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[nikomat 4731] Re: coating



日浦です.

松下さん:
> [nikomat 4728]"Tomosuke Takanashi / 高梨 智介" writes:
>  |  G1 セットを手放して、Mamiya 6 にいくです。
>
> おぉ! おーいでー おーいいで〜

新婚旅行は,家を出る寸前まで F4s + 28-105mm を持ってたんですが,
出発10分前にマキナに持ちかえてました ^^;;

#やっぱり,畳むと丈夫,というのが大きいなぁ.

>  |    良く分かっていないのですが、マゼンタコート = 単コート、
>  |  緑コート = マルチコートなのでしょうか。
>  |  眼鏡にはブルー(シアン?)のコートもありますね。高いですけど。
>
> 私も知りたいですね。
> ソ連製Lレンズだとブルーのモノコートもありますね。国産Lレンズだとアンバーも
> 一杯ありますね。canon L 135mmはブルーだったかな。
> ソ連 50mmf1.5 が黄色いとかcanon L 50mmf1.7が白っぽかったのは...ガラスか(^^;?

シングルコートだと,コーティングの反射光の色は,
一般に加法混色の三原色(赤,青,緑)にはならず,シアン・マゼンダ・
イエロー系になります.これは,シングルコートだと,理論上,反射が
もっとも小さくなる波長が1つであり(波長に対する反射光の分布が,
二次関数よろしく,下向きに凸が1つだけある曲線になる),それ以外の
波長の光は反射してしまうからです.

だから,たとえば可視波長のど真ん中である緑付近で反射が
極小になるようなコーティングを施せば,マゼンタ色の反射になります.

ただ,マゼンタやイエローは分かりやすいですが,ブルーの付近は
(おそらく)人間の色の分離能力が低いこともあり,緑色成分も
含んでいるシアン色の反射であっても,ブルーのコーティングに
見えることはありえると思います(このとき赤色付近の反射が
最小になるようなコーティングになっているわけです).
マルチコートでブルーだけ反射するコーティングを施せば,
もっと鮮やかな青の反射になると思います.

マルチコートにすると,反射が押さえられる波長が2箇所以上に
増えます.そこで,たとえばこの極小点が2つある場合,これらを
配置して全体的な反射がもっとも押さえられるようにするには,
それぞれ赤と青を押さえるようにすればよいのだと思います.
だから,代表的なマルチコートの反射色は緑色なのです.
同様に,鮮やかな赤や青のコーティングもマルチコートと考え
られます.

しかし,人間は,鮮やかな色は明るく知覚するというか,三原色の
うちもっとも明るい色の明るさによって明るさを感じるような性質が
あるので,マルチコートでも結構反射してるなぁ.と感じるのだと
思います.

また,もっと反射の極小値の数が多い,高級なマルチコートになれば,
再び反射成分がもっとも小さい色が緑成分になることもあり,
このような場合は暗いマゼンタに色が着くことになります.

>  |  あと、透過率と反射率の関係も分かっていません^^;
>  |  反射率を下げるためのコーティング = レンズ全体の透過率が上がる、
>  |  のでしょうか。

反射が小さくなれば透過率は必ず大きくなります.
元のエネルギーは一定で,コーティングはそのエネルギーを
吸収する性質のものではないので.

> 物理で、境界面では必ずなんぼか(3%?)反射するとかいうのを習ったような。
> 垂直入射でも100%透過できないんだったかなぁ...
>
> で、これは屈折率だけで決まる。この限界を越えるのがコーティング技術?

普通のガラスの屈折率の場合,垂直入射で4%程度の反射が
必ず起こります.これはおっしゃるとおり,界面の両側の媒体の
屈折率が決まると決まってくる値です.

コーティングは,波長レベルの間隔で界面を2枚作り,それぞれの
界面の反射光が干渉して打ち消しあうような関係を作ることによって
反射光を押さえる技術であるわけです.

では