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[nikomat 15643] Re: Fuji ハニカム CCD
ひうらです.
うう..書いている途中で送ってしまった・・すみません.
> > 富士からハニカムCCDのデジカメがでまして、ちょっと話題になりまし
> > たが、解像力などで質問です。
> >
> > 六角の稠密充填CCDなのですが、コンピュータに画像を取り込むときに
> > は、x−y直交座標(なんて言わなくてもよいか)にしなくてはいけま
> > せんよね。
> > 方向によっては、ボケたりしませんか?
> > そもそも、直交座標でも、画素数に対してうまい圧縮をしなくてはいけ
> > ないのでしょうね。 (以前に、やーりんかやーまださんが指摘してい
> > たような気がします)
>#記憶にございません。(^^)
>
> > この辺はどうなっているのでしょう?
> > と、ちょっと六角形が気になるのでした。
> > 教えてください。
>ハニカムという言葉にだまされてはいけません
>あれは八角形の素子を斜め45度の正方形状に並べただけです。
そのとおりで,普通の正方画素のCCDを斜め45度にしたのと
画素の配置は同じと言えます.6角形の稠密充填構造とは,
ちがいます.
(ただし正方CCDより1画素の有効面積(開口率)が大きいらしい)
ところで,それがなぜおいしいのか?ですが,ここではまず
画素の面積を0として考えます.
そのとき,正方画素ではサンプリング点は
・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・・・・・
と並んでいますが,これ(1個の点を dirac's delta と考えると)をフーリエ
変換すると,サンプリング定理により,再現可能な画像の空間周波数領域は
(a)
^
|
+-------+-------+
| | |
| | |
| | |
----------------------------->
| | |
| | |
| | |
+-------+-------+
|
の四角の中になります.が,上記画素配置を45度回転させて
フーリエ変換すると,(空間周波数成分も45度回転するから)
再現域は
(b)
^
|
+
* | *
* | *
* | *
* | *
* | *
--+-----------------------+-->
* | *
* | *
* | *
* | *
* | *
+
の正方形の内部となります.つまり垂直・水平方向の空間周波数成分
の再現域は広がるわけです.ただしそれぞれの再現域の面積は同じです.
で,まったくの宇宙空間ならあまり意味がないんですが,実際自然画ですと
実は垂直・水平成分が強いということが知られています.
(十分高解像度な画像を撮影してFFTすると,上記のひし形状の分布が
よく見られる.こういう性質は JPEG の圧縮方式(ジグザグスキャン,
量子化テーブル)にも反映されているものであり,奇異なものではない)
というわけで,実質上は得をするという話です.
実際は,
*+*+*+*+*+*+*+
+*+*+*+*+*+*+*
*+*+*+*+*+*+*+
+*+*+*+*+*+*+*
*+*+*+*+*+*+*+
+*+*+*+*+*+*+*
*+*+*+*+*+*+*+
+*+*+*+*+*+*+*
のように並んでいる画素(*は実画素,+は画素がない)を使って,
*のところの成分から+のところの成分を推定(補間)するわけですが,
これをちゃんと信号処理的に行うと,実画素数の2倍の画素数を持つ
(長辺・短辺方向にそれぞれルート2倍の長さを持つ)画像が得られます.
これをフーリエ変換すると
(b)
^
|
+-----------+-----------+
| * | * |
| * | * |
| * | * |
| * | * |
| * | * |
--+-----------------------+-->
| * | * |
| * | * |
| * | * |
| * | * |
| * | * |
+-----------+-----------+
|
のように,空間周波数領域では大きな領域を占めますが,そのうち意味の
あるデータはひし形の内部だけとなります.
(これがハニカム配列のフジデジカメが出力する最高解像度の絵と考えて
いいと思います.下手な光学ローパスとか信号処理をすると,空いたところ
にノイズ(エイリアシングなど)が浮いてくると思うので,そのせいで
4700Z とか 40i の最高解像度はノイズが多いといわれているのかもしれません.)
それと(ここからは推測というか勝手な評論ですが),
JPEG 圧縮はDCTをやってますが,これはFFTみたいなもので,
空間周波数成分に分解して圧縮するわけです.
このとき,基底ベクトルは,上図(a) のような領域の内部を等分
するような配置(つまり空間周波数上で均等となるように)で
形作られています.
ですから JPEG 圧縮する上では,ハニカムは一見不利に思えます.
ですがDCTの基底ベクトルは,画素ピッチ*2の波長の成分まで
取り扱いますから,ロスレス圧縮に近い(つまり高周波成分を切り捨てない,
圧縮率の低い) JPEG では,結果的にはどの周波数成分も切り捨てられず
残りますから,どちらでも同じことです.
では JPEG の圧縮率を上げていくとどうなるのか?
JPEG では,空間周波数成分の上を,ジグザグスキャンしていきます.
優先順位は
1 2 6 7 15 16
3 5 8 14 17 26
4 9 13 18 25 27
10 12 19 24 28 33
11 20 23 29 32 34
21 22 30 31 35 36
といった順番です.で,これを見ると分かりますが,途中で
打ち切ると,その残った領域は三角形状になります.
ということで,JPEG 圧縮を前提にすると,実は有効な方法と
いえるかもしれません.
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以上は白黒CCDの話ではありますが,実際にはカラーCCDは
RGRGRGRGRG
GBGBGBGBGB
RGRGRGRGRG
GBGBGBGBGB
っていうような配置になってます.で,これを単純に使って
Gの画素からR,Bの画素のG成分を推定すると,じつはこれは
ハニカム配列と同じになってます.
というわけで,カラーだと一概にどちらがいいかというのは
難しいと思っています.
#実際には,色の変化は輝度の変化よりも低周波であるという
#仮定を使って補間する(つまり,当該位置のB or Rの明度値
#を,その位置のGの明度値の推定に組み込む)ので,
#単純に「ハニカム配置である」とはいえない.
#つまりモノクロCCD的要素も残っているということ.
結局のところ,フジのCCDは,水増しして大きい画像を作るのに
向いているCCDという感じではないでしょうかね.
最終的にはやはり画素数がモノをいうと思います.
(実240画素で,400万画素相当を謳うのはちょっと無理が
あると思う)
では
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日浦 慎作 Shinsaku HIURA
大阪大学大学院 基礎工学研究科
システム人間系専攻 システム科学分野
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