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[nikomat 18595] Re: [Q] zoom focusing



ひうらです.

At 17:33 01/01/10 +0900, you wrote:
> > 実際には,オレンジ色外のところでも,微妙に誤差は残っているとか,
> > そういう連続的現象なのかもしれない.ズームレンズの設計としては,
> > ズーミングによるピント誤差がどうしても生じてしまうタイプの
> > ものもあるので(光学補正式ズームレンズなど),どちらにしても
>
>この光学補正式というのと機械補正式というのの違いはどこにあるんですか?
>昔から不思議でしょうがない。
>どちらもカムに沿って何枚かのレンズを動かしてるんですよね?

光学補正式というのは,レンズの群をそれぞれ A,B,C,・・
フィルム面を | で表すと

広角       AB    CD    |
中間     A  B  C  D    |
望遠    A   B C   D    |

という風に,AとC(可動群)とを動かして,BとD(固定群)を鏡枠に
固定するわけですが,このときAとCの距離が変わらないものです.
距離が変わらないので,カムがなくても,筒で直線的に動かせばよいです.

A〜Dのレンズのパワーをうまく設計すると,こういう操作を行っても
ピント位置が変わらないという条件を満たすことが出来ます.
・・が,厳密には,この方式だと,ズーム中の数箇所で
ピッタリ同じ距離にピントがあっても,途中がわずかにずれます.

というのは,上記のような構成の場合,ズーミングに従って
ピント位置の変動が3次関数のように表されるので,レンズのパワーの
調整によって,その2次や3次の項を小さくするように設計するのだと
思いますが,これは0には出来ないからだそうです.で,定数項や,
1次項をいじって,3箇所でピント位置をピッタリ同じには出来るんですが,
途中も完全に一定には出来ない.で,ピント位置が前後にちょっとだけ
ずれます.これを被写界深度内に入るように設計していると思います.

なおピント合わせは,前玉繰り出し式,つまりAを

無限    A  B  C  D     |
近接   A   B  C  D     |

のように繰り出してピントを出します.つまりAは,クローズアップ
レンズのように,いろいろな距離にある像を,一定の距離にある像に
変換する役割を負っているわけで,B〜Dにしてみれば,ピントを合わせた
状態で,Aを通して見える像は,常に一定の距離に見えるわけです.

ですから,ズーム位置に関係なくAを同じ量だけ動かせば,
同じところにピントが来ます.

・・・と言うような原理に基づくものを光学補正式といって,
暗めの望遠ズームに多く使われています.80-200/F4 クラスですね.

また上で書いたように,ズームは,2つのレンズをいっしょに前後
させるだけ.またピントはA群を前後させるだけなので,A群は
ピントリングの回転に応じてその分余計に動くようにすれば,
直進ズーム式のレンズの出来上がりと言うわけです.

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機械補正式というのは,もっと単純で,簡単なものは2群からなり,

広角       AB       |
中間      A   B     |
望遠     A     B    |

という風に,A群とB群が別の動きをします.
これは,反対向きとは限りません.

広角       AB       |
        A   B     |
中間     A     B    |
      A      B     |
望遠   A      B      |

ってな感じで,一方が往復運動するものも多いです.

これは,AとBとの間隔を変化させることで,AとBとを組み合わせた
ときの焦点距離を変化させる系になっているわけです.しかしこれだけ
だと,ピント位置が変わってしまう,バリフォーカルになってしまうので,
全体の位置も動かすことによってピント位置をフィルム面に合わせている
と考えられます.

つまり

広角       AB       |
中間       A   B     |
望遠       A     B    |

のように,Aに対してBを動かすと,それに応じて焦点距離(画角)が
かわるけど,同時にフィルム上の合焦位置が変わるので,Aの位置も変えて

広角       AB       |
中間      A   B     |
望遠     A     B    |

としたのが2群ズームです.
こちらは,カムでどうとでもなるので,機械的誤差がなければ,
ピント位置は動きません.

このレンズ系でも,A群を前後させて,前玉繰り出し式にピントを
あわせます.とにかく前玉繰り出し式では,後ろの構成にかかわらず
Aの位置の変化量と,ピントが合う位置の関係が一定なので,
ズームレンズでは特に好まれます.
(ただ厳密には,Aと被写体の間隔が変化するので,その分の
誤差がありますが,これはそれほど問題ない.それとAの
パワーが少ないと,あまりピント合わせの自由度がないので,
寄れなくなる.)

ニコンのIF方式のズームは,その型を破っているわけで,これは
すごい技術と思います.おそらく,光学補正式と同じような原理
(数式展開)によって,回りの群が動いても,IF群の移動量と
ピント移動量が同じになるような条件を導いて使っているのだと
思いますが,どうしても線形にはならないと思うので,光学補正式
のような誤差は発生するものだと思います.

機械補正式・IFだと,「遠距離では,ズーミングによるピントの
誤差はない」 ただし近距離になると,その分IF群が動いているので,
誤差が乗ってきて,「ズーミングによるピント移動は,ないとは
いえない」ということになってくるんじゃないかと思います.

#光学補正では,逆に,「遠距離・近距離にかかわらず,ズーミング
#によるピント移動が多かれ少なかれ発生する.」けれども,
#「ズーミングによるピント移動の量は,フィルム上のボケ量で見れば,
#近距離でも遠距離でもそれほど大差ない」ということになるんじゃ
#ないかと思います.

では

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 日浦 慎作  Shinsaku HIURA
 大阪大学大学院 基礎工学研究科
 システム人間系専攻 システム科学分野
 〒560-8531 豊中市待兼山町 1-3
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