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[nikomat 9590] Re:Fuji Superia
川口です。
----- Original Message -----
送信者 : Shinsaku HIURA <shinsaku@sys.es.osaka-u.ac.jp>
宛先 : <nikomat@ml.asahi-net.or.jp>
送信日時 : 1999年10月23日 23:52
件名 : [nikomat 9477] Re:Fuji Superia
> > 人間の色の認識が如何にいい加減かを調べる実験。
>
> 略
>
> おもしろそうですね.
> このように,対象と手元の光源がほぼ同じで,常に色標と物体を隣に
> 配置して比べればそう差は出なさそうに思えますが,やはり知識や
> 思いこみに引きずられるところはあるでしょうから.
>
> あらかじめ肌色と思っている色をマンセルチップの中から
> 選んでおくとか,手元の光源を変えるとかすれば,
> より大きく変わってくる可能性はあるでしょうね.
> 色恒常性(人間のオートホワイトバランス機能)も影響してくる
> と思われるので.
>
> こういう風に,心理学的に行われた実験例は実はあまり知らない
> のですが,興味があるところです.前の京大の研究室はマンセル
> ブック(1cm *1cm 程度の色標をひたすら納めた,厚さ10cm超の
> 本2冊組)も数セットあったので実験できたのですが.
>
> 工学的に,まじめに色の恒常性を研究している人もいろいろ
> おられます.ま僕が知っているのはパターン認識の分野なので,
> 認識技術の一つとしてやられているものが多いですが.
> もちろんオートプリンターとか,デジカメをやっているところは
> どこも研究していると思います.
ランド(ポラロイドの)の実験の延長線上で、誰かがやっているでしょう。
自分の肌色がこんなに汚い色かと愕然とします。
殆ど茶色の範疇。こんな色で肖像画を描かれたら嫌だ。
「肌色」と言われている色は、実際の皮膚の色よりも R側で、
明度高めの色でしょう。フィルムの再現の傾向もこれと同じ。
#マンセル色票は、マンセルが日没を写生した時、太陽が沈むのが
#早くて絵の具の調色が間に合わなかったことがきっかけだそうな。
#それを思うと、少々皮肉。
#もっとも、写生する時には視野の制限は無いけど。
> そういえば昔,フルカラーディスプレイが一般に普及してきた頃,
> それに表示したレイトレーシングの絵を見て,「へぇ,銀色も表示
> できるんだ.」って言った人もいましたが・・・・これもいわば,
> 人間の色認識(質感認識)のトリックともいえますね.
この辺が「ヌメヌメした物が良く写る」とか、「立体感のでる」
レンズの秘密でしょうか。光沢のエッジの立ち方とか、
その周辺の階調の連続性とか。
> 蛍光,という表現が出ていますが,人間は実際にはほんとうに
> 蛍光現象が起こっているかどうかを判断することはできないです.
> ですが,物理的には,単なる反射現象は,どのスペクトルに
> おいても入射エネルギーより反射エネルギーのほうが小さくなる.
> というのに対し,蛍光は,あるスペクトルのエネルギーを別の
> スペクトル帯での発光エネルギーに変換する現象なので,
> 場合によっては3刺激値(RGBのどれかの感覚量)のどれかの値
> について,反射光の強度が100%反射の場合より強く感じる場合が
> あるわけです.
>
> おそらく,これをもって「蛍光している」と感じると考えられるわけで
> あり,言い換えれば,「蛍光色」というような色は物理的には存在しない
> という意味で,「銀色」が存在しないというのと同じようなことに
> なるわけですね.いや,蛍光色,と言う表現や感覚が悪いというわけ
> ではなくて,厳密には「色」そのものでなく「物理現象」に関する
> 言葉という意味です.
強いて厳密に言おうとすると、色度座標系の(x,y)だけでなく、Yも関与
していると言っても良いでしょうか。
マンセルの色立体を見れば明らかなように、飽和度が最大になる明度は、
色相によって違いますね。
例えば黄色で飽和度が最大になるのは、他の色より高い明度であるとか。
> で,単にプリンタの光源の色バランスをいじって色を補正した場合,
> (たとえば緑をより明るく出した場合)他の色の領域でも同様に緑色成分
> がより強くなるはずです.つまり全体が緑にコケるわけで,見た目には
> 光源が緑に寄っている場合の忠実なプリントに近づくはずです.という
> ことで,どう補正しても,ある意味で自然というか,「蛍光」の感覚は
> 与えないはずです.
>
> それに対し,「蛍光している」ように感じると言うことは,その色の
> 領域だけ特に周囲より明るく見えている場合だと考えられます.
> (例えば,写真を暗く焼いて,しかし緑のところだけ特に元の明るさ
> のものにしたら,その緑のところは光っているとか,蛍光しているように
> 見えるでしょう.)だから,おっしゃるような不思議な感覚があるという
> ことは,ノンリニアな変化が起こっている,つまり特定の色について
> より明るく見せるような化学反応が進行している場合であると
> 推定するほうが自然と思われます.
>
> あともうひとつあり得るのは,最初で書いたように分光感度特性の
> 問題ですね.例えば,(実際はそんなことはないですが)その葉っぱ
> から出ているスペクトルは妙な形をしていて,人間の緑に感じる特性
> では暗く見えるが,じつは葉っぱの分光反射特性のピークと,フィルムの
> 分光感度特性のピークがピッタリ重なっていたりすると,人間に比べて
> 特にその緑が明るく写ることになります.これも蛍光感覚を生じる
> 原因になり得ます.
人間の目もフィルムも分光分布は認識できず、メタメリックマッチされた
色としてしか認識できないということが、すべての問題の根元でしょう。
今月の写真工業(11月号)では、Fuji Superia 400 / Pro 400、
Kodak Royal Gold 100 / 400 がテストされています。
カラーネガフィルムは全般的に人の肌色付近の赤〜黄は忠実な再現ですが、
緑〜青付近の色は色相差が大きいようです。Kodakは特に酷いようですが、
第4の感光層を持つFujiでさえも、この傾向は同じです。
限定された色再現の中で、何を重視するかが良く現れていると思います。
人肌が汚く写ったら、即クレーム対象だから仕方が無いかも。
葉っぱが蛍光色というのはどういった系統の蛍光色でしょうか?
黄緑系?それとも 青緑系?>市川様
yujiro kawaguti(川口 裕次郎)
e-mail ykawa@olive.ocn.ne.jp