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[nikomat 18262] Re:S3-2000 trouble
ひうらっす.
(長文注意)
すでに落ち着いた議論を蒸し返すわけでは,ないと思う・・
むしろ,長文堂氏の説に同調して?
ただ以下では書きたいように書いてますので,長文堂氏,西野さん,
気を悪くされないでください.
一種の,なんといいますか,日浦からの sympathy のようなものだと
理解いただけるとうれしいです.
長文堂氏:
>1)修理体制がしっかりしているし修理費が安い。
>2)性能の割に値段が安い
>3)壊れない
いわく,超高価格で壊れそうだけど,ピーク性能だけは超一級と
いうような製品は,作ってないと ^^;
長文堂氏は,値段も修理体制も無視して究極を求め :-) ライツ方向へ
行ってしまわれたようですが ^^; ニコンにも,そういう究極のものを
作る技術がないわけじゃぁないと思ってます.
そもそも昔は軍需工場だったわけだし,現代では,半導体製造などの
方向性で,いくら金かかっても究極を目指す方向性は依然として
息づいているので,でかくてAFも遅く使いにくい形をしているが,
どえらく超高解像度というようなレンズは,作れと言われれば
作っちゃうでしょう.
ただ,写真機材関係に関しては,ある意味,大衆ニーズ主義と言うか,
割り切りをもって作っていると思う節があります.
パチパチその辺写すんならこの程度でよかんべ. って感じかな.
(まあこの割り切りレベルは製品によりけりなんですが.
F5とか,高級系のレンズなんかはしっかり出来ていると思いますから.)
で,この辺の性能仕様などを決定するに当たって,決してヲタク的な
方向性(危ういバランス)に走らない良識があると思います.
例えば製品にかけられるコストが 100 あったとき,レンズ系の設計製造に
90をかけて,筒やハンドリング,アクセサリーに残り10しかかけないと
するならば,ヲタク的テストでは十分な性能を誇っても,実使用では
いいものが残せない可能性はあるわけです.
その点,ちょっと画像が劣っても,AFキビキビ耐久性バリバリ,
狂いにも強い,というようなもののほうが,確実に仕事が出来ると言う
わけですね.
で,プロにもいろいろあると思うけど,こういう究極の像なんていう
ものを求めている人は極わずかで,やはりそこそこ写ったらそれで
よし,という人は多いと思うわけですね.特に中判とか大判で作品を
撮ろうってわけじゃなくて,いわゆる「お手軽簡単フォーマット」の
35mm なんですから,私なんかもそれで当然と思うわけです.
またそれゆえ,レンズの上限価格なんてものも決まってきてしまう.
またアマチュアに関しても,ある意味スペック競争に巻き込まれてしまう
ようなヒトタチ(例えば,AF合焦点の数や最高シャッター速度を
競ったり ^^;)はまあそれなりにあしらっておくとして,やはり安くて
安心して使える商品をお届けするのがリーディングメーカーの責務という
ものでしょう.
そういう意味でニコンのレンズは他のメーカに比べて,同じ値段で比べれば
決して像がすばらしく優れているというわけではないのかも,またそれは
それでいいのかも(正しい判断かも),とか思っています.
#でも私のレベルでは十二分によく写るんですけどね.
例えば高いレンズは,当然のようにすばらしい設計製造で,綺麗に写るよう
に出来ていると思いますが,それ以上に耐久性などの方向性にも重点を
置いて作っていると思います.
で,そういう方向性を決定付けたのは他でもなく我々ユーザたちだと
思うんですね.評価関数をユーザが決めて,それに対して最適解のほうへ
転がるのはメーカだと.ま頑丈な頼れる機械という方向性は
保たれていると思いますが.
また,ヲタク様向けの製品はニコンじゃペイしないので,他社様
(京セラとかね ^^;)にお任せしていると.
だから
>ところ<だけ>はどのメーカーより良いと評価してます。で、亀裸入
>門者や科学用途に”どのメーカーが良いか”と聞かれればニコンを勧
>めています。
ってことになりますよね〜〜.
またそういう,割り切りというか筋のよさがまた,えもいわれぬ本物の
味を出していて,そこがどことなく好きという人は多いと思う.
>#大昔の日本光学工業株式会社の頃には、もっと良いところがあった
>#と思う。
僕は生きてないからわからないけど,たぶん,その良いところの分,
高かったんだと思う・・買えないぐらいに.
ライツはまだこういう方向性を保っているがゆえに,
会社としてはいろいろと憂き目を見てきたわけですし.
ま,そのせいか,やっぱり古いブツに惹かれてしまうんでしょうね〜.
僕は最近さらに中判ニッコール方向へ進んでますが,なんとなく
気合の入り方が違うような気がして.あとやっぱり,1950年代
ぐらいまでのブツは,そのころに入手できた材料の悪さとか,
持てる技術に対して偏執的といってもいいほど完璧を目指したような
部分が見られて,すばらしいと思います.
そういう意味ではライツに走る長文堂氏と同じなのかもしれない.
#以前持っていたニコンS2も,単純だけど質実剛健な道具という
#感じで,よかったな〜
>#ツモ運の悪い人は続けてハズレを掴むロシアンルーレット。
長文堂氏もいろいろおありになったようですしね.
でもまあ,えらく高いと言っても,広角で F1.4 ともなれば
開放から超ビシバシとはいかないかもしれない,と思うんですよね.
まあ個体差とかもあるのかもしれませんが・・
今回の西野さんの件も,続けてダメだったと言うことで,非常に
残念でしたが,そのほかにも,ブツごとにフィーリングが違うという
話がけっこう出ていましたね.
結果的に見れば,内部の細かいパーツ(ギアなど)に至るまで
復刻した結果,「明るい案箱」時代の苦悩まで復刻してしまうという,
恐ろしい方向性を選択したところに難があったのでしょうか???
ともあれ,上記どちらの件にしても,決定的にダメな部分(製造上の
欠陥とか)もあったのだと思いますが,細部に関しては「買った人が,
その価格に対して見合う性能・品質ではなかった」と判断したと
いうこともちょっとは寄与しているのかもしれないと思っています.
#それが悪いことだと言っているわけではありませんので.
例えばうちの妻なんかは,1万円ぐらいのコンパクトカメラで十分
写って,フラッシュも光って,ピントも合って,日付も入って,etc etc...
と思ってますから,僕が買ってくるような5,6万円以上もするような
MF単焦点レンズを自分で買った日には,「開放で全画面 100 line/mm
出てないようなものなんて,欠陥だ!!」って言い出すかも??
(そんなわけないか??)
・・というようなのは極端ですが,製造者が予想していないクレームという
面も,問題となった事柄の一部については,あるのではないか(例えば,
フィルムレールに関して言えば,面精度が出ていてフィルム画面内に傷が
入らなければ製品の目的を達するわけだから)というような気もしますので,
結果として製品を返却できたのであれば,良かったと言うようなことに
なるのかもしれません.
ですが,もちろん,その傷を甘受すべきだと言ってるわけじゃありませんよ.
それが,たとえ製品の性能・機能ではなく,価値観に依存する部分であった
としても,その価値観は人それぞれであたりまえだから,購入前に見た
サンプルよりもひどいものであれば,その製品に対してクレームをつけて
返却する権利はあるといえるんでしょう.
また今回はブツが特殊でしたので,やっぱり西野さんがおっしゃるように,
買ったまま未開封で死蔵というのはヤバイかもしれませんね.
例えば中古カメラや中古車なんかは1つ1つブツが異なるんで,当然
「一物一価」で,現物をみないとなにもわかりませんが,工業製品では
サンプルや他の個体と同一であることを前提として商売するのがあたりまえです.
そこに「手作業」とか「巧みの技」という言葉は元来なじまないもんだと
いうことがあったのかもしれません.その意味で,やはり受け取る側は
ちゃんとチェックしないと,思ったものではないと言う危険性が潜んでいる
可能性があるかもしれませんね.
長文堂氏の一件に関しては,あらかじめじっくりと当該製品の最低限
(基準内ギリギリ)の性能を調べられる機会があればよかったのかもしれません.
また逆にいえば,そういう機会がなかったのであれば,ブツを買うのには
どんな高価なものであってもリスクを伴うし,購入すると言う判断をする際には
購入者がそのリスクを背負わざるを得ないところはあるんじゃないかと思います.
車なんかでもそうですよね.ぶつかるまで,安全性能なんてわからないのに,
命乗せて走ってるわけだから.
>個人が署名捺印して品質を保証する、ってのは重いですよ。本当に責任持つ気
>になる。絵描きだって刀鍛冶だって出来の悪いモノに署名は出来ない。これが
>日本光学工業の世界に冠たる品質の礎だったんでしょう。
>
>今のニコン製品に限らないけど、署名せず、会社全体で責任を受けますってのは
>ちょっと見には立派だが全体に責任をばらまいて実のところ誰も責めを負ってい
>ないんじゃないの? だから一人のニコンファンの所に連続して2度も不良品を
>届けたわけでしょう。
これについては,どっちにしても個人で責任を負うわけではないので,同じこと
だと思うし,それを要求するのは非常に酷で非現実的だと思います.
とか言いながら,結局のところ,
> > 楽しみに長い間、待って手に入れたのに・・・ 出荷検査をしっかりしてれば
> > 少なくとも一台はこういうトラブルは防げたのでしょうに。
これを思えば思うほど,本当に,残念なことでした.
また次回は良い買い物をされるよう願っております.
(長文堂氏もね)
では.
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日浦 慎作 Shinsaku HIURA
大阪大学大学院 基礎工学研究科
システム人間系専攻 システム科学分野
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