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[nikomat:21855] Re: ボケてくれるinder screen
まごめです。
すぎやま@名古屋さん:
> レンズのボケ味はプリントしてみないと判り難いですが、開放でのボケ味を忠実に
> 見せてくれるファインダースクリーンはないのでしょうか。普通のAのマット面は違
> う気がするのですが、それは透過像の錯覚かぼくの思い込みでしょうか。フォーカス
> が合わせ辛くとも構いません。アクセサリーカタログも見ないで聞いてますが、急に
> 気になったので教えて下さい。
ファインダーやスクリーンの役目は結構あって、なかなか両立しないようです。
以前、明るいファインダースクリーンの研究をやったのですが、なかなか完璧には
なりません。
さて、ぼけが良く見えると言うことは結構難しいことです。 その前にちょっと考えて
見ると、ファインダー関係には、
1)明るい
2)ピントがあわせやすい(ピークがつかみやすい)
3)モアレなど余計な物が見えない、また拡散物がみえない
4)色が再現している(余計な色が着かない)
5)1から4が画面で均一である
なんて、要求があります。(もっとあるか?)
1)はスクリーンだけではなく、プリズムやコンデンサーやフレネルレンズも活躍して
いますが、撮影レンズからスクリーンに来た光が、スクリーンで広がってその後の光学系で
目に導かれます。 ここで、問題はスクリーンで広がった光を集めて目に導くには限りがある
ことです。 すなわち、集めきれない光は暗くなる(当たり前ですが)。
よって、明るくするにはあまり広がってもらっては困ることになります。
すなわち、拡散を少なくすれば良い。
さらに、Fナンバーの小さな(明るい)レンズはスクリーンに入射してくる光の角度
(円錐)が広いので、これらも拾わないと、せっかくの明るいレンズが無駄になります。
よって、本当は、明るいレンズ用とか、暗いレンズ用のマットをつくれます。
極端な話し、マイクロプリズムには適正F値があるのはこのためです。
2)は、ちょっとでもぼけて点像が大きくなったらそれを的確に判ることです(たぶん)。
たぶんと書いたのは、確信がもてない(視覚生理的な事があるかとおもいますので)ので。
これは、拡散させるつぶつぶが細かいほど敏感になりますが、スクリーンのxy方向に
細かくします。 すると光の広がりは増えて、暗くなります。
結構古い設計のスクリーンはいわゆる摺りガラスでこれだとこのピークは見やすい
事になります。 (ライカのビゾフレックスをMLの人に見てもらいその感想では
結構よかったし、ニコンのミラーボックス(RF用)も同様でした。でも暗い。)
また、摺りガラスだけでは表面がざらざらしすぎていて無駄な方向に光りを飛ばします。
つまり、目に入らない。よって、ざらざら感が有りますし、レンズを絞るとこれが顕著
です。 (うーーん、コヒーレンス理論だ) しかもランダムが目にうるさい。
つまり、1と2は両立が難しい。
3)は2の欠点であるランダムなざらつき感をなくすために、規則的に拡散物を並べることも
あります(ありました)。
しかし、TVでアナウンサーのネクタイの柄がもやもやするモアレが見えるので、
嫌われています。
また、大きすぎる拡散物は目にみえてこれも失格です。
4)は回折格子をスクリーンと言うかスプリットイメージに使う案が有りますが、色分解して
これもうるさい物になります。
5)これは、コンデンサーやフレネルの役目です。
さて、世の中に明るいスクリーンはいくつか出ました。
キャノンのレーザーマット、ペンタックス(だっけ)のアキュートマットこれらは、なるべく
拡散粒を同じ大きさにして、さらにすりガラスより大きく、拡散角度を減らした物です。
さらにキャノンからはレーザーの干渉縞を2次元で作る案が出ましたが、3)の理由で市販は
されなかったと思います。
で、ニコンも従来より明るくするために、一粒の形はどうすればよいか、どのような配置に
すれば目立たないで、モアレも無いか等をシミュレーションして作りました。
これが、FE2位から導入された。
話しは戻って、ぼけが忠実に見えることとは、やはり、今まで述べてきたようにうんと細かい拡散
物を付けることに成ると思いますが、代償として暗くなりますね。
結論はこの2行でした。 でも、面白い課題です。
Nobutaka MAGOME
Sankon Coorperation, R&D Plannning Section
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