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[nikomat:07615] Re: Stereo Photos
カメラの話「以外」にしかついていけない,茨城大学の乾です.
昨日は早帰りしたのですが,帰り際にたむらさんの「スチルカメラを利用し
た研究」の話があったので,スチルカメラでなくてはできない研究となにか
つらつらと考えてみました.
#今日の午前中は子供の授業参観だったので,分数の授業を聞きながら考えて
#ました.ところで小学校の先生は教え方がうまいなあ.とても参考になる.
僕は光学の専門ではないので,間違えも多いと思います.訂正していただけ
れば幸いです.
スチルカメラを用いるには,デジタルカメラよりも優位な点を探す必要があり
ます.デジタルカメラとスチルカメラを比較してみると,
(1)解像度
現時点では,スチルカメラのほうがはるかに高い.ただしデジタルカメラでも
対象が静物であれば,重複して撮影することで解像度は稼げる.あまり絶対
的な差ではないと僕は思う.
(2)階調
以前日浦さんが書かれたメイルによれば,階調はデジタルカメラのほうが上ら
しい.
(3)シャッター速度
僕にはよく分からない.スチルカメラでは1/8000なんていうシャッター速度
が可能だけど,デジタルカメラはどうなんだろう.
(4)データの精度
スチルカメラの場合,フィルムの変形による誤差は避けられない.解像度が
高くても,データの位置精度には疑問あり.吸引みたいな処理が必要かも.
(4)計算機処理
研究の場合,最後のデータの処理を計算機でやることが多い.となれば,ス
チルカメラの場合にはA/D変換が必要.スキャナーで取り込むと,手間がかか
るし精度の問題がここでも生じる.
(5)処理の手間
スチルの場合には,現像などの中間作業が避けられない.
というわけで,普通の研究用途ではスチルカメラの利点を見つけることは難しい
と思います.特に計算機処理を考えると,デジタルデータを直接とれるCCDの
優位性はかなり大きいです.
ただ逆転の発想で,データをデジタル処理しない,つまりアナログデータをその
まま使うことに意味がある研究をすればいいいように思います.つまり,「撮影
したデータを直接人間が観察する用途」ならスチルカメラで良いわけです.
そのような例としては,
左右の画像を別々に撮影し,それをそのまま左右の裸眼で観察する立体視.
昔天体観測で小惑星をさがすときには,時間をあけた2枚の写真を交互の
視たそう.過去に存在しない天体は明滅するので,分かる.
などがあります.いずれも過去の遺物ですが,現代にも通用する用途が見つか
れば,スチルカメラを使った研究ができるかもしれません.ただしかなりハード
に依存した研究になると思います.
National Geographicsの日本語版に,昆虫の写真をピントをずらして複数枚撮影し
て,それをフォトショップで合成して作成した,被写界深度の深い昆虫写真が出
ています(広告のほうです).これなんかも,スチルカメラをうまく利用した方法
と言えるかもしれません.
#これをみて以来,僕はOLYMPUS OM-4Tiが欲しくてたまらない.
こやのさんも書かれていましたけど,このMLのメンバーで科研費を申請する,とい
うのは「楽しい」ですね.採択されればオフのミーティングが出張になるわけだ.
では.