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[nikomat 6385] Re: NOKTON



よしだ っす。

In message <199907221355.WAA10410@ml.asahi-net.or.jp>
   "[nikomat 6377] Re: NOKTON"
   "Tamotsu Koyano <koyano@bk.tsukuba.ac.jp>" wrote:
 > ニコンの話では出てこないつもりが、不愉快だから忘れよう
 > としている古傷をつつかれれば。。。お世話下さった方には
 > 本当に申し訳ないと思いますが。。。

うっぷす。申し分け無いっす。

# でも 私も あれが 落ちないような検査には、検査の
# 基準値以前に、その評価規範そのものの不完全さを
# 感じてしまいます。

 > 28/1.4は作るのが難しいからバラツキが出るのは当然ですが、
 > いわゆる大ハズレも通してしまう甘い基準で出荷検査してい
 > るのではないかと私は疑っています。スーパーなスペックの
 > レンズですから、いわゆる古来のニッコールのクオリティで
 > 検査したら歩留まりを考えると25万じゃ採算が合わないの
 > で止む終えないのでしょう。

そんなんだったら 出さない方が 良いと 私なら思うなぁ。

 > #値段を上げてもいいから暖簾にキズを付けないモノを出し
 > #て欲しかった、とニコン党 だった 私は思う。

そう そう。

 > > Nikkor の 場合      :「たまたま この一本が駄目(公差内ではある
 > >                         だろうけど)なのかなぁ?」
 > > レンズメーカーの場合:「このレンズは 検査されてないな」
 > >
 > > と 思ってしまい、2本目に 手が伸びてしまいます。私の場合 (;_;)。
 > 
 > 仰ることはわかりますが、定価で25万近いレンズを”たまた
 > まこの一本がダメなのか”で買い直すほど私の小遣いに余裕は
 > 無いし、よしださんほど寛容な精神も持ち合わせておりません。
 > 新品だと店頭で試写することもできないでしょ?

別に 寛容なんじゃぁ ないっす。
どちらかというと「期待してない」とか「諦め」っす。

○ 評価規範として 信じられるのは 実写だけ。となると当然
   「様々な状況での実写の列挙」でないかぎり 主観が 入る。
○ そもそもn枚レンズのパラメータ数は、(焦点距離&バッ
   クFが所与なら)n×4−2+1(絞りの位置)です。
   たとえ 性能を1つの軸で現せたとしても、これらのパラ
   メータの線形一次結合に なっていると考える方が不自然。
   つまり、許容範囲を ちょっと外れるくらいなら、大きく
   外れたほうが 評価値が高いことだって 当たり前のように
   あるはず。そのうえ、性能評価の軸は沢山あるのだから、
   もう めちゃくちゃ。
○ にも拘わらず、そういう最適化手法を誰も実用化しようと
   思ってない。だから、まず 根本から っつうんで、これま
   での光学設計(光学そのものには敬意を抱いてます)を真
   っ向から 否定するような研究をやったのだし、実際これは
   国内外で かなり ウケているようです。
   # Code-V からも引き合いが来たし、光学会を含む国内外
   # の学会から 講演&解説以来が 0.7本/月のペースで来
   # ているし。

もともと あまり信用していなかった処ですので、そもそも
信仰心なんて ないのです。L神話も Z神話も 私にとっては
「たわごと」にしか 思えないし、Nikon 神話なんてぇのは、
Nikon 社員が 信じていたら、Nikon は とっくに潰れている
でしょうしね。(技術に対する冒涜だから)

「一度ばらしたら、二度と同じようには組み上がらない」とい
うのだけが 真理だと思います。
だから、
○ 自分の使っている一本がどうか? だけが 重要。
○ 自分の許容できるものなら 善し とする。
ということだけかなぁ。

んで、あくまで そうなる確率の高いものを選ぶだけ。

確率だし、自分の評価規範=メーカーの検査の評価規範 である
わけは 絶対に ありえない と 思っているので、
(1) 他人が けなすレンズのほうが 自分にとって 良いレンズで
    ある可能性を否定しない。
    光学設計のプロの評価と 写真家の評価すら しばしば異なる。
    まして、自分とは 違って当たりまえだと思っている。
(2) 理想設計通りに出来ているのが 自分にとって 一番だとは
    思わない。
    つまり、許容値ギリギリの製品が多くても、そのギリギリの
    製品の写りに 惚れているのかも知れないということです。
(3) 実写(自然画像)に出る、無限とも言える 性能の局面から
    見れば 有限個の評価規範でしかテストできないという現実
    そのものが、既に ズレ を 生んでます。
    したがって、(2) は なおさら です。

なお、ついでに 言ってしまうと。。。

○ 許容範囲内 だというのは 許容範囲が広すぎるのかも知れないし、
   その「許容範囲」と言っている評価軸そのもので 評価するのが
   オカシイのかも知れない。
○ 許容範囲であるかどうかなんか、ユーザーには関係ない。
   実写で 写りが 変なのが 問題なのである。
○ だから、「許容範囲内だから」というのは、製造者が「私は自分
   に与えられた仕事を達成させてます。」と上司に言う言葉であり、
   メーカーが ユーザーに言う言葉では無いと思います。

もう ちょっと 言ってみたい。
全光学メーカーに言いたい!
(1)「MTF で 許容範囲」は 必要条件なのかも知れないが 十分条件
   では ないことは 自明だと思います。
(2)「製造誤差が 厳しい所は 接着で一体化してます」みたいな 騙し
   言葉をユーザーに使わないで欲しい。接着で固定できるのは、使用
   中や 締結時 のズレであり、それ以前に フラットナーには 加工
   誤差に対する過敏性もある。そっちについては 答えてないじゃないか!
(3)「ナントカ法で ちゃんと検査しているから 安心です」という言葉
   なんか 要らないから、一本 一本 実写を添付するなり、「貸し出し制」
   で 売って欲しい。所詮 実写から見れば 思い切り情報不足だぞ!

# ただ、ここまで やるほど 一般ユーザーの目は肥えてない気もする。

真面目にやるなら、メーカーは 温度条件に対する性能変化も出せる
はずだし、実際に それは あるはずなのだが、「このレンズは 真夏
なら よく写る!」とか 言っている人には 出会ったことが無い。

# 8枚も玉があれば、そういうレンズもあるはずなのになぁ。

まぁ、人海戦術や 歩留まりの悪さを価格に繁栄させているからこそ
ライカは高いのだろう という気はしますけどね。
でも あれもまた バラツキが ありますので、程度問題でしょうね。

# と、あくまで 覚めて 見てしまうのであった。

そういう意味で、バラツキ最小限 というのなら、f値の暗さなんか
より 「オーソドックスな光学系」であることのほうが 重要です。

# だから 私は AF Zoom なら 28-80/3.5-5.6 を ススメます。
# これには 長文堂が 言っていることを十分考慮したうえで
# 薦められる、それなりの理由があるのよねぇ。





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