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[nikomat:21435] Re: [exhibit]Edward Weston(Re: test
ひうら@きょうだいです。
周辺分野にいるだけなのですが、
> |仮想現実感の世界では,この手のリアルさをいかに追求するかが一つの
> |トピックになっていますね.人間のリアル感に及ぼすスケールや視点の
> |効果を追求した研究というのは,きちんとした成果としてまとめられて
> |いるんでしょうか?
>
> わかりません(^^;;
> 専門でも無いし、情報も少ないです。
人間にとって、何がスケール感を与える要因になっているのか
というのは心理学の分野で研究されています。
視覚が専門なので、視覚についての話ですが、
奥行き感に関しては両眼の視差(RF カメラの距離計に相当)、
運動視差(自分や対称が移動することによる相対位置の変化・・
パララックスに相当)、視度(ピント調節)、空気のかすみ感
(遠距離物体の光学的変化)などが主要因とされていますが、
これらは物体までの距離によってその寄与の度合いが変わります。
このへんを実際に人間相手に検証しようというあたりは、
石井さんの専門ですよね。
#もちろん、過去の経験等から得られた知識の果たす役割も
#大きいですが、これはまた別問題。
で、VR や MR (Mixed Reality) の分野では、これらをどう
合成するかと言うところが問題になっています。
CAVE という装置が最近話題になりましたが、これは上下左右、手前の
5面においた(互いに継ぎ目のない)ディスプレイに画像を表示して
没入感を得ようとするものです。足下にも画像が出るのがすごいです。
これは、単に全周の画像を再現しようというものではなくて、
あらかじめ観察者に位置センサ(頭部の位置を計測する)
を取りつけて、観察者の位置変化に応じて画像を更新するので
上記の「運動視差」は実現されています。
(そういうことをしないと、スクリーンに近づいたときに
発生させるべき画像の変化を再現できない)
また HMD(ヘッドマウントディスプレイ) では、
上記の運動視差の他に、両眼視差も実現できますが、
視度は今のところ何ともなりません。
で こういう出力装置に対する映像は普通 CG になりますが、
実映像からそういうディスプレイに出力するためのデータを
取得するための研究というのもあります。
例えば筑波大の大田友一先生などは、多眼ステレオを用いて
運動視差を再現できるような画像データの取得に関する
行っておられます。この出力は上記 CAVE のような装置の他、
HMD への表示にも用いることができます。ここでは
透過型の HMD を使って実シーンと CG を合成することを
目的とした MR の研究もやっています。
また奈良先端科学技術大学の山澤さんという方は、非球面ミラー
や6角錐ミラーを用いた全方位視覚センサを用いて、全周の
画像を一度に撮る研究をやっています。このセンサを積んだ自動車
で撮影した画像を記録しておき、あとから HMD を装着した人物に
自由な方位の画像を再合成/提示すると言うことなどをやって
いました。また、このセンサを縦に2つ積んでステレオを構成し、
奥行きを求めることにより、視差情報を再現しようと言うことも
やっておられます。
> |上記のような断片的な記述では,色々な意見を聞くのですが,人間の五感
> |をもっと深く追求した成果があるなら,勉強したいと思っています.
ヒューマンインタフェースや情報メディアの分野では、単一の
感覚器に依らない提示方法をマルチモーダルと呼んでいますね。
テレビも一種のマルチモーダルメディアです。
#共に視覚情報である、写真映像と文字情報などを複合しても
#マルチモーダルであると主張する人もありますが。
ただ、現状では、写真スケールの違いによる微妙な感性的
印象の変化とか、そういう微妙な領域には程遠いというのが
実際なのでしょうね。