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[nikomat:12923] Re: [-yota] M3
ひうら@きょうだいです。
> 大越です。私には荷の重い話になってしまいました (^^; 昨日は
> 飲み会だったので復習できなかったし・・
いえいえ、すみません。
いつもの僕のパターンです。
#ちなみに僕も飲んできました。珍竹林 行ってきました。
> > > > しかし!広角レンズは被写界深度に対して像面深度が狭いので、
> > > > 立体的な対象物体も像面側では平坦な領域に合焦する。
> > > > つまり結局のところ、広角レンズほど像面の平坦性は支配的なのです。
> > >
> > > ううむ。私の手には負えなくなってきました。広角レンズでは絞っても
> > > 像面特性は向上しない、ということでしょうか?
いえそうではなくて、こういう像面特性の向上の具合いは
広角レンズでも望遠レンズでも同じです。
> > 無限遠の像を写したとき、フィルム面にピッタリ合焦するべきですけれど、
> > これが曲がっているとぼけますよね。で、そのずれの分、フィルム上には
> > 別の距離の物体についてピントがあっているわけです。
>
> 以前何かの本で読んだときに、レンズの合焦面はどうやっても平面にはならない、
> ということだったと思いますが、この場合の像面というのは、合焦面と同じと考え
> ていいのでしょうか?
はい、ここで像面というのは、レンズより後ろのフィルム側のことを
差しています。
平面を正対して写真に撮ると、その像はフィルム面にピッタリと結像
するべきですけれども、これが曲がっている現象が像面湾曲ですよね。
で、近くにピントを合わせるときにレンズを繰り出すということは、
逆に言うとフィルムよりさらに後ろ(圧板側)には、空間中の
さらにカメラに近い部分の像が形成されているわけです。
・・ということを合わせて考えると、像面湾曲のあるレンズでは、
完全に平面に保ったフィルム上にピントが合ってくれるような
被写体側の面は「曲面」になります。
#例えば、フィルム中央で 5m の距離にピントを合わせているとします。
#このとき、フィルムの角では像面湾曲により、同じ 5m 先のものが
#フィルムから 0.1mm 浮いて結像しているとします。
#
#ここで、レンズを 0.1mm 「繰り入れる」と、隅では丁度 5m 先のものが
#合焦します。このとき中央では より遠くのもの(例えばレンズの
#焦点距離が 50mm であると、6.2m になります)にピントが合います。
#
#逆に、元の「中央で 5m 先にピントを合わせた」時、計算すると
#隅では 4.2m 先にピントがあっていることになります。
#
#つまり像面が湾曲していると言うことと、空間中(被写体側)のピント
#の合う面が湾曲しているという事は対応しているわけです。
> そうだとすると、そのずれが像面深度よりも小さければぼけない、
> ということなんでしょうか?
そうですね。
例えば上記の例で F値が F2 だと、フィルムの隅では 5m 先の点が
0.05mm の直径に写ってしまいます。解像度はほぼこの逆数の
20line/mm ですね。しかし F8 にすると、解像度は4倍の
80line/mm になります(このレンズには、像面湾曲の収差だけが
残っているとしています)。
と、いうふうに絞れば像面湾曲の影響は下がるのですが、
やはり中央で 5m 先にピントを合わせたときには、隅では
4.2m 先にピントがあっているという事実は変わらないわけです。
見えなくなるので構わないのですが、これが前に述べた、
「劇的には改善せず、焦点深度によって改善するのみ」の
理由です。
> > そこで、広角レンズの場合、望遠レンズよりも繰出し量が小さいですから、
> > わずかな像面湾曲でも、それによる合焦距離のずれ(どの遠さにピントが
> > あっているか)が大きくなります。すごくピントを外している感じになる
> > わけです。実際のボケ量は、望遠レンズと変わらないんですけれども、
> > 望遠レンズはそもそも距離の違いによるボケ量が大きいので、感覚的に
> > 同じぼけでも小さく感じるわけです。
>
> ううん。なんとなく話としてはわかるんですが、感覚的に広角で無限遠を撮ってピ
> ントを外した状況というのがイメージできません。あるていど絞ったらほとんどピ
> ントあっちゃいますよね。「周辺部の流れ」とかがそれに該当するのですか?
そうなんです、ここなんです。
像面湾曲は結局、ピントを外しているという現象になるのですが、
それが広角レンズでは分からないわけですね。
ある程度絞ったらピントが合う、これは真理です。
焦点距離が短いほど、被写界深度 つまり物体側でのピントが合う
範囲は広がります。しかし、焦点深度 つまりフィルム面付近での
ピントが合う範囲は、焦点距離に関係なくF値だけで決まるのです。
そして、像面湾曲は、フィルム面側で表される現象なのです。
ちょっとむずかしいのですが、以下のように考えてください。
広角レンズでは被写界深度が深く、たとえばレンズを無限遠に
セットしたときに 3m 先までピントがあっているとします。
このとき、3m 先にピントが合うようにレンズを繰り出すと、
すこしレンズが繰り出されます。
望遠レンズでは被写界深度が浅いです。上記の場合と同じF値で
レンズを無限遠にセットしたとき、20m 先までしかピントが
あっていないとします。このとき 20m 先にピントが合うように
レンズを繰り出したら、どうなるか??
実は、上記広角レンズの場合と、望遠レンズの場合では、同じF値で
あれば、同じ被写界深度に相当する繰出し量(フォーカスリングの
回転量ではなく、レンズの前進する量)そのものは同じになるのです。
・・と、いうことは・・
同じF値の望遠レンズと広角レンズがあるとします。
平面チャートを開放で写したとき、その像の周辺部の乱れが
両者同じ程度であるとします。このとき、この乱れの原因が
像面湾曲によるものであれば、その程度(フィルム面から
どれぐらい離れているか)も同じ程度です。
像面湾曲の絶対量が同じ程度のレンズ同士であれば、平面である
フィルムに結像すべき空間中の結像曲面の形は、広角レンズの
ほうが遥かに歪んでいるわけです。上記例で、丁度像面湾曲の
大きさが被写界深度と同じであれば、広角レンズでは
中央では無限遠に結像しているはずが、その結像面が隅では 3m 先
まで湾曲していて、しかし望遠レンズでは 20m 先までしか
湾曲していないことになります。
つまり広角レンズほど像面湾曲に対する空間中のピントの
外れる距離は大きく、心理的なピントの外れ感覚は強くなります。
像面湾曲に起因する像のぼけ量そのものは、被写界深度と
この効果が相殺される(というか、そもそも像面側の
現象だから)広角レンズでも望遠レンズでも変わりません。
また、広角レンズはパンフォーカスだから、少々像面湾曲
によってピントが外れても大丈夫、と思いがちですが、
実は像面側の深度はレンズの焦点距離によらずF値により
一定ですからまったく関係がないことになります。
一般に広角レンズほど像面を平坦に保つことは
難しいので、この点からも、無限遠を開放で撮ることは
かなりレンズに無理を強いていることになります。
[まとめ]
○広角レンズほど被写界深度は広いが、だからといって
焦点深度は広くない。つまり、像面湾曲やフィルムの平坦性
に関わる許容度は同じである。
○焦点深度はF値のみによって決まる。つまり、像面湾曲や
フィルムのばたつきが焦点深度内に収まるまで絞り込む
必要がある。
○像面湾曲やフィルムのばたつきに起因する合焦距離の
変化は、広角レンズほど激しい。このことにより、心理的に
広角レンズのほうがピントが外れている感覚を
受けることがある。もちろん、上記要因によるボケの量
そのものは、F値のみによって決まる。
[結論]
広角レンズは被写界深度が深いので、これだったらもう無限遠に
セットしてで良かろう という取り方は正しいです、否定される
ものではありません。「対象物体を被写界深度内に入れる」
という作業としては正しいわけです。
しかし、十分絞らないと、像面湾曲やフィルム面の性状により
「フィルム面を像面深度内に入れる」作業をやったことには
なりません。これは絞ることのみにより解決し、
広角レンズでも望遠レンズでも変わりません。
・・なんか、同じようなことを言葉を変えて(変わってない??)
何度も書いた気がしますが、ようまとめきりませんでした。
いかがでしょうか???