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[nikomat:03319] Re: Zoom Lenses
日浦@兄弟です ^^;
#「写真レンズの基礎と発展」から受け売りです。
> ズームレンズで、開放F値固定のものと、焦点距離によって変わるものと
> 2種類ありますが、どのように違うのでしょう?
ズームレンズにはいろんな方式があるのですが、まずは口径食というもの
を無視して、どの焦点距離でも蹴られないと仮定します。
F値というのは、口径と焦点距離の比で定義されますが、フィルム面側から
見れば、フィルム面の一点に集光してくる円錐状の光の、頂角に相当する
というのをまず押さえておきます。
ということは、(先に口径食はないと仮定したので)フィルム側から見て、
絞りの光学的位置が変化しなければ、F値は変化しないと言えるわけです。
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で、ズームレンズに関するF値の変化なのですが、これは絞りのついている
レンズ群が、フィルム面から見て移動するかどうかによって決定してきます。
ズームには各種の方式がありますが、最後部のレンズ群(リレー系)を固定
し、その前のレンズ群(複数)を適当に移動してズームする方式のものがあ
ります。ビデオカメラなどのワイド/テレコンバージョンレンズがズームに
なっているようなものですね。
この方式では、リレー系に絞りを入れるので、どの焦点距離でも絞り位置は
(フィルム面から見て)移動しないわけです。で、F値は一定になります。
昔はこの方式が主流でしたが、今でも望遠域でよく使われています。
Nikkor 80-200/F2.8 はこの方式(3成分機械補正式)だそうです。
僕はこのタイプとしては Sun Zoom 85-210mm/F4.8 というのを持ってます。
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F値が変化するズームの代表例としては、2群機械補正式ズームがあります。
これは、レンズ群を大きく二つに区切って、それら双方を前後させてズーム
します。これは後群に絞りが入っているのですが、これが派手に前後するの
でF値が変化します。レンズをカメラから外して、マウント側から見たとき、
ズームにしたがってレンズが大きく前後するものはこれです。
僕が持っているのでは SeriesE 36-72mm/F3.5 とか、タムロンの 28-70mm/
F3.5-4.5 です。あと AiS 35-70/F3.5-4.5 とか、これの AF のやつ、その
他広角域を含む安いズームはほとんどこれに当たります。
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マニュアル露出では、F値が変化すると使いにくいので、たとえば SeriesE
36-72mm は F 値を一定にするために、機械的に絞りを変化させています。
レンズをズームすると絞りが動いているのが分かります。
AiS 35-70mm/F3.5 も同様の方式です。でも最近はその必要性が低くなった
ので、コスト優先?明るさ優先?でこの機構がないのが多いようですね。
だったら絞り変化をキャンセルするともっと明るくなるのか?というと、
明るさだけで言えば Yes ですね。Series E だったら 36mm で F2.8 ぐらい
になりそう。ただし、そのときの明るさを考慮して設計されていないので、
球面収差量が過大になる可能性があります。また、広角域で前群の大きさが
不十分となり蹴られが発生すると思われます。
トキナーの 28-70mm/F2.8 も基本的にこの方式なのですが、絞り変化をやっ
ていないのか、広角側で F2.5 を切るようです。
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望遠系のズームでも、暗いやつ(F4-5.6など)はF値が変化しますよね。
望遠側で明るさを確保するには、前玉に大きなレンズを使わないとい
けないのは明らかなので、コスト的にF値が変化するタイプのものしか
作れないでしょうね。
では。