[Date Prev][Date Next][Thread Prev][Thread Next][Date Index][Thread Index]

[nikomat 1193] Re:Bessa-L



よしだ っす。

古い話ですが、、、

In message <199901111528.AAA21762@ml.asahi-net.or.jp>
   "[nikomat 756] RE:Bessa-L"
   "Yasuyuki Onishi <GEH11164@nifty.ne.jp>" wrote:

 > >> あの花形フードって専用ボデー(?)以外につけたとき、ちゃんとした位置に
 > >>くるものなんですかねぇ? それとも自由に回転するものなんだろうか?

普通、どちらも ありえませんね。

ただ、もし そうなっているのであれば、、、

 > ぢつは、ここのところがよく分かりません。私も、どういう構造になっているの
 > か、やや、不思議に思っているのですが・・・

レンズのフィルター部のほうも フード部のほうも、どちらも2重構造で、
本体の位置に対して、ネジ部だけ 回転可能(んで、芋ネジか何かで回転方
向を固定)という構造でしょう。

# 普通のレンズでも、距離感環の距離目盛と、ヘリコイド繰り出し量が
# 一致しているのは、こういう構造のためです。

ちなみに、ネジの切り出し位置を 部品図で 設計指示することは とっても
難しく、やったとしても、そんな加工は、労ばかり多くて、精度が出ません。

このようなことをやりたい場合は、まず 雄(雌)ネジを切り、ぞの相手と
なる雌(雄)ネジを持つ 治具に取り付け、取付けた状態で 治具側の基準面
を使って フライス盤や ボール版 のステージにセットする。。。
という方法を取るはずです。

ネジ部結合による部品を 組み立て後に 安定した位置に持ってくるには、
どこかで ネジの座面(頭の裏側)などの平坦部を 面接触させるのが常で、
実際には 回転位置を加工で制御したいとしても、直接的にそれを加工で
制御するのは 難しいし、それ以前に 位置安定性が 悪いです。

*****

光学設計のほうでも そうですが、設計という観点から見ると、製造工程を
無視できないわけで、製造(含:組立て)では「複数組み合わせ部品の同時
最適調整」なんて出来ない(下記 注 参照)わけです。つまり、製造での調整
って 線形計画法的なんです。
だから、出来上がった部品に対しては 色々な解釈が可能なんだけど、製造を
前提にした 解釈じゃないと「設計としても ナンセンス」だと言われてしまう
(実際、私、何度も 言われた)んです。

(注)個々のレンズ位置を 微少に動かす 機構などが 鏡筒に含まれている
      場合には 可能です。このような機構は ステッパーでは 使ってますが、
      写真レンズでは 使えないでしょう。

んで、こういう観点から見て、ネジの切り出し位置を制御する なんていう
設計は「素人の設計」だと言えます。メカ設計者としては 一発で 失格です。
メカ設計者の技量は、「製造し易さ&精度の良さ&許容公差の大きさ」の全て
を満たす モノ を 設計できるか否か で 評価されますから。


-----
 吉田幸司  (株)ニコン  zip.140-8601  <yd@nikongw.nikon.co.jp>  
         精機事業本部 半露3-10G | 技術開発本部 技開2-2G
  voice: 03-3773-2846             | 03-3773-1111 (ex.2772)
  fax  : 03-3775-9042             | 03-3773-1167