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[nikomat 42174] Re: 自由曲面プリズム



ひうらっす.

自由曲面の off axis 光学系は一種,流行ですね.
やはり画質などより小型化が優先される分野向けです.
ですが撮像系に大手を振って採用される例はまだ少ないと思います.

今までの非球面は,球面ではないものの,軸対象(回転体)ですが,
自由曲面は z = f(x, y) という式で表されるような任意の曲面に
なります.(非球面は z = f(r) = f(sqrt(x^2 + y^2)) です)

撮像系には採用例は少ないと思いますが,表示系では増えています.

1つは,ヘッドマウントディスプレイ(HMD)で,
これは実世界の映像と仮想映像を合成するためにハーフミラーを
使うので,必然的に反射面があり,ここを非「平面」にしようと
するとどうしても自由曲面になってきます.
(球面に斜めに光を入れるとだと収差が不均等になるので)
HMDの2大メーカ?のキヤノンとオリンパスが両方とも
やっていると思います.
http://web.canon.jp/technology/detail/software/mr/
http://www.olympus.co.jp/jp/magazine/techzone/vol38/3803.cfm

あとは,薄型のプロジェクションディスプレイで,例えばNECのもの
http://www.nevt.co.jp/pjs/wt/wt600j.html
は画面のすぐ下から斜め上に映像を投影するのにミラーを使っています.
かなり急な角度でスクリーンに投影されるのでスクリーンの素性が重要です.
プロジェクタは歪曲や収差に厳しい(目立ちやすい)ので,結構厳しい
設計条件が求められるようです.

他には(技術発表だけかもしれませんが)三菱電機が超薄型のバック
プロジェクションディスプレイで,中身に非球面ミラーを仕込んだものを
発表しています.画面サイズが高さ 0.9m, 幅 1.2m で,奥行きが
260mm しかないもので,これは反射系でなければ実現できない薄さです.
(ディスプレイの背後の非球面ミラーで何度か光路を折っています)

このディスプレイの場合,スクリーンに対して大変急な角度で光が
入射する(垂直軸から 68度)となるので,スクリーンが単なるフレネル
レンズではダメで,ハイブリッドスクリーンというのが使われています.
画面の中央付近がフレネルレンズで,画面の周辺に行くにしたがって次第に
フレネルミラーに切り替わっていくという珍しい構造で,
大変大きな射出成型の光学系といえると思います.

>乾です.
>
>私は専門ではないので,頓珍漢な答えかもしれませんが,プラスチックレンズ
>の場合,プレス加工で作りますので,レンズの整形=プレス用の金型の整形
>となります.金型加工では,自由曲面の切削や磨きは日常的に行われている
>ので,製造については十分に可能だと思います.
>
>#サイズが小さいので,EDMで加工した型かな,そうすると磨きはけっこう
>#大変なような気もしますが.
>
>むしろ問題は設計技術ですが,自由曲面の場合でも,光線が入射する点が
>確定すれば,その面の接平面の計算は容易ですので,光線追跡をがんばれば
>設計が可能なのではないでしょうか?

非球面では光軸からの距離に対する曲率という1値を取り1値を返す関数ですが
自由曲面は2値をとるので大変でしょうね.設計すべき光束の方位も光軸からの
角度だけではなく方位2自由度になりますし.

やはり計算機が発展したので可能になったのでしょう.
上の三菱電機のディスプレイの学会発表資料では詳細な収差図が出ていましたが
なかなかのものでした.