[Date Prev][Date Next][Thread Prev][Thread Next][Date Index][Thread Index]

[nikomat 25668] Re: Grand Seiko 修理顛末



ひうらっす.

#仕事は今日までで,明日から群馬に行きます.

私は,いろいろ検討し,結果的にブライトリングという会社の
B-2 という時計を買いました.
(デザイン,ケース&ブレスレットの出来,仕上げ,頑強さ,
 その他の意味で,30万円前後のクロノグラフでは
 もっとも優れていると思えたし,気に入った)

このメーカは,ごく少量の時計しか作らないメーカを除いて,
全数を「クロノメータ」検査に通している唯一のメーカである,
というのが現在のウリになっています.

クロノメータ検査は,様々な姿勢・温度のもとで,15日間
検査を行い,平均日差,日較差,温度係数などが基準値に収まって
いることを全数検査するというものだそうです.
平均日差は +6 〜 -4 秒の範囲です.

現在は,これを十分満たす機械は多いので,あまり意味が無いとか
おっしゃる方もあります.確かに「特に優れている機械」を特別に
認定する規格という意味合いは無くなって来ていると思います.
しかし,品質の外部評価基準という意味では無意味ではないと
思っています.特に優れているというわけではないが,ハズレは
ありませんよと.

ロレックスなどは,クロノメータに通ってないモデルでもかなり
精度が良かったりするようですし,未検定のものに関しては
メーカの市井が最も出るところだとは思いますが.


GrandSeiko は,これよりも微妙に厳しい規格を独自に設定して
検定していることを売りにしていますね.

Grand Seiko も,ブライトリングも,全モデルが検定済みですので,
どのモデルでも,外れのムーブメントを組み込んでいない,
ということが保証されているという意味で気持ちがいいですね.

#同じムーブメントを使っている2つのモデルで,高級なほうのみが
#クロノメータだったら,安いほうは買いたくない気がする

ちなみにうちのは,姿勢に関わらず現在日差+5秒のようです.
姿勢や,クロノグラフの使用・未使用にはほとんど影響されない
ようです. 購入後まだ日がありませんが,たいていのものは,
最初進みがちで,1,2ヶ月すると数秒程度に落ち着いてくる
のが多いらしいです.確かに購入直後より,今(3週後)のほうが
微妙にいい気がする.

>こういう高精度機械は、部品の製造や組み立てを職人の
>経験や技術に頼っているのでしょうか? それとも、
>コンピュータに制御された機械が作っているのでしょうか?

時計を載せると,その振動をセンシングして,精密に歩度を計測
する機械があります.これである程度簡単に調整は出来るはずです.
(一日待つ必要が無い)

#昔はどうしてたんだろうと思う

歩度の調整に関しては,この機械の寄与はとても大きいんじゃないか
と思います.
ガンギ車の各歯の形状のばらつきによる,各ビートのばらつきも
測れるらしいです.

ちなみに,微妙な調整部分としては,テンプのバランス取りがあると
思います.昔の機械は,チラネジという,小さいネジをテンプに
ねじ込んで調整してあるようです.
(姿勢による精度の差に大きく影響するらしい)

現在の機械では,このチラネジがついているものは少ないですが,
例えば,ブライトリングがムーブメントの調整・チューニングを
委託しているケレックというメーカでは,計算機制御により,
テンプのバランスを精密計測し,自動的に必要個所を微妙にドリルで
削り取る,という,オートバランサーを使っているようです.
ネジはないのですが,テンプの側面にごく微小なくぼみがいくつも
並んだようになるみたいです.

車のホイールバランサーに似ていますね.

>#職人さんがいなくなったら、GrandSeikoは買えなくなるか
>#という心配をしているのです。(自分では買わないと思いますが)

仕上げとか,いろんなところに職人の手がかかっていますよね.
まあ,職人でないと出来ない,という言い方がされますが,
逆にいえば「機械でやったほうが効率が悪い」というものも多い
ということではないかと思います.
この手の時計は多かれ少なかれかなり手作業が多く入っていると
思います.

スイス時計でも,大量に売れているメーカは,機械で効率よく工作
しているとかいう噂がありますが,基本的に工場は非公開らしいので
わかりませんが,まあ,数が出るから機械が導入できるんだ,
という話でもあり,必ずしも悪い話ではないと思います.
#その分値段を下げてもいいと思うけど.
小さいメーカは手作業を売りにしますが,とてもじゃないけど
設備投資が出来る規模ではないと言う側面は大きいと思います.

まあ,数の出るものは,どんなものでも,「機械で作れるように」
設計してあるという側面も大きいと思いますが...
どんなものでも,やはり,生産性は,デザインをもっとも制約する
ものではないかと思います.プレスでしわがよりにくいとか,
鋳型から抜けやすいとかね.

では

----
 日浦 慎作  Shinsaku HIURA
 大阪大学大学院 基礎工学研究科
 システム人間系専攻 システム科学分野
 〒560-8531 豊中市待兼山町 1-3
 TEL:06-6850-6372  FAX:06-6850-6341
 http://www-inolab.sys.es.osaka-u.ac.jp/users/shinsaku