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[nikomat:16133] Re: [LENS] 色



丹後屋す

たかなしさん:
> > Ai50/1.8Sの青さがわかる眼力をお持ちなら、奈落の入り口に立っ
> > ていることは間違いないです。色が、階調が、ボケが、立体感が・・・。
> 
>     私には眼力がないからなのかもしれませんが、いまいち階調、立体感とい
>   うものの違いがわかりません。どういったものなのでしょうか。
>   どのようなものを写したとき、それらの違いが出てくるのでしょうか。
以下私の私見です。
写真で階調という言葉が使われ出したのは、オルソパンフィルム
(赤に感度がないという性質をもつ)が使われていた頃のことだと思います。
赤に感度がないため、人物を写すと、唇などが真っ黒になるなど、
肉眼で感じた明暗差と出来上がり写真の明暗差の違いが大きく
それを補正するためにフィルターを使って、「階調」を整えることが行なわれて
ました。現在のパンクロフィルムは、また全整色フィルムなどと訳される通り
人間の可視域の光に対して、フラットな感度を持つと言われてるようですが、
これも凸凹があり、これとレンズの分光特性と合わせて、出来上がり写真には
肉眼で感じたのとは違った明暗差が出てくると思われます。この当たりの明暗差が
撮影者の感じたものと違和感なく表現できるとき、このレンズは「階調がいい」
などと表現されるようです。
「**の光線のもとで、**フィルムを使って、露出は**、現像、定着は**
の仮定のもとで」が抜けると、実は再現性のない一人よがりの表現になるわけですが
現在のカラーフィルム時代では、撮影後の処理は標準化されていると判断してよく
また、フィルムもある程度の標準性(極端なカラーバランスの崩れはない、
という意味で)が達成されているので、誰かが、「階調がいい」とか
「階調がよく出る」と言ったレンズは大抵誰が見ても、
そう悪くはないレンズのようではあります。
色立体のxyz(色相、明度、彩度)が全方向で正しく表現できれば
「階調がよく出る」と言っていいと思うのですが
そこに使用者の好みが入るので、実は難しい表現だと思います。

立体感というのも、判断に差が出るところで、2次元の写真で立体感を感じるとは
結局、ピントの合った部分とボケた部分の描写の差に奥行きが表現出来ていれば
(同じことをいってるなぁ)立体感がある描写、ということになりますが
どうも、レンズの描写の特性についての学習効果(沢山の写真を撮って、ボケの
例を一杯見ていれば、初めて見る写真でもボケを見て奥行きを知る
(感じるではない)ことが出来る。或は遠近法の知識)と言う意味で、
どうも文化的要素もあるようです。

ただレンズの描写という観点からすると、ボケた背景に明瞭にピントの合った
被写体が浮かんで見えるということはあって、これは、被写体と背景の境界の部分
(例えば、ポートレートなら頬の線)がどのくらいクッキリと写っているかに
掛かっているようです。さらに背景のボケは美しくなければ、このクッキリ感は
出ないですから、解像力が高く、かつボケの美しいレンズでなければ
浮かんだ感じの立体感は出せないだろうと思われます。
勿論、そういう道具を揃えたからと言って、背景や被写体や構図を選ばなければ
無意味な話ではありますけど。