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[nikomat 670] HAKAI DAI OU








宮崎@鉄道分科会 です。


遅ればせながら、明けましておめでとうございます。

新生ML(?)、初投稿になります。

中国からは、6日の午前1時に帰って参りました。
同行はML内、佐藤(ひ)氏です。
今回当初3人の筈が、一人(ML外)が参加不能になり、
まさに Nikomat-ML 鉄道分科会 火車(=蒸気機関車)撮影隊になりました。

書きたいことは色々ありますが、きりがないのでトラブル中心に書きます。
カメラネタは余りありません。
長いので、興味のない方・お急ぎの方はお先にどうぞ。

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ML読んでる鉄の方へ(元鉄含めればかなり居るはずだあ!)


今回前半の訪問地は、Rail Magazine 最新号(今も書店にあります)のグ
ラビアに載っている葦河森林鉄道です。訪問直前に雑誌に記事が載ったの
で、我々の訪問には影響は少ないと思っていましたが、記事を読んで訪問
した人もいました(一名)。

雑誌では冬の写真は1枚ぐらいしかありませんが、冬はとても素晴らしい
情景が広がります(私は雪のある季節しか行きません)。
雪も時々降ります。
本来は山から切り出した原木(運材)運搬用の鉄道ですが、この路線では
共通運用の機関車が牽く定期の長距離(長時間)客車列車が今も走ってい
ます。

中国東北部の他の森林鉄道でもまだSLを使っている所はありますが、
旅客輸送に関しては沿線路線バスに押され、バスを改造したレールバスに
転換、もしくは旅客輸送を廃止したところが多く、ここの列車が最後の林
鉄SL客車列車と言われています。

客車列車は、街の中心に近い林鉄葦河駅を出て、奥地の終点、柳山駅を目
指すのですが、余り山深いところは走らず、小さな峠を2つほど超えて、
原野を走っていきます。その途中途中に纏まった集落があり、少し大きな
駅では物売りが、僅かな停車時間に客車列車の客相手に、菓子とかを売り
に来ます。

列車は運賃が安いことと定時制(結構遅れるが)が買われて、結構混んで
います。切符は車内売りで、3両の車両にそれぞれ一人ずつの女性の車掌
が乗り込み(おばちゃんだが)、担当車両に乗ってきた客に補充券を販売
します。

凄いことに、客車には車内販売用のワゴン車が載せてあり、専属のおねー
ちゃんがナローの狭い客車の通路をワゴン押して、時々通っていきます。

沿線には併用軌道も多く、762mm幅のへろへろのレールが、未舗装の赤茶
けた道路と枯れて根だけ残っているトウキビ畑の境目を走っています。

しかし、ここにも近代化・合理化の波は押し寄せ、この最後のSL客車列
車は赤字のため今年の夏前に姿を消す予定です。

厳冬期、本来なら毎朝−20度位になる土地なのですが、去年・今年と暖冬
で大分暖かいようです。それでも今回は葦河の奥地で、−23度を記録しま
した。

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今年は中国も暖冬で初日から暖かく、気が引き締まりませんでした。
そのせいだかどうかは知りませんが、今回は例年になく機材トラブル・旅
行トラブルに恵まれ(!?)ました。


【Part1】

1998/12/30 朝7時半頃 晴れ −13度
       黒竜江省 尚志市 葦河 葦河森林鉄道 葦河駅構内

例年なら、−15度かそれ以下に下がる筈が異様に暖かい。
これもエルニーニョの影響か?

寒ければ寒いほど煙の上がり方がいいので、−25度覚悟で来ている者にとっ
てはこの暖冬は不満である。もっとも、−15度でも風が強く吹いたら、た
まりませんが。

中国の東北地方が暖冬なのは去年からの話。
その前年は平年並みの寒さと、記録的な大雪で私は遭難しそうになりまし
た(※)。

今年の葦河は、訪問数日前に降った雪が、かなり融けていました。
中国人の生活習慣ではどこでもゴミを捨てまくるので、雪がないと街は大
変汚く見えます。

ここは黒竜江省山中の田舎町、林業でなりたっている街。
ロバが大八車を引く、「ロバタク(驢馬のタクシー)」が今でも見られま
す。馬車/馬そり、牛車/牛そり(タクシーはなく、自家用が多いのは足
がのろいせいか?)もあります。そういえば、ロバそりは何故か見たこと
がない。馬でもなくロバでもない、怪しい4つ足の獣がいますが、多分あ
れがラバなんでしょう。

馬とかロバとかが堂々と馬車を引いているようなど田舎なんですが、TV
の影響力は凄くて、若い女性は都会風の身なりをしていたり、食堂のおば
ちゃんがピアスを付けていたり(これは田舎問わず、3年前から中国で大
流行)、以前は田舎では殆ど見掛けなかった化粧した女性も、今では多く
見掛けるようになりました。

また、携帯電話はこんなところにも進出していまして、煙上げている汽車
の脇で携帯掛けているオヤジが居たりします。もっとも中国の場合、田舎
などでは電話回線普及率が低いので、有線電話より無線方式電話の方が普
及しやすい様です。

ちょっとした不注意で、9月に買った DV-VTR SONY VX-1000をジッツオ
カーボン(マンフロ410付)ごと倒し、VX-1000はお亡くなりになりました。
今までやりそうでやらなかった事が遂に起こったという感じ、まあこれは
私の責任ですが。
破壊大王はここから始まります。

SW入れど、液晶画面がまっ暗。
このカメラのビューファンダーのフレキシブル基板が弱いのは知っていた
ので、思いっきりひっぱたいたら(昭和40年代のテレビみたいに)見事
復活しましたが、転倒時にダイキャストフレームの三脚座はもげていまし
た。その他、外装の一部も壊れましたが、何とか最後まで使っていました。


※ 穆稜(むーりん)遭難未遂事件(1997.1.1)

 中国東北地方を襲った数十年振り(村長の話だと38年以上)の大雪の
 ため、我々撮影隊はホテルから80kmの撮影地で身動きが全く取れなく
 なり村に封じ込められ、その村の村長邸に2泊した事件。マイナス20
 度以下の吹雪の中、夜10時近くの雪原を日本語中国人ガイドと合計4
 人で、2km程歩いた状態は「八甲田山死の行軍」と呼ばれている。
 しかし、正月2日には中国の家庭料理を食べながら、中国人家族と麻雀
 をしていました。


【Part2】

同日   朝10時頃 晴れ −10度〜−5度
     黒竜江省 尚志市 葦河森林鉄道 平林 〜 双方 サミットにて

朝8時、林鉄葦河駅で客車列車(線路幅 762mm の狭軌鉄道で、ちいさな
蒸気機関車+マッチ箱のような客車3両+荷物車)の発車を撮り、手配し
た車で追いかけ追い抜き、峠越えの地点で待ち伏せします。

別の日本人鉄ちゃん(この日は我々以外に1名いました)のアオリをくら
い、俯瞰するお立ち台に登る崖の所で、F5+MF-28+AF-ED 80-200/f2.8D
<New>を落下(と言うより、首に下げたまま倒れた感じ?)してしまいま
した。この時は気付きませんでしたが、後で気付いたことに、

・F5はフランジバックが明らかに狂った(レンズにより無限が出ない)
・AF-ED 80-200/2.8D<NEW>も光軸は狂っている可能性大。
・マルチデータバック MF-28 は表示用大型液晶がピキピキに割れて、
 液晶が溜まっているが、それでも機能している模様。

つー訳で、ダイナミックに破壊してしまいました。
崖を降りるのでわしを煽ったあの鉄ちゃん、恨んだるー

これで、歴代のメイン機材

 ・NewFM2
 ・F4S
 ・F90XS
 ・F5

は全てフランジバックを狂わせてきたことになりました、わっはは!

★さすが、フランジバックキラー!! アホじゃ...

F5だけは狂わせまいと気を使ってきたのに...

この後もF5は使っていましたが、F90XSからネガを抜いてベルビア
を詰め本務機にしました。予備の予備だったNewFM2にも出番が回って
きました。


【Part3】

1998/12/31 午後1時50分頃 快晴 日中 −15度〜−10度
       黒竜江省 尚志市 葦河 〜 五常市 山河屯 移動中

手配していた軽ワゴン(地元の運転手付)で移動中、無理な追い越しが原
因で、道路端の石と路線バスに接触し、数十kmのスピードで背の高いワ
ゴン車は90度右に横転しました。私の場合、脱出は粉砕した後部ハッチの
割れた窓ガラスからでした。あっと言う間の出来事だったので、余り恐く
はありませんでしたが、実はかなり凄い事故でありました。

う〜ん、2月は自分のバイクで事故るし、10月には乗っていた(運転して
は居ない)車のフロントガラスが、飛び石で一瞬にして粉々になるし、大
晦日は接触横転か 〜 去年はついていたなあ(事故にか?)。
今まで全く事故に縁がなかったのになあ。

幸い助手席に乗っていた日本語ガイド(中国人)の、右肩捻挫ぐらいで済
みましたが、車が倒れた時はどうなることかと思いました。
ひっくり返った瞬間、私の tamrac 613 と、Lowpro omni-pro のカメラ
バックが車内を飛んだ模様。
佐藤(ひ)氏の f64 バックは、空中を飛んだのか?

荷物の一部はエンジンオイルとガソリンを被る。

こんな事件があっても、この日の午後以外はスケジュールを計画どおりで
勧めます(鬼じゃ)。何と接触したバスに荷物と共に移乗して、この日の
目的地である国鉄山河屯駅まで行きました。


【Part3】

同日夜、列車で吉林省 吉林着

今回の途中訪問地の中では唯一「地球の歩き方」に出てくるまともな都市。

駅の改札をいつもの様に出ようとすると、「荷物重量オーバーの疑い」で
捕まる。他の駅ではごまかしてきたが、遂にここで捕まってしまった。
中国は鉄道利用の場合にも携行荷物に重量制限があるのです(20Kgだった
かな)

以前捕まったのは大連駅で、分銅おもり(?)で計量する古臭い秤であっ
たが、ここのは最新式デジタル一発表示であった。

 ・佐藤(ひ)さんの荷物、バック3つで30Kg弱。
  罰金10.8元なりー(1元=15〜17円)

 ・私の荷物、tamrac 613,Lowpro omni-pro,ジッツオ+マンフロ410,
  バックパック,台車その他で、45Kgありました。
  その殆どが機材です。
  罰金は同額でした。

ついでに今回の私の主要携行機材一覧です。

冬の中国は、最大級のイベントなんで、いかんせん荷物が多くなってしまい
ます。撮影地では2つのカメラバックに分け、全部持ち歩くことも多いです。


★は今回導入の新兵器(中古もあり)

 間宮RZ67Pro2(220フィルムホルダー/WLファインダー付き)
 RZ用 220フィルムホルダー×もう一個
★RZ67Pro2用ワインダー2
 SekorZ90mm/f3.5W
★SekorZ 150mm/f3.5W

 F5(+MF-28/バッテリーパックMS-30×もう一個)
 F90XS
 NewFM2

 AF20mm/f2.8D
 AF35mm/f2D
 AF50mm/f1.4D
 AF85mm/f1.8S
 AF ED80mm-200mm/f2.8D<New>
★Ai ED300mm/f4.5S
 SB−25

 Minolta AutoMeter4F

 SONY DVビデオ DCR-VX1000
 SONYワンポイントステレオマイク ECM-959×2本

 SONY DAT DTC-D8(+SBM−1)

 ジッツオカーボン1227+マンフロジュニアギアーヘッド410
 ハクバ製軽量三脚

 フィルム:ベルビアRVP135−36×70本、その他
 単3アルカリ/リチウム電池×40本以上

やはり、アホじゃ。
一人の荷物ではないな。
佐藤(ひ)さんの身軽なこと...


【Part4】

1999/1/1 午前8時00分頃 曇り −24度
         吉林省 長図線 新站駅

朝5時20分吉林発のローカル列車を途中下車します。
暖冬の中での最低気温でした。
街路樹が凍り付いて、真っ白。

外国人が来たことがないような田舎ですが、切符を見せて改札出るだけな
のに、「パスポート見せろ」と言われたのは中国でも初めてです。
ここは勿論、開放都市なんですが。
この温度でも、NewFM2でのスナップは問題はありません(この時は他
機は使わず)。酸化銀電池の露出計も動いていますが、巻き上げがきりき
り言います。


同日   午前9時50分
      吉林省 新站機務段(=機関区)

入って本当にいいのか良く分からなかったが、守衛や機務段(=機関区)
関係者が大丈夫というので、新站(シンジャン)機務段構内に入る。
この機務段に入ったという情報はイギリスの雑誌にもなく、日本人の訪問
者も居ないはずで、概要が良く分かっていない。

30数両の本線用蒸気機関車が前年は所属していた筈だが、おびただしい
数の蒸気機関車の廃車体だらけで、旅行中一番の寒さの中、煙すら見つか
らない。

色々聞くと、庫の中に1台だけ有火状態の機関車があるという話なので、
案内して貰い撮影を始めようとしたところ(RZ67を出そうと思った)
で、公安のおっさんが登場し撮影は中断となってしまった。

久しぶりにとっつかまってしまいました(珍しいことではなく、場所によっ
ては駅で撮っていて捕まる事もあります)。

しかしこの時は約1時間半も身柄を拘束され、調書まで書かされた(と言っ
ても私が喋ったのを日本語ガイドさんが訳して、公安のおっさんが書くので
すが)。

撮影に際して異常にうるさいのは、ここら辺に最新型の地対空ミサイルの基
地だか生産設備だかがあるためらしいと判明。

 ・その最新型のミサイルとやらを、ロバで運でんじゃねーか?


【Part5】

同日   正午前後 曇り −20度前後
      吉林省 長図線 蛟河駅

開放されてから場所を移動し、情報の殆どない中都市、蛟河(ジャオホウ)
へ。結構大きな街で駅も大きく、駅のホームに入れたので写真を撮り始め
たら、公安のおっさんがまたうるさく寄ってくる(連行されるようなこと
はなかった)。

マイナス20度の寒さの中、素晴らしい煙を残して運材を積んだ貨物列車
が発車して行ったが、発車場所が公安詰め所の前なので、我々は遠くから
指をくわえて眺めているだけでした...しくしく。

場所を移動し、公安詰め所の反対側でF90XSを使おうと取り出したら、
なんとグリップ付近のプラスチック上カバーがバリバリに割れて、なんと
内部のプリント基板が見えます。

思い当たる節と言えば昨日の事故しかないので、どこかにぶつけたようで
した。機能的には問題ないようなので、この後もこちらをメインで使って
いましたが、F90XSの寒さに弱いこと弱いこと、F5はマイナス20度
でもリチウム詰めれば全く問題なく動きましたが、こいつはマイナス10度
ぐらいでも怪しくなります(勿論リチウム詰めてです)。

F100は寒さに強いのだろうか?

弱かったら、F5もう一台しか道がありません。


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トラブルの連発した、12/30 〜 1/1を中心に書きました。



             (株)リコー  秦野事業所 宮崎 昭彦
               E-mail:amiyazaki@nts.ricoh.co.jp