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[nikomat 12261] Re: JVC Digital Camera
日浦です.
> やぁ、rin@NewFM2です。
> > In message[nikomat 12256] Re: JVC Digital Camera
> > やぁ、rin@NewFM2 さん <rin@nims.nec.co.jp> wrote:
> > > > こくぼさん
> >
> > > > RGBGR・・・
> > > > GBGRG・・・
> > > > BGRGB・・・
> > > >
> > > > このうちの RG
> > > > GB の4ヶで通常の1画素を構成します。
> >
> > > このような説明がWebにも載っていましたが、
> > > 具体的には色フィルタをどのようにずらしてやるのでしょうか?
> >
> > 演算だけずらしてやるのではないでしょうか?4つずつで一組のところで、同
> > じ画素を複数の組に使う。上の図だと左上の4つと、右と下に一画素ずつずら
> > した4つといった具合いに。そうするとCCDの画素数はそのままで演算だけで出
> > 力画素数が上がると。
これはこくぼさんのご説明に関するコメントですよね.
まず最初に言えるのは,おそらくビクターのものは物理的動作が
入って居るだろうということです.
というのは,(以下で書きますが)普通デジカメは全画素読み出し
なので,一度CCDから明度値を読み出してしまえば,あとはCPUで
どういう演算をしようと限界は変えられないからです.
> そうすると、フレームがずれるのでブレた映像になりません?
画像を縦横倍の解像度にして,隙間にずれた画像をはめ込むとピッタリ
というわけですね.
---
基本的に,CCDの読み出しは,デジカメと,普通のビデオ用で
違います.
デジカメは基本的に「全画素読み出し」と言って,上のこくぼさんの
図で言えば,それぞれのR,G,Bを別々の値として読み出します.
後はCPUでうまく補間して,画素毎のRGB値に変換します.
(ある種の近似をするわけだから,白黒300万画素に比べ,
カラー300万画素は解像度が劣る)
一般的なビデオ用はこれとは違うんですね.
まず,NTSCビデオは,飛び越し操作というのがあります.
つまり1/30 秒の画像1枚を,偶数番目のラインと奇数番目のライン
をわけて順に伝送するわけです.
そこでどういう処理をするかというと,
RGBGR・・・(1)
GBGRG・・・(2)
BGRGB・・・(3)
GBGRG・・・(4)
これのうち (1) と (2) の値を縦に混ぜて読み出します.
次の走査線では (3) と (4) の値を混ぜて読み出します.
という風に縦に2画素づつ足して読んでいくわけですね.
(この値から,輝度信号,色差信号を計算するのに,さらに
左右の隣同士の計算をするので,結果的には,1つの値
を決定するのに4画素が絡んでくることになる.普通は,
NTSCビデオの場合,シアン・マゼンタ・イエローの
補色フィルタが多いんですが)
次(のフィールド)には,飛び越し操作なので,1画素ずらして,
(2)+(3), (4)+(5), .. という風に読んでいきます.
こういう計算をすることによって,画素数が縦に約 500 画素の
CCDを使って,走査線 525 本(画像が入ってるのは 500本程度)
の画像ができ上がります.ずれるのは「織り込み済み」なんですね.
こくぼさん:
> ならば、300万画素は本当に300万画素なのでしょうね。
> 昔の30万画素とか言ってたCCDは、RGB別々に数えて
> 約30万個でしたから、4個一組で数えると全然足りないのが実状でした。
確かにNTSCビデオ用のCCDは30万といっても,読み出すときに
勝手に画素値が混ざってしまうので,嘘っぽいですよね.
実際,NTSC(走査線525本,水平 768 サンプルとかも多い)に比べて,
計測(FA)用の全画素読み出しカメラというのがありまして,これは
出力フォーマットがVGA(640*480)なんですが,見違えるように綺麗です.
(NTSCがタコなんで,あたりまえか)
こくぼさんがおっしゃる技術,つまり読み出し時の画素値の結合関係を
変えるという技を使えば,最終的には全画素読み出しの画像に近づいて
くると思います.
デジカメはそういう意味では混ざらず出てくるので,300万といえば
そうですが,各色300万あるわけじゃないんで,300万画素×3の
3板式に比べると劣るでしょうね.
あと思い出しましたが,デジカメのCCDでも,液晶ファインダー
でフレーミングするときに高速読み出しが出来るようになってますが,
こういうときは画素値をCCD上で統合して読み出せるようになっている
ものがあります.(オンチップビニングといいますが)
----
> > CCDのDレンジってネガ以上に広いと思うのですが、
> > それ以上に広げて何を撮るのだろう?
>
> ネガの方が遥かに広いような気がします。
> ネガは、シャッター速度と絞りで受ける光量を決められてしまいますが、
> CCDは電子シャッターが効かせます。
> 明るい場合は電子シャッターで対応できるので、見かけ上対応できる光量には
> 幅ができます。
> でも、同一画面内での輝度差を考えた場合には、ネガのDレンジの方が遥かに
> 広かった気がします。
> フィルムスキャナーでネガ読みとりの調整が大変なのも、このためかと??
> (ネガは暗いので光量の問題もありますが、日浦さんご指摘のように
> CCDは暗い側にはノイジーで弱いです)
>
> >>だから多重露出は明暗(名案)かも!!
難しい問題ですね.
フィルムには画素がありませんから.
基本的にネガは,明暗の階調がたくさん取れます.非常に暗くても
なんらかの濃度変化がフィルム変化に現れやすいということですね.
しかしある1点(非常に微小な一点)の濃度値を見ると,これには
粒子とか色素のノイズがかなり乗っていて,この微小な濃度変化は
このノイズに埋もれてしまってるでしょう.
しかしこれを,ある面積で見てやると,この粒子のざらつきが平均化
されて,ある意味のある濃度変化が生じていることが見て取れます.
・・という風に,フィルム全体で評価して,「どれぐらいの濃淡が
フィルム上に現れるのか」ということを計測すると,非常に優れた
階調性を持っていることになります.
#そういう意味では,白黒フィルムは「超高解像度の二値画像の
#ディザリングで濃淡を表現している」と言えなくはない.
しかしこれをCCDで考えると,ある画素値はせいぜい 8bit で,
ノイズも乗っているので,対したダイナミックレンジがないように
思えます.だけど,これもフィルムと同じように,画素値を平均
して考えると,8bit 以上の濃淡が出せます.(ちょうど,ビット
数の少ないディスプレイで,ディザリングで画像を出すようなもん
ですね)
まえのメールで,「N画素を平均化すると,ノイズはルートNになる」
ということを書きましたが,乱暴に 512*512 画素の画素値を平均化
すると,ノイズは 1/512 になるので,8bit のデジタル画像が
17bit の濃淡値を持つということも,まあ言えなくないです.
では同じ面積比(というか,画面面積に対する画素の面積)で考えると
どうなのかというと,実は 300万画素程度のCCDだと,ノイズ
レベルという観点ではネガとそう大差がないところまで来ているのかも
しれないなぁと思ったりします(ちゃんと評価したことないです).
これ考えるためには,フィルム感度とか絡んでくるので(フィルムが
微粒子だと,それだけ単位面積辺りのノイズは減るので),CCDを
合わせないといけないとかいう問題になりますが.
#フィルムの場合,こういうSN比的な考え方は実はあまりされてなくて,
#単に「濃度の階調」という目でみられることが多いので,階調が多いと
#考えられているのかもしれない.
それと,常温ではCCDはそこそこですけど,マイナス30度ぐらいに
冷却しちゃうとまさに無敵です.
参考
CCDの読み出し原理など
http://www.nikon.co.jp/main/jpn/photography/konno/01_j.htm
CCDの簡単な構造
http://www.world.sony.com/JP/Fun/DigitalDream/dv/dv1.html
ソニーCCDのデータシート
(通常ビデオ用,全画素読み出し型それぞれあるので,
比べるとよく分かる)
http://www.sony.co.jp/~semicon/japanese/33003.html
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日浦 慎作 Shinsaku HIURA
大阪大学大学院 基礎工学研究科
システム人間系専攻 システム科学分野
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http://www-inolab.sys.es.osaka-u.ac.jp/~shinsaku