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[nikomat:03352] Re: Zoom Lenses



ひうら@兄弟です。

#先ほどの京都周辺カメラ屋マップは僕には危険すぎます ^^;;
#この土曜に日浦弟の Contax IIIa を触って完全に「伝染った」 ;_;

> 1 開放F値が変化するタイプでは、ズームに伴う機械的な絞り機構の動きは
>    省略されている、と判断していいのでしょうか?

全部がそうだ、と保証は出来ませんが、ほぼそうでしょう。
絞りを動かしたのに依然開放F値が変化するなんて、ナンセンスですから。

#逆は真ではありません。すなわち、絞り機構を全く触らなくても
#開放F値が一定のズームもあります。

> 2 1が是だとしても、絞りの光学的位置は変化するので、
>    ズーム比と開放絞り値の比(段差)に比例関係の成立しない場合がある?
>    (たとえば、新しいレンズでだと、IXのニッコールで
>      焦点距離は60-180      3倍
>      開放絞りはF4-F5.6     1段
>      なんてのがあります。)

あります。というよりも、完全に比例する場合のほうが少ない(ないと思う)のでは?

ズームレンズの前にフィルターみたいに絞りを入れると、(口径が一定になるので)
ズーム比とF値変化比は一致します。ちなみに、絞り1段の差は口径にして root 2 で
すから、2倍のズームでは2段変化することになります。

しかし、ズームレンズでは、絞りから前玉までの間隔は必ず変化します。
ですから、前から見たときの口径、つまりレンズを開放にして、レンズ物体側の遠く
からレンズを覗いたときの明るい円の半径は、ズーム比によって変化します。

もしこの「口径」が全く変化しなければ、焦点距離を倍にすれば、絶対に明るさ
は 1/4 になります。

> 3  2が是だとすると、絞りの開口径が同じなのに、F値が焦点距離に比例しない
>     のは、 いわゆるF値の定義(開口径/焦点距離)が意味をもつ条件がズーム
>     の場合には成り立っていないから。
>     で、ひうらさんの前のメールにあった立体角の定義でF値を決める?

これは違います。口径/焦点距離はどんなレンズでも必ず意味を持ち、フィルム
面に入射する光の立体角と1対1に対応した関係です。絞りが一定でも、前から
見たときに口径が変化するからです。

通常ズームレンズでは絞りは後群にあり、前から見たときの絞りの光学的位置が
大きく変化するので、簡単のために立体角の考え方を使って説明しました。

要は、

*ズームレンズでは、ほとんどの場合絞りが最後群にある。

*ズームレンズの構成にはいろいろなタイプがあるが、

  1 固定された後群(リレー系)に絞りを含むもの。
     (光学補正式ズーム、3成分機械式(4群式)ズーム)
     リレー系の前(バリエータ/コンペンセータ)はコンバージョンレンズと
     同様の働きを持ち、F値の変化を生じない。

  2 後群と前群の双方を移動してズーミングするもの(2成分式ズーム)
     F値が変化する。その変化の様子はレンズによって異なり、一概に
     言えない。

*広角域を含む明るいズームや高倍率ズームは複雑な構成をとるので、
  よくわかりません ^^;; 2の改良型や、2に1を足したものもありますが、
  シネレンズでは1の方式で高倍率化したものが多い。

よろしいでしょうか?

         ---     日浦 慎作   Shinsaku HIURA     ---
         ---  京都大学 工学部 電子通信工学専攻  ---
         ---   松山研  リサーチ・アソシエイト   ---
         http://vision.kuee.kyoto-u.ac.jp/~shinsaku