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[nikomat 11024] Re:New EOS-1n?



ひうらっす.

> > D1の写真も雑誌でみたけどディジタルってダイナミックレンジが低い
> > ような、コントラストがないってか?。
> 
> デジカメはレタッチ前提の素材を提供しているので、白とび・黒と
> びを押さえるためにデフォルトで軟調にしているのでしょう。硬く
> するのはデジタル処理で一瞬ですし。

そうですね,
ダイナミックレンジそのものは,雑誌の印刷上を見た目で判定するのは
ちょっと困難でしょう.(印刷に,データのダイナミックレンジを
表現する能力がない.普通は・・)

どれぐらいダイナミックレンジがあるのか(シーンの明暗情報を
どれだけちゃんとデータとして持っているか)を表現しようと
思ったら,むしろ,コントラストを落として,暗いところや明るい
ところを印刷で表現可能な範囲に圧縮して見せないと難しいでしょう.
(雑誌の普通のページの印刷のレベルでは)

コントラスト,つまり明と暗の明度差は,要するに印刷されたものの
明部と暗部の明るさの比率になるわけですが,もとの信号の濃淡レベル
の範囲が十分広ければ,あとは印刷の能力でそれは制限されてしまう
わけです.

で,「見た目のコントラスト」に付いて言えば,もとの明暗の
「見せたい範囲」を目いっぱい,この印刷で再現できる範囲に
引き伸ばして見せれば,コントラストが高く見えるわけなので,
むしろコントラストが高く見えるかどうかということは,
ダイナミックレンジとは相反するといえるでしょう.

(シーンが同じ明度であれば,同じ濃度で印刷されるという条件の
 元で実験したときは,確かに,ダイナミックレンジが広いほど
 コントラストが高く見えるはずですが,普通はこうなってない)

リバーサルフィルムは,フィルムそのものがこの「コントラスト
強調処理」に相当する効果を持っているので,コントラストが高く
見えるのでしょう.同じような絵をデジタルで出すのは簡単ですが,
敢えて元のデータを見せるために処理をしていないんだと思います.

> D1の試写写真(jpg)をphotoshopにかけて色々やって見ましたが、と
> りあえずほとんどの写真はヒストグラムで下に偏ってました。一種
> の露出不足ですが、これもハイライトの白とびを押さえるためと思
> います。

コンシューマレベルのデジカメでも,結構潰れたように見えるところの
救済が利くことがあります.

> 本来ダイナミックレンジは銀塩よりCCDの方が大きいような気がし
> ます(←多分正しい)が、誰か証拠を御存知ありませんか?

フィルムやデジカメもいろいろだし,比較が難しいかもしれません.

最も安価なCCDとアンプの組み(ビデオカメラ用などの小さいやつ)
などでは,大体 7bit に相当するぐらいのSN(42db か)のようです.
画素の面積が大きくなるほど,熱雑音は小さくなる(面積の平方根に
反比例する)ので,D1みたいな大きなCCDはもっとSNはよい
ですね.(もちろん,冷却はメチャクチャいいです.14 - 16bit とか)
D1 の AD は 12bit のようです.

ネガフィルムの再現域(濃度域)は10進で4桁,つまり 10^4 ということで,
13bit 程度あるということになります.ポジはもっと低くて,せいぜい
3桁前後というところでしょうか.(そんなにないかも)

ただこれらは濃度域という議論であって,ダイナミックレンジという
話ではないんですよね.銀塩は粒子のノイズがかなりありますが,これは
とても小さいので,離れてみると問題ないわけです.粒子レベルで
見ればかなりダイナミックレンジは低いと言わざるを得ませんが,
もうすこし低い解像度で評価すればもっと暗いところまで情報が
残っていると言えます.

#デジカメでも同様に,解像度を落とすと画素の明度方向のノイズ
#が減ることになります.だから,例えば(乱暴な話だけど)
#全画素を平均化した明度を計算すれば,熱雑音の影響はかなり
#押さえられるということになります(暗電流の値が一定になるので,
#それを引き算すればよい)

ということで,解像度を合わせて評価せねばなりません.

私の意見では,単に濃度域という話で言えばフィルムはなかなか
高いんだけど,非線型性があって簡単に暗部の救済が出来ないとか,
色が転んでしまうということがあるので,実用上のダイナミックレンジ
は(冷却でなくても,よいデジカメであれば)デジタルのほうが高い,
と考えています.






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 日浦 慎作  Shinsaku HIURA
 大阪大学大学院 基礎工学研究科
 システム人間系専攻 システム科学分野
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