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[nikomat:11237] Re:[-yota] Hassy
ひうら@きょうだいです。
石井さん:
> 近距離補正機構(?)をつけるために無限遠付近での描写を
> 犠牲にしている,ということはないですか?
よしださんに借りているレンズ白書掲載の 40mm/F4(外観:マウント近辺に
フォーカスリングやシャッター部など全ての機構部があり、そこから前方に
向かって大きな円錐がくっついているようなデザイン。円錐の拡がった前端
からは少し円筒形になっていて、この外周部(側面)にレンズ焦点距離など
の銘がある)は、近距離補正機構はなしです。
で、このレンズ、この白書のテストによれば、中心はよいものの、外に
向かうにしたがってどんどん描写が悪くなるという結果でした。
しかし画像が特にどの方向に流れると言うことではないようなので、
これは像面の平坦性がないのかなぁ、という風な感じです。
ここで考えられるのは、
○テストの時のチャートまでの距離が十分でなく、近似的に無限遠の像を
見ていることになっていない
○近接時の性能を確保するため、無限遠での性能を最適化しているのでは
なく、ある撮影距離で像が平坦になるように設計している
ということです。前者はそんなに荒っぽくやっていないはずなので、
後者の可能性が考えられます。
それに対して、原稿の 40mm/4 には近距離補正機構がありますが、これは
主としてフォーカシングに伴う像面の湾曲を補正するものですよね。ですから、
「近距離のためにはもはや無限遠付近での描写を犠牲にしなくて良い」と
いうことになると思います。
でも、やっぱり無限遠を撮るということも多く、無限遠でない場合は
像は立体であることが多いので、無限遠での平坦性を優先した設計に
するべきだと思います。・・と、二人で話していたのでした。
#この本では、とくに Bronica Nikkor 40/4 の評価がよいのであった。・・
##しかし弟には Hassel SLR の 40/4 は必要ないしねー ^^;;
> レトロフォーカスは,コンピュータシミュレーションのアルゴリズムが
> ray-tracingからwave-frontになって良いものが多く出るようになった,
> と聞きました.
> wave-frontって,いつ頃から使われるようになったのでしょうか?
実際には僕もレンズ設計の例では ray-tracing しか知らないのですが
(スポットダイアグラム等)、今や波動光学的効果のレベルに達して
いるということでしょうかね。・・
しかし、屈折現象っていうのはそもそも波面の話なので(屈折率が
違う界面で光が曲がる理由が、高校の物理で出てきますよね)、
平行波面とした入射光の波面が、最終的にうまく球面波として
一点に集まるかどうか、と言う方法で無限遠の点像を解析する
方法もありですね。うまくやれば計算量も減るかも。
(光路長一定の法則というのも、同じ原理に基づきますね)
すると、レーザのようなコヒーレント光と、インコヒーレント光の
場合は、少し処理を換えるだけかな?
(どんどんまごめさんの講義に近づいていく)
顕微鏡とか、ステッパーとかは、絶対波動でやっているでしょう
けれどもね。
乾さん:
> ところで数年前のSiggraphに,計算機内の仮想的なレンズをつかって,レイト
> レーシング法により計算機内の立体モデルの映像を作成する研究がありました.
> この方法では,ボケもある程度評価できるのですが,収差をきちんとみていな
> い,かなりいい加減な研究でした.
CG でボケというといい加減なものが多いのですが、これをちゃんとやろう
という研究はありますね(ひとつ、近所にも査読中のものが・・)。
収差を入れたのは、見たことないですねー。
自分としてはいろいろアイディアがあるので、一度やってみたいと
常々思っています。幸い新ズミクロン 50/2 のデータもあるしぃ。
> そのときに思ったのですが,レンズ設計のとき,ボケの善し悪しはどのような
> 評価しているんでしょうか? 誰か教えていただけませんか? よくレンズの評価
> 記事とかみると「2線ボケ」などという表現が出て来ますが,このへんの理由に
> ついても知りたいです.
こっちはさっきまでのオーディオの方の話に近いような気もしますね。
やっぱり感性的なものでしょうけれど、レンズメーカーでは
先験的知識とか、官能評価(人による感性的な評価)の実験結果から
ある程度の数学的モデリングをしているでしょうね。
おおよそぼけというのは、オーディオの例で言えばローパスフィルタに
相当する(つまり、treble つまみを絞る)んですけれど、
この時に低域から高域にかけてなだらかに落ち込んでいるようなのは
きれいなぼけになるのだと思います。
2線ボケというのは、(あーまごめさんのネタが減るのかも (_o_) )
低域から中域に向かってちょっと落ち込んでから、高域でもう一回
持ち直している(そのあとまた落ちる)ようなフィルタになりますね。