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[nikomat 15751] Re: miyauchi-kogaku(long)



石川@群馬・・・雨で冷えたか現在20度

高田先生の標題を見て、宮内光学のレポートを思い出しました。
双眼鏡に興味の無い方は長いですので注意して下さい。

9月3日に秩父郡皆野町にある宮内光学に行って参りました。
場所は簡単で有名な長瀞の御近所でした。

社長さんは鈴木さん、技術屋って感じのそこいらへんにいるオジさん
でありました。
昼に伺って会社を出たのが5時近く、けっこう長い事話をしてました。
レンズ業界の裏側とかの話もあって面白かった。
双眼鏡のレンズはキヤノンに磨いてもらっているようです。
キヤノンも直径100mmまでのレンズを磨くのが限界で今売り出している
直径145mmのレンズはコニカで磨いてもらっていると申します。
大きなレンズはゆっくり磨かないと駄目で時間も精度もいるので歩留まり
が悪いそうです。

工場も全部見せていただいて、まぁ、昭和30年代の下町工場みたいな
雰囲気に思わず写真を撮りたくなりました。
鏡胴内に反射防止で塗る塗料は最初はドイツ製品を使っていたが今は
国産のようです、何とか漆とか言う会社の塗料でした。
私が購入したファインダーが直角のタイプはプリズムケースが砂型鋳物
なのでコストがかかるとかで34000円ほどお値段が高かった。
90度タイプは天文専用、45度は地上用との兼用だそうです。
45度タイプが人気だそうで90度はあまり出ないので高価な型をおこせない
と申します。
今は天文屋さんよりバードウォッチングの方の需要が多いとも聞きました。

日本は世界の双眼鏡の生産で8割くらいを作っていた時期もあったようで
すね。
タスコなどはユダヤ系なので発注も多いけど値引きも酷くて商売になら
ないと申します。
今は全て東南アジアにそれらの勢力は移ったようです。
日本の双眼鏡って戦後、軍用の双眼鏡部品のあまりで土産物用の双眼鏡
を作り銀座で米兵に売ってから人気が出たそうです。
ハレー彗星に踊らされたアメリカの会社から大量注文を受けて結果彗星
はろくに見えないで相手の会社が倒産して酷い目にあってから大量生産
はやめたと申します。

ここの工場はレンズの製作以外の部分は全部やっているみたいでした。
測定器もニコンとかフジのが揃ってましたが年期が入っていて信頼おけ
そうでしたね。
製品のクレームコーナーには100万円ちかい双眼鏡が無残に切り取られた
のがあってびっくり。
光軸が狂っている(持ってる本人が狂っているとしか思えない)との事
でユーザーが調整しようととして切断したとか・・・。
光軸の調整は前玉を外して長い特殊工具で後群のレンズ押さえを調整す
るようでした。
これじゃ、調整も何もねぇと鈴木社長は絶句しておりました。
また大型双眼鏡のレンズに不純物がありレンズ内部にゆがみがでて自主
回収したのが数台置いてありました。
この不純物レンズの発見も実に偶然のドラマがあったようですが長くなる
ので省略。

高田先生には申し訳ないですがこのような高級双眼鏡は最初に買うのは
やはりお医者さんだそうです。
顧客にはお医者さんが多いそうで、税金関連の操作もあるようですね、と
は社長の弁でした。

プロジェクトX(今日は東京タワー)には出そうにない工場ですが、ここは
大手のカメラメーカーと違ってあまり秘密もなさそうなのでほとんどフル
オープンな感じでした。
こんな所でオフミをしたら面白いと思いました。
社長さんからは日本のレンズ業界はけっこう狭いとの話も面白かった。
特にレンズメーカーが同じ大学の出身者で占められている話も面白かった。
私は知らなかったですが「タムロン」ってのはレンズ設計の田村さんての
に敬意を払っての社名だと聞きました。
本当かどうかはわかりませんがなかなかプロジェクトX風でうなづいてしま
いました。
シグマはレンズのコストを下げるので磨きが甘いそうです。
高速研磨と最後の仕上げがきちんとしてないのではとの推察でした。
(これはシグマのレンズが良く曇るとの質問の回答でした)

タムロンは社長が磨き屋なので手を抜かない分、レンズが良いと申してま
した。

私は強度の近眼なので-8まで追随できるように接眼鏡部分を調整してもらい
ました。
最短距離が伸びますとの事でしたがピントが合わないので見るのも辛い
ので調整改造をお願いしました。

帰りにこんなもので良かったらとキットで出している片手で持てるほどの
望遠鏡を下さいました。
早速星を見てみたらオリンパス(中国製)の7X35より良く見えた。
星が目に刺さる様に細かく見えたのには驚いた。
納期が今月中、ああ、楽しみ。
でも冬のボーナス先倒し・・まるで日本の国家予算みたいな状況です。

長くてごめんなさい。

 
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