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[nikomat 10254] RE: MRI
愛媛で放射線科医をしています。MRIやCTの話題が出て、
なんのメーリングリストだったのかいなと思ってしまいます。
多くの医者は高校では数学と物理は得意だったはずですが、医学部の6年で
統計以外の数学は、全く習いません。物理に至っては????
多くの検査機器のハードは殆どブラックボックスであります。
しかし、これらの機器は、今までの投影画像とは異なり断層画像を見ることで、
正常構造のなかの異常を見つけるのに、非常に役立ちます。造影剤は血流の
情報を見るのに役だったり、病変をよりはっきりと描出するために用います。
CTは、多方向からX線を照射し、その対側にある検出器でデータを収集します。
体軸の横断像を通常512x512pixelぐらいでデータを解析し、各Pixel毎にCT値
というX線の吸収係数が算出され、それをグレースケールで表示し画像に再構成をし
ます。
解析の手法にフーリエ変換という、医者にはわからない解析を使うようです?
以前はComputed Axial Tomogaraphy = CATとも略されていました。
造影剤は通常は水溶性ヨードを用います。
被曝線量は通常の単純X線写真に比べかなり多くなります。
MRIも、最初はNMRと言われていましたが、核磁気共鳴の核をはずし、MR ImagingでMRI
になりました。生体では、通常水素の原子核を対象としています。超伝導の磁石を用い、
1.5テスラー(15000ガウス)という想像もつかない強磁界の元で、検査を行います。
こちらの原理は難解です。理解を試みようとしますが、表面的な理解しか得られません。
こちらは、軟部組織のコントラストが素晴らしく、また撮像のパラメータを変えることで
様々な情報が得られます。しかし、時間がかかるため、動きのある臓器は不向きです。
放射線を用いない機器で、臨床検査技師でも取り扱えます。造影剤は、Gd-DTPAを用
います。
その他、核医学検査でもSPECT(single photon emission CT) やPET(positron emissi
on CT)
などの断層画像を用いた検査があります。
たくさんの画像診断がありますが、それぞれ特徴や利点、欠点を有しています。
我々の放射線診断医の役割に、正確な診断を下すという仕事は重要な要素です。
それに加えてある疾患の診断には、どの検査が最も効率良く負担が少ないかということも
重要と考えています。
多くの画像情報はデジタル化され、DICOM という共通のフォーマットでデータのやり
とりが可能です。 CTやMRIは元々がデジタルデータですから、最近はDICOMのデータ
のみで、パソコン上にも
展開出来ます。しかし、単純X線画像はFUJIのMI-DUPという専用の複製用の密着フィ
ルムが良く
用いられます。
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Takaharu Tsuda, MD
Ehime University School of Medicine
Department of Radiology
ttaka@m.ehime-u.ac.jp
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