[Date Prev][Date Next][Thread Prev][Thread Next][Date Index][Thread Index]
[nikomat:09402] Re: 55mm F1.2?
高田@ニセ医者です
<199710160534.OAA14943@icho.ipe.tsukuba.ac.jp>の記事において
私は書きました。
>> >> >#麻酔しているのに、痛いって言われると、医者は最初は否定
>> >> >#したくなるんですよね。で、その次に何するかで、医者の技量
>> >> >#も推察されます。麻酔薬の追加って、とても難しいのです。
>> >>
>> >> 4人がかりで押さえつけさせた、この執刀医の技量、上なのか、
>> >> それとも、下なのですか?
>>
>> 麻酔を担当する医者と執刀医とは別で、この点だけで執刀医の
>> 技量を推察することはできませんが、あんまり上等な対応では
>> ないかもしれません。
患者さんの状態が悪い時には、麻酔をかけただけで血圧が下降して
死亡に至る場合があります(特に出血多量で循環血液量が足りない
場合)。普通は輸血などしてこういった危機的な状態を改善してから
麻酔をかけるのですが、事態によってはそのような余裕がない場合が
あります。そういう時はどうするか?
迷わず麻酔しないで外科的な処置をします(外科的な処置が必要な
場合)。人は痛みだけでは死なないようです。肋骨の間を切り裂いて
心臓を直接握るようにして心臓マッサージをすることもあります
(開胸心マッサージという)。
正月に老人がモチをつめて窒息死する場合がありますが、発見したら
直ちに喉の部分を切り裂いて気管を切り開き、空気の出入りが可能な
道筋を作る必要があります。こういった場合に、何処を切るのかと
いうような判断は、それなりに慣れていないとうまくできませんが、
突然襲ってくるの本番に備えて、少なくとも時々心の中で練習して
おかないといけません。
こやのさんが痛がってバタバタしている時に、あわてて麻酔薬を
投与し、麻酔が深くなりすぎてショック状態になってしまうよりは、
こやのさんは大変ですが、麻酔が効かなくてバタバタしている状態
の方が安全という考え方もあります(こやのさんは若いので、簡単
には心筋梗塞などおこさないでしょうから)。
ということで、できる医者の対応とは、患者さんと医療スタッフ等
を総合して判断しー何が一番安全かという事を見極めることにあり、
条件によっては同じ場面で全く方向の違う正解があり得ます。
>> #先日足の爪が食い込んで痛いという患者さんの爪を切ってあげた
>> #のですが、患者さんが「私痛みに弱くって」というので、「そんな
>> #に痛くありませんよ」と返事して、爪をニッパ型の爪切りで切って
>> #いました。「終わりましたよ」と言ったら、その直後から患者さん
>> #が痙攣しはじめて、ショック状態に陥りました。このままだと
>> #死んじゃうかもという程でした。まあ、適切な対応で大事には至り
>> #ませんでしたが、びっくりしました。後で聞いたら、痛みのために
>> #何回か気を失ったことがあるとか。そういときは、ちゃんと「痛いと
>> #ショックに陥るのです」と言って欲しい。まあ、麻酔薬でショックに
>> #なってしまう場合もあるので、困ったものですけど。
少し前に造影剤でショックになった患者さんがおられて、やはり
冷や汗ものでした。造影剤でショックというのも、ある程度の割合で
発生するものであり、予測がつかない場合が多いです(ショックになった
事がある患者さんはともかくとして)。このために、造影剤のテストを
するのですが、このテスト自体がショックを引き起こす危険性があります。
事前のテストをすべきかどうか議論があるのですが、造影剤の添付文書
(効能書き)には、テストをすべきであると書いてあるため、訴訟に
なったりした時の事を考えてテストをしています。また。患者さんにも
造影剤を使う事について良く説明をすることになっています。
#中古カメラとか中古車を買うのは結構勉強になります。だいたい、ある
#一定の頻度でトラブルがあり、その時にどのような交渉をして問題解決
#を図るかというのは、医者と患者の人間関係にヒビが入りそうな時に、
#どう対応するかという場合の、良いシミュレーションモデルになります。
#そういう経験を積んでいくのも修行のうちでしょうか。
$例の35mm/1.4ですが、カメラ店からAiSバージョンが届いて
$いました(差額7000円)。オートの方をニコンSCで見てもらおう
$と思っていましたが、どうしたものでしょう。両方いじってみると、や
$はりオートの方が味わいがある感触です(黄色いけど)。まあ、素人の
$基本としては、曇ったレンズは避けるという事なのでしょうか。
$(こやの先生は偉人ですから)
**************************************************
*高田 彰 Akira Takada takada@ipe.tsukuba.ac.jp*
*筑波大学臨床医学系 筑波大学附属病院医療情報部*
**************************************************