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[nikomat:05531] Re: hyouten'ka no keiken (F)



こやの@低温センターです。

出生届に出かけている間に、いやだな〜。なんでカメラのML(=写真のML
じゃない)で、こんな話になるのよ〜。


>榎@物質研%元東北大工学部金属系助手です。

このひと、日本金属学会正会員の、モロ業界人じゃないですかぁ。

>いえいえ、金属には「低温脆性」という性質がありまして、低温になると延性破壊
>するよりも脆性破壊しやすくなります。延性破壊というのは、変形しながら破壊す
>る形態で、変形を起こすだけの余分な力が必要です。それに対して脆性破壊という
>のは、レンガが割れるようにポッキリ折れるような破壊形態で、延性破壊よりもは
>るかに小さな力で割れてしまいます。
>
>材料にもよりますが、焼入れ鋼なんか-20℃ぐらいまで冷却すると、極めて衝撃的な
>力に弱くなってポッキリ折れてしまいます。
>
>でも、三脚に使われている材料がどのくらいで低温脆性を示すかは知りません(^_^;)。

アルミですからねぇ。鋼や304ステンレスみたいにマルテンサイトがらみに
なることもない(だろう)から。

でぇ、皆さんのために犠牲的精神でやってみました。

試料:スリック マスターデラックス
冷媒:液化窒素
温度:おそらく80K程度(約−190℃)

全体を放り込むのはたいへんだから、足の先だけつっこんでみました。

結果:ゴムの石突きが割れた(やばい! どうしよう!)。
   アルミが硬くなったようである。
   椅子の足にコンコンやってみたけど、折れないし割れない。

考察:普通の床の上でカメラ使うぐらいなら折れないんじゃないか?   
   雪の中で折れるなら、多分:
   1)雪につっこむので普通より余計に力が掛かる。
   2)しかも、雪に埋まっているから専断力が強い。
   3)しかも、アルミとはいえ脆性が出ている
   4)雪の中で頑張る撮影だから、力が余計に入っている。

結論:冷やしただけならぶっこわれ無い。
   低温脆性+雪のために余計な力が掛かる→壊れる のだろう。

じゃ、フィルムは・・・

試料:ネオパンプレスト100
冷却:同上

結果:ちょっと曲げたっらバラバラになってしまった。

感想:テクニカルパンを水素炉の隅っこに置いて水素をすわせて、
   液化窒素でナニすれば天体写真はバッチリと思ったけど、
   フィルムがバラバラになっちゃねぇ。

☆の皆さま、やっぱり乾板です。

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御参考までに、私が商売としている温度域では

304Lあるいは316ステンレス
無酸素銅
銅−ニッケル合金
金銀白金
超伝導材料、マンガニン、真鍮

などいろんな材料が使われます。ネバい金属である304ステンレ
スだって、液化ヘリウムに漬けて引っ張り試験をやると、パキーン
と音を立てて切れます。

古谷野 有@筑波大学低温センター
koyano@bk.tsukuba.ac.jp