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[nikomat 1407] Re: Screw Thread (2)



ひうら@きょうだいです。

前半の件は、OK です。

で、最大の争点、

>  > たとえば、先ほどのマウントの例で言えば、「カッチリ行く
>  > マウント」と、「そうでないマウント」で、
>  >   ネジのガタによって、マウント同士は面接触しているが、
>  >   まだ締結は始まっていない。
>  > という段階で、両者を押し付けて、スリスリとまわすと、
>  > それほど大きな力の差は感じられるのでしょうか?
> 
> 平面であり、鏡面に近ければ 感じます。
> 
> ということで、まず最初は ここの認識に 違いが有るのです。

そうですね。

繰り返すようになりますが、M42 ではそれなりに抗力を感じて
からも、結構回ります。それに対して、ライカや、良いネジ
では、本当に急に、くっ。と止まります。

で、これが、表面仕上げの差だけと仮定すると、M42 で、抗力が発生
するほんとうの序盤の時の程度の圧力で、もはや、その停止力
(レンズがそれ以上回転できない程度の摩擦力)が
働いているということでしょうか。

もしくは、本来なめらかな面であれば、それほど強い程度の停止力が
発生するはずの位置(引きずりが発生し出すあたり)から、
M42 ではさらにかなり回ってしまったりしますが、それだけ
回るようなコンプライアンスは、どこにあるのでしょう?
もう既にこの位置では、クリアランスは0になっているはずですよね。

> # んで、2番目の違いは、フンデルワールス力が無い場合に
> # 座面(マウント面)での ストップが 支配的(yd)か、
> # ネジ面での ストップが支配的(兄じゃ)か? という点だ
> # と思うのですが、そういう認識で良いでしょうか?

いやいや、ネジ面でストップするなんて言ってません。全く。

ネジや、ネジと座面の位置関係が高精度だと、クリアランスが
取れた瞬間から、(そこからは変形ですが、変形する領域が
大きいことによって、)回転角に対する圧縮力が素早く
立ち上がります。つまり、バネ定数が高いわけですね。

(注:このバネ定数が、どこに起因するか・・が、みつながさんとの
  論点だったように思います。コンプライアンスのモデルそのものは
  同じものを考えていると思う。光永さんは、座面の荒さが荒いほど、
  バネ定数が弱くなって、軸方向の移動量に対する、圧縮力の立ち
  上がりがゆるやかになる。と論じた。これには賛成ですが、
  全体としてみたら、量的にはわずかだと私は思う。)

で、圧縮力が立ち上がると、「座面が」摩擦力を発生するので
ネジが止まった感触を覚える。という論理です。

最初のメールからこの論点は一貫しています。

重複しますが、そのまま引用します。
どこがおかしいか教えてください。

(以下のグラフの「位置ずれ」というのは、ネジの軸方向の移動と
  思ってください。つまり、回転に応じて、軸方向の基準位置は
  移動するので、以下のグラフで、回転させると水平線が上下に
  移動する。で、その水平線と、グラフの交点の x 座標が応力
  (座面の押し付け力)を決めるんですが、これが、高精度だと、
  さっと強くなるので、止まる。という論理です)

=== [1229] ========================
ガタがあっても、精度が高い(それによって、ネジのどこかの一点に
応力が集中することがない。よって弾性変形の量が小さい)と、

                位置ずれ
                   ^
                   |  ************  
                   |**
                   *
                   *
                   *
 ------------------*-------------------------> 応力
                   *
                   *
                   *
                 **|
     ************  |
                   |

って感じでしょう。で、逆にガタはないけど、精度が低いとか、
材料の剛性が低い場合

                位置ずれ
                   ^
                   |        ************  
                   |    ****
                   |  **
                   | *
                   |*
 ------------------*-------------------------> 応力
                  *|
                 * |
               **  |
           ****    |
  *********        |
                   |

って感じでしょう。

で、ネジを締め付けていくと、マウント面同士の擦り合わせによって
軸方向の応力が発生しますが、これは締め付けトルクによって
決まってきます。(静摩擦は無視。)

で、前者の場合、応力によらず停止する位置は一定(逆に言えば、
停まったところから、さらに力を増やしても、回らない。カチッと
止まる)ということになると思いますが、後者の場合、締め付けて
いくと、その回転角に応じて応力が増大していくので、じわじわ
強くなっていく感じになると思います。

# つまり、「ガタの有無」と、「精度、剛性」は本質的には
# あるていど独立なのでは、と。

ネジ山のプロファイルも重要でしょうが、ネジ切りがマウント面に
対して傾いていたり、綺麗に切れてなかったらダメでしょうね。

つまり、ぶつかり合うネジ山同士が、それぞれ小さなバネと
考えると、加工精度が高いと

  |-CCCCCCC-| |
  |           |
  |-CCCCCCC-| |
  |           |
  |-CCCCCCC-| |
==|           |==
  |-CCCCCCC-| |
  |           |
  |-CCCCCCC-| |
  |           |
  |-CCCCCCC-| |

の、両方の == を押したり引いたりしたときの状態になります。
接触した瞬間、パッとバネの応力が立ち上がる。

 (  -CCCCCC- は、バネのつもり)

それに対して、精度が低いと

  |-CCCCCCC-----| |
  |               |
  |-CCCCCCC--|    |
  |               |
  |-CCCCCCC----|  |
==|               |==
  |-CCCCCCC-|     |
  |               |
  |-CCCCCCC-----| |
  |               |
  |-CCCCCCC-|     |

という感じになって、徐々にバネが効いてくるので、
結果として同じ材質でも見かけの剛性は下がります。
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         ---     日浦 慎作   Shinsaku HIURA     ---
         ---    京都大学大学院  情報学研究科    ---
         http://vision.kuee.kyoto-u.ac.jp/~shinsaku