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[nikomat 9644] Re: German Wine / Deutscher Wein
佐伯です。
> 従って等級が摘み方でなく、糖度等で決まるのであれば(ぼくは知らなかった)13%
> 到達はAusleseあたりになりそうです。
Germann Wineで書きましたように、ドイツワインの等級は糖度
で決定されます。この辺は、特に日本では、「貴腐ワイン用のブドウ
はピンセットで一粒一粒集めて・・・。」なんて具合にロマンティッ
クに語られたり、それぞれの等級の説明自体が、遅摘み、房選り、な
んて具合ですから、誤解を招いても仕方ないですね。
ということでカビネットで13%というのが普通には存在しない
のをご理解頂けたかと思います。
70年のワイン法で定められる前は、等級というのはそれぞれの
生産者が、ひいてはワイン・コミッショナー(フランスのネゴシアン
みたいなもの)が試飲して、「これはアウスレーゼ、そっちはベーレ
ンアウスレーゼ」と言った具合に決めていました。なんか心配です
が、その当時は今みたいに猫も杓子もシュペートレーゼ、アウスレー
ゼなんて作っていなかったので、大した混乱も無かったようです。
しかし60年代後半に、ドイツでシュペートレーゼの表示を巡る
裁判が発生。要は、あるワインはシュペートレーゼを名乗るには質
が低すぎる、という事だったのですが、訴えられた方は、「自分の
醸造所では遅く収穫したブドウを使用したので、遅摘み。」と主張、
結局それが通ってしまいました。
こんな事件があった事と、69年にECのワイン法が施行される
ので、そのための国内法の整備が必用となり、その機会に、等級が
糖度を基準として定められたのです。官能検査(検査をパスしたワ
インにはA.P.Nr.が与えられます。ラベルには必ず表示)もその際に
導入されたもので、前述のようなシュペートレーゼ論争などに終止
符を打つべく、「典型的なワイン」という概念が取り入れられまし
た。これによって、分析データは合格しているが、薄っぺらな、カ
ビネットと間違うような味のシュペートレーゼは、シュペートレー
ゼとして販売出来ないようにしたわけです(原理的には)。
数年前まで、ドイツの殆どの生産地域では、本収穫開始日という
のが、市町村単位の委員会で決められていました。それ以前は例外
許可を貰わないと収穫出来ない、またブドウ畑が閉山(入畑禁止)
されたなんてことが行われていました。その当時は例えばシュペー
トレーゼは本収穫開始後最低1週間以降に収穫したブドウを使用し
なければならない・・・、とワイン法にありましたが、今では収穫
開始時期は各醸造所の判断に任されていますので、収穫開始の初っ
ぱなにシュペートレーゼ、それどころか貴腐ワインを収穫しても、
なんの問題もありません。
現在では等級に関して、糖度以外の条件があるのはアイスワイン
のみで、「気温が充分に低く、凍った状態で収穫され、搾汁されね
ばならない・・・。」です。
まあ、リースリングで言えば、ピンセットで一粒一粒というのは
大袈裟としても、貴腐ワインを作るには相当な努力をしないと出来
ませんから実質上製造方法は決まってしまいますが。
BYE!