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[nikomat:07561] Re: Stereo Photos



日浦@京大#距離計屋です。

#Stereo Photos という Subject をみて、おぉ、ステレオカメラ
#・・・と思ったのは間違いでした (_o_)

> たむら@病院から一応生還、です。

養生なさってくださいね。

> 自然言語処理とかの分野の研究を長くやってますが、最近学生たちにあまり人
> 気ないんです、この分野。

#ううむ、そうなのですかね。なかなか地道な努力の必要な分野なのかも
#しれませんね。現在所属している京大松山研の松山先生は、同じく京大
#の長尾先生の研究室出身なのですが、まさしくそちらは自然言語処理の
#研究室ですね、田村先生の研究分野と近いのではないのかなと思って
#おります。

> そこで、画像がらみのミーハーなテーマも少しはやろうと前々から
> 思っていたんですが、隣の先生から「立体視による動体の認識」
> を一緒にやろうとの誘いがあります。
> 
> あらすじはこうです:
> (1)デジカメやVTRの画像でなく、ポジをスキャンしたものにも魅力がある。

解像度が稼げるので、ステレオ最大の問題である「特徴点の対応付け」が
安定化できる可能性がありますね。いつも痛感することですが、通常の
ビデオ映像レベルではどうにも解像度&画質が足りないことが多いです。
#それより足りないのは計算パワーですが。

連動&動画ではありませんが、写真を使ってステレオ計測という例では、
奈良先端大の方で知り合いの研究者の例があります。この場合はなんと
CONTAX G1 でしたが・・・(しかし1台だけで、クイックシューを両側
に設けた台に交互に取り付けて撮影)
#ホロゴンではありませんでした。おしい!

動体ではないのですが、出身研究室(大阪大学 基礎工学部 システム工学科
井口研)はステレオ計測はいろいろやってまして、そのからみで E2N を
買ってたりします。動体ではないので、石像の回りを、1台であちらこちら
から撮影します(そのお陰で 50/1.2 は返却 ;_;)

#フィルムスキャニングですと、必ず同じ位置にコマを置いてスキャン
#するのは結構難しいですので、後に述べるキャリブレーションの問題が
#発生します。

> みなさんへのご相談は、
> (1)この分野の研究状況、

対応付け問題の簡単な、いわゆるマーカを人体につけたような計測でしたら、
カメラを4台ぐらい使った動作入力システム(モーションキャプチャ)は
市販レベルに達しており、急激に市場規模が拡大しています。映画とか
CM での CG の動作入力に使われるシステムですね。
(たとえばソニーMDの、ディスクが踊る CM などは使ってると思います)

研究レベルでは過去からずっと行われているわけですが、いわゆるマーカ
レスの3次元計測は、リアルタイム処理ハードウェアの研究中ですが、
これだ!というのはまだない状況です。試作レベルでは、海外や、国内
でも防衛庁関連などでは、9眼とか、カメラ数を増やしたステレオ計測
でリアルタイムという例があります。アメリカでは 51 眼というのも
あります。

写真システムの場合では、処理はオフラインですから時間がかけられるので、
いわゆる静止画によるステレオ計測の研究も該当しますね。
「どうやればうまく対応付けが出来るか」などについては、あまたの研究が
ありますので、この部分に関する新しいアイデアというのはなかなか難しい
のではないかなと思っております。

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というわけで、ステレオ計測そのものは、あまり攻めるには、おいしい
部分の少ない分野になってきていると思います。最近はステレオ一直線
の発表は少なくなってきています。

「動体の認識」ですので、オフライン処理だけれども、ステレオかつ動
体であるということを積極的に用いたものであれば、まだ研究の余地が
あるかもしれません。

画像の分野から、逆に田村先生の分野のような言語情報に歩み寄るもの
としては、ジェスチャ認識などの動作シーケンスの認識などに関連する
ものがあります。動作のシーケンスから、その人が何をやっているのか
認識するとか、手話を認識するとか、そういう手の研究です。
こういうところではむしろ得られた三次元的な情報から、いかに我々が
必要としている情報を得るかという方向に近いので、極端な話、画像を
人間が目視で対応づけして距離入力し、その結果をいかに処理するか、
という方向での勝負もありですね。

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意外と難しいのは、カメラ同志の位置関係やレンズの正しい焦点距離を
計測すること、つまりキャリブレーションというのが必要で、これが
なかなかたいへんです。市販の装置を流用する場合は、これを作り込み
で known にするのはわりと難しいです。それに、レンズ歪みなど
が重要なファクタですね。もちろん、オートフォーカスなどは OFF に
して、レンズは決った位置で固定しておかないと、フォーカス駆動で
像の大きさが変わりますから、困ったことになります。

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参考になりそうな文献リスト&文献 FAX 差し上げましょうか。

学会で言えば電子情報通信学会 D-II(パターン理解と画像メディア研究会、
PRMU), 情報処理学会(コンピュータビジョンとイメージメディア研究会、
CVIM)、IEEE PAMI(Pattern Analysis and Machine Intelligence), RA
(Robotics and Automation) のあたりですね。

日本工業出版会の画像ラボとかはいろいろこの業界の機材(画像入力
装置など)情報が多く、ステレオ関連の技術レベルというのがどのへん
なのかが分かりよいです。

#なかなか大学関係のホームページは研究成果の整備が進んで
#ないので、そのへんを参照するのは難しいですね。
#出身研究室はアクティブレンジファインダ(投光による計測)
#が中心だったので、直接参考になるのは少ないですし・・・