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[nikomat 35558] 理想のスクリーン
ひうらっす.
先週末に弟の襲来を受けました.で,新兵器の 135mm F5.6 Sプラナー
等を見せてもらいましたが,それ以外に新しく 501CM に,珍しい
「ファイバーマットスクリーン」なるものが入っていました.
このスクリーン,短期間しか発売されなかった上に高価だったらしく,
ハッセル本,WWW等を漁ってもほとんど情報が無い代物ですが,
はっきり言って,他のスクリーンとは隔絶した,すばらしく良い物でした.
他のマット面の良し悪しの議論が空虚でつまらないものに思えてしまうほどの.
弟はSプラナーとスーパーアクロマートの2本のレンズを使っていますが,
これらは両方とも F5.6 と暗いです.が,このマット面を使うと,まったく
ざらつき感がなく,デッドクリアー.しかも明るい.ボケもちゃんと
見えます.なるほど,これがあると暗いレンズでも十分と思いました.
構造は,直径6μmのグラスファイバーを,非常に多数(1億本ぐらい?)
密に束ねたものに黒色のガラスを含浸させ,固めてから,輪切りにして
スクリーンの厚みに磨いたものだそうです.
要するに内視鏡に使われているファイバーを,非常に太く,非常に薄く
したものと考えてOKです.
ファイバ径に対して奥行きが長く,また直径も波長オーダに近いものとなって
いますので,グラスファイバーの端面に入射した光が,内部で屈折して
反対面まで運ばれ,グラスファイバーの延長方向に射出されるものと
思います.そのため,フレネルレンズは用いられていないにも関わらず,
画面の中央でも,周辺でも,光は鉛直方向に射出されているのが
見た目に分かります(真上から見たときに最も明るい).
実際には,ファインダーのルーペは真中よりですので,中央よりも
周辺のほうが暗くなりますが,その程度は軽微であまり問題ではない
ように思います.
また,ファイバーは恐ろしく細く,肉眼ではまったく見えません.
顕微鏡でも倍率を上げないと模様が見えないという感じでした.
顕微鏡写真は以下に載せました.
http://shinsaku.homeip.net/screen/
#自宅Linux + DynamicDNS でホスティングしてみました.
ただし,一部にファイバーの切断などの部分があると,その辺に
黒点のようなもの(ホコリのように見える)が出来ることがある.
それとファイバーの配列により,干渉によって部分的に虹のような
ものが薄く見えることがあるのがこれが欠点のようです.
で,おそらく同様の構造の光学素子は
http://www.edmund.co.jp/pdf/J024076-077-.pdf
の末尾の「ファイバーフェースプレート」というもののようです
(こちらは工業用なので,黒点等は少ないかも).
ちょっと分厚いですが.
どうしても暗いレンズと明るいレンズで相性がでてしまう,「拡散」が
スクリーンに要求される性質と考えてしまいますが,それではなく,
「スクリーンに入射した光を方向を揃えて射出する」という,
理想的なものだと思いました.
いやあ,悪いものを見てしまいました.
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日浦 慎作 Shinsaku HIURA
大阪大学大学院 基礎工学研究科
システム人間系専攻 システム科学分野
〒560-8531 豊中市待兼山町 1-3
TEL:06-6850-6372 FAX:06-6850-6341
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