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[nikomat:09712] Re: [Q] 海外旅行の注意点(解像度雑感)



ひうら@きょうだいです。

> レンズの試写をしていて、たまたま視野の隅にベランダの手すりが写り
> ました。ニコンの4倍ルーペで見ていたんですが、ベランダのところが
> もやっとしてて”ま、開放だからねぇ”と何気なく見過ごすところでし
> た。
> 物置からピークの×60というルーペが出てきたので覗いてビックリ。
> スケールで見ると0.02mm間隔の縞模様が解像しているんです。テストパ
> ターン撮影みたいな好条件でなくて、実写で0.02mm間隔が写ったのです。
> ×22のルーペでは、まあまあ見えるぐらいでした。

レンズの種類とF値は、いかが?

> #教訓:ミリ当たり50本は×4ルーペでは見えない。

そうかもしれませんね。

ピークのルーペは 0.1mm のスケールがあるので、だいたい分かるのですが、
まあよーく見ないと 30line/mm ぐらいまでですかね。
スケールでだいたいの間隔を測っておいて、あとはボロ 15x で確認という
作業をしますです。

> さて、レンズの焦点深度を計算する時、通常使われるフィルムの解像度
> を勘案して最小錯乱円が0.02〜0.03mm云々というのを聞いたことがあり
> ます。そういえば、フィルムはどんどん良くなっているのにこの数値は
> 昔から変わっていなかった。

弟も書いていますが、鑑賞の仕方に依存しているんですよね。
だから気に入った写真を4ツ切に伸ばしてよーく見てたりすると不満が
出てくるわけです ^^

> 0.005mmといえば5ミクロン。焦点距離・口径比を考えるとフィルム面
> の位置はどのくらいの精度で決まっている必要があるんでしょうか
> (公式教えて−>まごめさん@NY、日浦さん!)。 

完全無収差のレンズで、錯乱円の半径は、
「フォーカス位置からの像面のずれ量」×「F値」で決まります。
だから明るいレンズほどフィルム面の位置精度は厳しくなります。
中判で明るいレンズが使えない理由のひとつはここにあります。

#マキナもきつい。無限遠開放では、これを感じます。しかも
#蛇腹式でエアがシュポシュポするので、よけいにヤバそう。
#120 は吸引できないし(もしも 220 だったら、蛇腹にワンウェイ
#バルブつけて、内部の圧力が高まる構造+厚板に穴なんて、使えるか?)
#ブロニカ S2 は降下ミラーが悪さをするとの報告を読んだこともある。

シマシマが完全に消える(コントラスト0になる)時の錯乱円の直径は、
シマシマの周期の 1.22 倍のボケ円になったときです。これ以上細かい
シマシマは偽解像します。

> ここまで来る
> とフィルムの平面性、ファインダースクリーンとフィルム面の共役性、
> ピントをどうやって合わせるか、とかが問題になりそうです。

特にミラーは可動ですから、恐いですよねー。
ちゃんと保たれているというのが嘘みたい。
マウント/レールの位置関係はまだマシとしても。

> レンズマウントとフィルム面の平行度がとても気になります(片ボケ
> が露骨に出る)。

マキナの問題のもうひとつはここにあります。
レンズ/シャッターユニットの自重が重いので、持ち方で変化しそうです。
少なくとも像の平坦性はブロニカニッコールより良いだけに・・

ただ、ヲタクなレンズテスト的には問題がありますが、結局
無限遠の像は平坦なんだからと絞りを開けて撮ることそのものに
問題がある(よく考えるとかなりアクロバットでリスキーな行為)ので、
そういうのは「撮り方が悪い」でカタが着く気もします。

そもそも開放&無限遠なんて、星を固定カメラで撮るときに問題に
なるぐらいでして、普通まともに三脚を使って撮れば、大口径の
メリットはやはり明るさよりもボケになるんでしょう。

そう考えれば、大口径のメリットは立体物に対して用いる時であり、
平面性はそう問題ではないのではないか、という気がしています。

だから RTS-III のバキュームも、ギミックといえばギミックなんで
しょうね。あるに越したことはありませんが。

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1979年のカメラ白書をよしださんにお借りして、大変興味深く見ま
した。かなりレンズテストが詳しく、おもしろいのですが、
やはり(当然)あの手のテスト結果が全てではないんですよね。
それをちゃんと分かっていて見ないと、意味がないです。

チャート撮影テストって、「平面(≒無限遠)」を「平面」に投影した
ときの像を見ているだけであって、空中像を見てないので、立体物を
撮影するときには問題になりにくい像面湾曲があると極端に悪くなる
わけです。

しかし普通絞りを開けて撮るのは近距離の像の場合であって、無限遠像
を撮るときには絞れる場合が多いですから、あまり「開放」「チャート」
という組合わせは実は現実的ではないと思うのです。

まあ、あのテストでは、開放だけではなくいろんな絞り値でやってある
ので、いいんですが・・

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というわけで、結局僕が思いますのは、

○ちゃんと組み立て精度が確保されて、コーティングも良いレンズでは、
  絞ればどんどん良くなる。遠景は絞って撮る。

○開放性能は主として立体物で問題。しかし、チャート撮影では像面湾曲
  が悪さしている可能性があるので、中心部しか意味がない。

ということで、あまりチャート撮影の解像度分布とか、MTF とかって、
実はあんまりもうひとつピンとこないんですよね。

むしろ、例えば 3m とかの距離において、微妙にピント位置を変えながら
チャート撮影して、その結果一番いいところをそれぞれの部位で選んで
表示とかしてくれれば現実的なのに。

あと、かなり絞ったときの無限遠像の分布をみてくれたらいいだろうけど、
これって並のフィルムじゃ評価できない(=ということは問題なし)、
ということで組み立て精度(≒個体)の評価になりそうで・・

結論:
○レンズは使いよう。絞って撮れるものは絞って撮ろう。

○開放が問題になるのは、主としてマクロフォト/ポートレート。
  その場合は、よい評価方法はない。実撮影しかないような気がする。

○ニッコールは中心解像度優先というふうに言われるが、それはそれで
  現実的ではないかなという風にも思う。組み立て精度は高い(絞った
  ときの像がよい)と思うので、この点でも現実的。
  ということで、うまい人がちゃんと使うとうまく撮れるが、へたに
  開放で風景とったりするとダメと思われる。ちゃんと撮ることを要求
  するレンズかな。

という風に思いますが、どうでしょうか?