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[nikomat 4949] Re: [Q]Film latitude?
川口です。
> 日浦@MHIです。
>
> >立てば@田中 です。
>
> >DIRカプラーて他の3層に有効?なんですかね。3層分の3種類で1層?名称
> >から現像時に阻害因子が放出されるんでしょうけど、そのような薬物が層の間を
> >移動すると拡散するように思えるんですが、強く感光する領域を大体カバーすれ
> >ばいいのかな?やはりエッジがぼやけそうな気がするんですが。
> >(多分レンズ分解能より何桁も微少とは思いますけど・・・)
>
> 現像抑制剤は,他の感色層に働くだけでなく,層の中でも拡散して,
> エッジの強調効果を生むのだと何かで読んだことがあります。
> モノクロで希釈現像液を使うと先鋭度があがるようなものかな。
>
> (エッジの強調効果の方が先に使われていたのだったと思います。
> それを,原色の純度を増すために使用する様になり,層の間で働くから
> インターイメージ効果と呼ばれるのであったと。)
1.層間の現像抑制効果
露光された銀粒子+現像主薬 −>金属銀(黒化銀)+現像主薬酸化物
現像主薬酸化物+DIRカプラー−>色素(カラー画像)+現像抑制物質
現像抑制剤は層内を拡散によって移動する。
現像抑制物質が、ある誘導期をもって働くようにしておく。
DIRカプラーから外れた時は、抑制作用を持つ部位をブロックし、
このブロックが、ある反応速度で分解していくようにする。
反応速度を制御すると、現像された場所から一定距離にある銀粒子の
現像を抑制できる。
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例えば、G光で露光された場合、{金属銀、色素、現像抑制物質}
の分布は、図のようになる。
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B感光層
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G感光層 ***************
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R感光層
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
ベース
膜厚方向で見ると、現像抑制物質の濃度勾配が存在する。
濃度勾配を駆動力として、現像抑制物質は拡散する。
乳剤層の膜厚は20ミクロン程度。各感色層の厚さは6ミクロン程度。
通常、フィルム上の画像の広がりは、膜厚よりもはるかに大きい。
像のエッジ部以外では、水平方向の現像抑制物質の濃度勾配は0と
見做せる。
エッジ部以外では現像抑制物質の水平方向の拡散は起きない。
したがって、単色光露光された所では、現像抑制物質は殆どが
膜厚方向に拡散する。
他の感光層に到着した頃に現像抑制物質のブロックが外れるように
しておくと、他の感光層の色素形成が抑制され、色純度が向上する。
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2.層内の現像抑制効果
露光された部分では、現像が強く起きるので、現像抑制物質が
高濃度に存在する。白黒フィルムの現像の場合、DIRカプラーは
存在しないが、現像主薬酸化物が現像抑制物質として働く。
現像が強く起きている部分では、現像主薬が消費され濃度は低い。
現像があまり起きていない、非露光部の現像抑制物質は低い。
現像主薬は高濃度に存在する。
像のエッジ部では、現像主薬と現像抑制物質の濃度勾配が存在する。
現像主薬は非露光部から露光部へ拡散する。
現像抑制物質は反対に、露光部から非露光部に向かって拡散する。
露光部のエッジ部分では現像主薬の供給が増加し、現像が促進される。
非露光部のエッジ部分では現像抑制物質の供給が増加し、現像が抑制
される。
像のエッジ部の像濃度が高くなることで、輪郭が強調される。
# 何か授業ノート風になってしまいました。
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yujiro kawaguti(川口 裕次郎)
e-mail ykawa@olive.ocn.ne.jp