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[nikomat:07569] Re: Stereo Photos



よしだ@ないこん%機械学習屋です。

In message <199709110640.PAA09246@yomogi>
   "[nikomat:07561] Re: Stereo Photos "
   "HIURA Shinsaku <shinsaku@vision.kuee.kyoto-u.ac.jp>" wrote:
 > 日浦@京大#距離計屋です。
 > 
 > #Stereo Photos という Subject をみて、おぉ、ステレオカメラ
 > #・・・と思ったのは間違いでした (_o_)
 > 
 > > たむら@病院から一応生還、です。
 > 
 > 養生なさってくださいね。

いや、人間ドックって 一泊コースが普通なんですよ。

 > > 自然言語処理とかの分野の研究を長くやってますが、最近学生たちにあまり人
 > > 気ないんです、この分野。
 > 
 > #ううむ、そうなのですかね。なかなか地道な努力の必要な分野なのかも
 > #しれませんね。現在所属している京大松山研の松山先生は、同じく京大
 > #の長尾先生の研究室出身なのですが、まさしくそちらは自然言語処理の
 > #研究室ですね、田村先生の研究分野と近いのではないのかなと思って
 > #おります。

私の場合、医用画像のように 見ている人も 自分が何を見ているんだか
うまく説明できないような画像(パターン)の認識(病理の医者は認識
できるのだから そこに情報はあるはず)を自動化する仕事に長年従事し
てました。
で、昨今、自然言語の分野を考えるに、自然言語の場合、
(1) 文法という不完全(例外が有るんだから 公理系でも 理論でもない)
    な規則に縛られて パーザー命で 変換だけを やってきた。
    大規模な辞書ができれば可能と信じてきた。
    ICOT&JIPDEC で 夢やぶれた。
(2) 文章の表層だけを追う コーパスが大流行。
という流れになってますよね?

画像認識の場合、最初から (2)です。(1)が存在してなかったせいだと思います。
しかし、(2)以上のことをしようとするなら、やはり 表層的情報(外延)からの
セマンティクス(内包)のインダクションが必要になると思います。
こうなると、画像の場合、とっかかりになる「(人間が認識する画像情報の意味
的)構造」が曖昧すぎて、結構大変。今の画像認識の研究者は皆 これを避けて
ます(と、私は思う)。# まぁ さっさと論文書かなきゃいけないから仕方ないか。

この点、自然言語のほうは 不完全と いえど、文法規則、統語論、語用論などの
セマンティクスを持っています。

ここで、表層的なものから コンピュータによる処理で行ったインダクションを
見ますと、そこの現れる概念構造のい1つ1つのカテゴリー(抽象概念に相当)
は、必ずしも自然言語の抽象名詞で括られる抽象概念とは ズレを生じてます。
しかも、文法規則は不完全な意味構造しか作れない。かといって、インダクショ
ンを用いれば、対象とした事例に付いては全てカバーする構造を得られるかも
知れないが、そこに生成されるカテゴリーの 解釈は 人間にとっては困難である。

# これは、コンピュータが処理し易い情報の構造と、人間が認識&処理し易い
# 情報の構造が 必ずしも一致しないことにも よると思います。

ただし、インダクションにより得られる概念構造は、そこで用いる抽象化手法の
クライテリアに大きく依存します。だから、このクライテリアを 人間と同じよう
にすれば良いのだけど、人間がどんなクライテリア使っているかなんか分かるわ
けが無い。このクライテリアもまた インダクションの対象かもしれない。

では、人間が認識し易い形で コンピュータにインダクションさせるには どうし
たら良いか?と考えると、今、一番実現し易いのは、文法規則などをベースと
した不完全な概念構造からスタートし、適応性を持つクライテリアを用いてイン
ダクションにより不完全な部分を埋めることだと思います。

ここで言う「適応性を持つクライテリア」というのは、概念構造の不完全な部分
(穴埋めする部分)の上位&下位&並列 カテゴリー間の 共通性&異種性 を 
局所 局所で そこに適応するように 換えるということです。

機械学習の分野にて、EBL(説明に基づく学習)というのがあり、上記問題に
手を付けないまま 流行を終えてしまいました。EBLなんか実用性無し という
のが一般見解のようです。しかし、私は 自然言語のような世界をみると、まさ
にEBLのSBL(類似性に基づく学習 = インダクション)による、概念構造
の 補完&洗練化 というのは 重要だと思ってます。

# で、上記のようなことを 辻井先生@東大に意見したら、どうも辻井先生も
# 似たようなこと考えているようで、あっちのプロジェクト(4年後は路頭に
# 迷う)に引きずり込まれそうになりました。(^^;;
# ニコンからは、「週に1日ならOK」と言われたが (^^;;

で、先日IJCAIで 「田中穂積先生は いまだにパーザーで、、、」と聞き
ました。私、不完全でもそういう意味論がそなわっているだけ、近い将来に限
って言えば、画像認識の将来よりも 自然言語のほうが 明るいように思います。

最近の画像関連の研究は 「意味」とか「理解」からは 離れていってますから、
そっちを追っちゃうと、自然言語への 技術的なフィードバックは稀少だと感じ
ます。

# 認識関係で 面白い進歩を見せているのは、Genetic Programming じゃない
# でしょうかね? 趣味じゃないでしょうか?


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 吉田幸司  Dr.Eng. 1960.03.26生♂ Rh+O   (株)ニコン
    e-mail:yd@nikongw.nikon.co.jp        半導体露光装置第3設計部
    tel:03-3773-8502                            第3システムGr.
    fax:03-3775-9042                            知能システムR&D室