマ
は旧型より改善されているが、サジタルコマは旧型並みかそれより
も大きく、メリディオナル方向が改善されている分、豪快。夜間撮
影ではかえって面白い。像面湾曲・MS像面差も相当有ると思われ
るが、コマ収差に隠れて判然としない。F8 まで絞っても後ボケがグ
ルグルになって、まるでゴッホの絵を見ている様。後ボケがどうな
るか、考えながら撮影しなければならないので旧型よりも使い方が
難しい。周辺光量落ちは F5.6 まで目立つが旧型よりは光量が有る。
画質は F4 で像高7割まで、F8 では4隅を除いて良好。絞れば絞る
ほど画面中心からカリカリの描写になっていく。全体的に解像度・
コントラストとも旧型より改善されている。
余談:
Zunowの旧型と新型とで瞳径が違う事実に触れて、ふと思い出したの
はかつてNikonが出していたレンジファインダー用Nikor 50mm F1.4の
開放F値がカタログ通りでないと言う事でZeiss社と一悶着有ったとい
うことです。当時Zeissの最速レンズはZoner 50mm F1.5で、それより
少し明るいNikor 50mm F1.4の出現、しかも設計はどう考えてもZoner
のデッドコピーで、開放F値を計ってみるとF1.5しかないと言う事に腹
を立てたのでしょう。開放F値1.4は偽りである、謝罪せよと、相当な
非難が有ったようです。事実、製造番号が5005****のNikorはF1.49し
かありませんでした。しかし、後に改良に次ぐ改良を重ね、番号5005
****番台の次のシリーズ(36*****〜)では瞳径が広がり、実測F1.43
程度になったと言う事です。実際に5005番台のレンズと新しい38....
番台のレンズを比べてみると、確かに瞳径が違います。新旧のレンズ
で瞳径が違うと言うのは、Nikor愛好家にとっても感慨深いものが有り
ます。
追伸の追伸:
前回の会合(何と言う会合でしたっけ?)でノクチルックス50mmF1と
ズミルックス75mmF1.4の口径の大きさが話題になって、吉田博士が「瞳
径はズミルックスの方が大きい」と言われたときに、つい投影レンズの
NAに換算してしまって「いや、F1(ノクチルックス)の方が大きい」と
答えてしまいました。これは私の間違いで、写真レンズの場合はレンズ
前面から入射する無限遠光束の直径が瞳径になりますので、カタログデ
ータをそのまま信用すると、
ズミルックス75mmF1.4・・・75/1.4=53.57mm
ノクチルックス50mmF1・・・50/1 =50mm
となり、ズミルックスの方が瞳径が大きいことになります。以上の点、
吉田博士にお伝え下さい。
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Nobutaka MAGOME
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