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[nikomat 14755] Fuji New Film Impression (Very Long)
小城です。
テストリポートの公開の可否について、関係筋に確認を取っていたため遅く
なって申し訳ありませんでした。
>しみずよぅさん、丹後屋さん、やぁ、rin@NewFM2さん
特に問題がないようですので、公開させていただきます。
なおテストにあたり使用したフイルムは、富士写真フイルム株式会社様から
テスト用にご提供いただいたフイルムであり、発売時の製品と同一であるこ
とを保証するものではありません。また各種条件により、使用時の結果が異
なることも考えられますので、本レポートはあくまでも参考案件としてお読
みくださるようお願いいたします>ALL
テスト実施日:2000/06/16〜21
テスト被写体:MLB Detroit TigersのHome & Away Game
テスト使用機材:Nikon F5, AF-S Nikkor 300mmF2.8D,AF-S80-200mmF2.8D
AF-S17-35mmF2.8D
テスト条件 :自然光、スタジアムの照明光
テスト使用フイルム:Fuji RDP2 EM.No.155013
Fuji RDP3 EM No.001002(*1)
Fuji RHP EM No.Unknown(*2)
Fuji RHP3 EM No.201012(*1)
Fuji RMS EM No.Unknown(*2)
(*1)富士写真フイルム株式会社様よりご提供いただきました。
(*2)プロラボ・クリエイト東京様よりご提供いただきました。
テスト現像条件:<条件1>RDP2,RDP3>E-6ノーマル現像
RHP,RHP3>E-6ノーマル現像
<条件2>RMS>E-6 P-3現像(EI1000相当)
RHP3>E-6 P2現像(EI1600相当)
テスト目的 :スポーツ・フィールド撮影に於ける新フィルムと旧フィルム
の表現傾向の違いを把握し今後の対策に役立てたい。
<1>RDP2 VS RDP3 Impression(現像条件1の場合)
テスト実施時の天候:昼間>晴れ時々薄曇り
宣伝では、EI50クラスの製品を凌駕する粒状性だけが強調されているが、実
際の使用に当たっては、粒状性だけでなく、階調の再現性や像の鮮鋭度など
も大きなファクターとなってくる。またRDP2の「好き・嫌い」のポイントと
なっていた「シャドー部の色傾向」も重要な要素かと思われる。
1.粒状性
従前のフィルムでも、印刷原稿用としては全く問題ないレベルを達成してい
たが、RDP3になってから、より微粒子な状態を達成していることがポジから
も読みとれる。
2.階調の再現
Eastman Kodakのフィルムに比べると、今までは階調の再現よりも色の彩度
の再現に重きを置いているのが富士のフィルムという印象が強かったが、デ
ーライト光での撮影比較の限りでは、RDP3はRDP2と比較して中間階調の再現
もよく達成されているのが見て取れる。但しこの傾向だけを捉えて「KODAK
のE100Sに似た再現傾向」との評が一部で散見されるが、その意見について
は現時点では(私は)同意しかねる。(追ってテストの予定)
また、現時点ではRDP3からのプリントについてのデータがラボにないためか、
一部ポジを機械焼きプリントにて依頼したところ、本来の調子ではないプリ
ントが仕上がり再プリントを依頼する羽目になってしまった。
(手焼きの場合は大丈夫な様子)
3.シャドー部の再現
RDP2の場合、シャドー部の色がマゼンタ傾向に転ぶクセがあり、これが「発
色の鮮やかさ」と誤解させる傾向があったのだが、RDP3になってシャドー部
の色転びはほぼ解消されている。これは「正確な色再現」という点に於いて
は大変好ましい傾向だが、今までのRDP2の発色に慣れていた人にとっては
「地味になった」という評価になるかもしれない。
また、今まではこの「マゼンタ転び」のお陰で、多少の露出ミス(オーバー
側)はわからなかったのが、RDP3になると「露出オーバー=白飛び」という
結果にもなるので、露出については今まで以上に条件がシビアになるものと
思われる。
4.像の鮮鋭度
従前のRDP2でも実用上全く問題のないレベルを達成していたが、RDP3もこの
点については何ら問題とはならない。
<2>RHP VS RHP3 Impression(現像条件1の場合)
テスト実施時の天候:昼間>晴れ時々薄曇り
RDP3の大々的な宣伝に隠れてしまっている格好のRHPのモデルチェンジだが、
現行のRHPは既に16年前のモデルであり、富士の他のフィルムと比較しても
性能や色傾向が異なるフィルムだったため、今回のモデルチェンジでの対応
がどうなるのか非常に興味深いものがあった。
1.粒状性
RDP3の技術が導入されたRHP3は、RHPと比較して明らかに粒状が細かく、ま
た「粒子が揃っている」印象を受ける。数値的にはRMS拡散度13とのことだ
が、ポジをルーペで見た限りではRDP2に近い印象を受けた。
2.カラーバランス
従前のRHPの場合、高感度達成の代わりにカラーバランスを犠牲にしている
ような印象があり、特に晴天下での使用に耐えないという印象があったが、
RHP3をEI400で晴天下で使用したところ、RDP2に似た傾向の発色となった。
月並みな表現で申し訳ないが、RHPは「色が付いているだけ」なのに対し、
RHP3は「色を表現している」とでも言えばよいのか。しかしこの違いは大き
い。EI400のフィルムでも、印刷原稿やプリント使用に耐えるポジは今まで
なかったのだから。
3.シャドー部の再現
「黒が締まらない」がRHPをはじめとする富士の高感度系フィルムの特徴と
認識していたが、RHP3はこの点に於いて大幅に改善されており、RDP2と比較
しても遜色ないレベルの再現を達成している。また大きな色濁り等もテスト
フィルムでは見られなかった。
4.像の鮮鋭度
RHPの場合、像の鮮鋭度については「諦めざるを得ない」フィルムであった
が、RHP3ではこの点が大きく改善されており、RDP2に近い再現性を確保して
いる。RHPでは印刷時のシャープネス画像処理が必須であり、大変な作業で
あったかと思われるが、RHP3の場合、その作業が大幅に軽減されるものと思
われる。
<3>RMS VS RHP3 Impression(現像条件2の場合)
テスト実施時の天候:夜間>スタジアムの照明光
ナイトゲームの撮影では必須となる高感度フイルム。しかしながら従前のカ
ラーポジでは増感処理時のカラーバランスの崩れや感度のばらつきから、積
極的には使えないフィルムでもあり、どちらかといえば今までは高感度カラ
ーネガ>プリント入稿で対応していたのが実情。これをどれだけ変えられる
のか?に期待がかかる。
1.粒状性
RMSに限らず、増感処理を行うと「粒子が溶けた」ような状態となってしま
うのが今までのポジの傾向としてあったが、RHP3の場合、増感処理を行って
も、粒子が溶けるような傾向は見られない(粒子の粒が大きくなるかのよう
な印象(粗粒子っぽい)はあるが)。
2.カラーバランス
RMSのEI1000増感の場合、階調再現以前に「色がついているだけ」と思しき
再現しかしてくれなかったが、RHP3のEI1600増感は、階調がなだらかではな
いものの、極端なバランスの崩れは見られず、照明光下の雰囲気再現には
適している印象を受けた。
3.シャドー部の再現
RMSのEI1000増感の場合、シャドー部の黒の締まりがないことが大きな不満
要素であったが、RHP3ではこの点が劇的に改善されており、また大きな色
転びも見られないのが大変好ましく思える。
4.像の鮮鋭度
RHP3のEI1600相当増感の場合でも、皆無とは言えないが像の鮮鋭度の崩れが
少ないのが特筆される。
<現時点での私の結論>
1.RDP2 VS RDP3(ノーマル現像)
商品撮影等の厳密な色再現が要求される案件についてのテストを行っていな
いので、言い切ることはできないが「より細かい階調再現の実現とシャドー
部の色濁りの解消」が達成されていることを考えると、余程の問題がない限
りRDP3へ移行するものと思われる。なお富士からの情報によれば、RDP2と3
については半年程併売するとのこと。
2.RHP VS RHP3(ノーマル現像)
ネガの方はEI400が実質的標準フィルムとなっている現状を踏まえると、RHP
の改良は遅きに失した感も無きにしもあらずだが、やっと通常使用にも耐え
うるフィルムとしてRHP3が出てきたことは歓迎したい。今後は曇天時や雨天
時などの悪条件下でどうなるかも見極めながら、高感度フィルムの常備品に
できるのかどうかを判断したいと思う。
3.RMS VS RHP3(増感現像)
RMS自体がASTIAベースのフィルムであり、私自身は「余程の緊急時以外は使
わない」と考えていたが、RHP3のEI1600増感が十分実用になることを今回の
テストで認識することができたので、今後はRHP3の増感がどこまで使えるの
かについてのテストを継続し、新たな表現領域を見つけたいと思う。
また、RDP3 VS RHP3についてのテストも行い、高速度域でのシャッタースピ
ードが必要なスポーツ撮影でのベストは何か?についても、研究を続けたい
と思う。RDP2の+1,+2増感という選択肢もあるかもしれないし、RHP3の減感
という選択肢もあるかもしれないので。
本音を言うと、EKにはE200Sというフィルムがあることを考えると、富士でも
EI200のポジフィルムがあっても良いと思うのだが、、、
(以上、Fuji New Film Impression 終わり)
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Photographer:日本写真家協会会員
小城 崇史(Takafumi Kojoh)
E-Mail:tk-tyo@ca2.so-net.ne.jp
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