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[nikomat:05211] Re: The aftermath of the first off-sitemeeting (Planar with the F mount)



まごめです@返事を忘れていました。

>こやのです。
>
>まごめさんの合宿での講義はMTFは複素関数で云々、と言う難しい話で、
>私のわかった範囲では・・・・・。

ちょっと時間が少なかったですね。

はじめに:レンズの描写には好みがありますから、どのような物が好きかは
     本人次第の所があります。
     以下は、一般的に良く言われていることを、(ちょっぴり)科学的に
     説明するものです。ただし、100%あうわけではありません。

ドイツレンズも日本レンズもピントが合っているときは、MTFの振動は
(まあ)ありません。(よっぽのでない限り)

で、ドイツ:空間周波数のMaxは犠牲にして低周波数に膨らみを持たせる。
  日本:空間周波数のMaxを引き延ばす工夫をする。
といった、思想があります。(報道写真からの要求でしょう)

数学的には、点像の高さが等しければ、MTFカーブの積分値(MTFとX軸の間
の面積)は等しくなります。それを理解すると、空間周波数のMaxを引き延ばす
ことで、低周波が低くなる、つまりは、低周波のコントラストが低くなると判ると
思います。

次にピントがぼけるとどうなるか?
ボケ量によって、MTFのゼロ点が決まります。
(収差の良く取れたレンズ同士なら、ボケ量が同じなら、ゼロ点も同じです)

そして、ゼロ点を超えたところで、振動し出します。
(ごく簡単には、SINC関数にガウス関数がかけ算したような形です。)

この振動がくせ者で、良く2線ボケと言われるのはこの振動成分が強い振幅を持つと
目立ちます。これが、ボケを汚く見せます。

擬解像と言うのはマイナス側になったところがちょうど位相がπ異なるために
白黒の格子が被写体では像が黒白と反転するためにこう言われています。

ジーメンスターというチャートがあります。これは本にも出ていますから見てみると
自分の目の収差やこの擬解像を体験できます。
(ジーメンスター:中心から放射状に線が広がっていて中心ほど空間周波数が高い)
乱視では、ジーメンスターのコントラストがある方位で高く、その直交方向で低い
のが見えます。(コレは非点収差です)
また、ピンぼけにしてある線を追っていくと急に見えなくなり、さらに行くと
白黒反転します。(コレが擬改造です)

さて、見え味のなかにドイツレンズは空気が写るとか空気感があるとか、人によって
立体感があるといいます。
たとえば、木が2本前後に立っていてピントが近くの木にあっていると、当然後ろは
ぼけます。このときに、コントラスト(MTF)の低下が(ボケの量にもよりますが)
適当だと、ちょうど木の間に極薄い霞が漂っていることになり、後ろの木がちょっと
淡く見えます。コレを称して空気が見えると言っているのでしょう。

本当にドイツレンズだけがそうなるのか?
コレもボケ量などによりますが、ボケで木の地肌が、汚くなってしまうようだと
(コントラストの低下よりも)擬解像がおこれば、空気感はなくなり、ぎとぎとが
見立ちます。ちょっとこの辺に違いが出るかも知れませんし、絞りとボケと木の
間隔に依存します。

とどちらもフォローする快睡室であった。(苦労苦労)

で、ニッコールマウントのプラナーいつか見せてくださいね!
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    馬込 伸貴 ∈ (株)ニコン 精機・開発推進室(大井です)
             magome@nikongw.nikon.co.jp ,  IFOS = nba3194
                          ext.7312-4281, tel.03-3773-1892, fax.03-3775-9042