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[nikomat 29501] Re: Summicron 50/2 L glass element analyzed result



ひうらRです。

At 2002/04/22 14:20:02 kitamura Hiroyuki wrote:
> 昨日,ステレオひうらさんと梅田でお会いし,これまた珍しい
> ブツを見せていただきました.

そういえば,兄じゃのニッコールはほとんど見てない。。。

> で,例の黄変したズミクロンをお預かりし,本日会社で新人教育
> ならびに自己啓発を兼ね,蛍光X線を使った分析計で測定させて
> いただきました.

面白い計測結果をありがとうございました。

昨日は,北村さんのM沈ズミクロンと私のLズミクロンを相当な
時間をかけて見比べてみました。場所は天井に点光源が散在する
喫茶店でしたので,これらの光源のレンズ各面での反射像の配置は
まったく同一で,各部曲率は大きく変わっているところはないと
思われました。

で,やはりOSカメラ,黄色いだけの初期レンズに能書きをつけて
売ってるんだな,これは計測で同じレンズでした,という結論が
出るだろうと予想していました。写りは非常に気に入っているので
計測結果がどうであってもよいのではありますが。

というようなことですのでこの計測結果はちょっとびっくりです。
また,トリウムがちょっとした添加物ではなく,ランタンとトリウムの
酸化物が主原料というのもびっくり。

また,ランタンクラウンは,このトリウムをカルシウムと
ジルコニウムの酸化物で置き換えてできたもののように思えます。
ちょこっと材料が変わっているのではなくて総入れ替えというような
異種硝子なんですね。なのに,レンズの曲率が同等であることは,
このように大きく組成が違う硝子でも同じような特性が得られると
いうことで,これも面白い。

もっとも,現代の鉛フリー硝子も主原料の酸化鉛を酸化チタン等に
置き換えて同等の特性を出すらしいですが,似たような変更に思えます。

勝手な推測ですが,最初はトリウム入りの硝子でズミクロンの開発を
進めていたが,トリウムが入っているのは環境面で望ましくないため
これを代替できる硝子を開発して(もしくは開発を待って)置き換えた
というように思えます。

#この結果だけとっても,メーカがどんな変更を加えているか分からない
#から,やはりメーカでメンテナンスできるものはそうしたほうがよいと
#思えますね。

> なお,一個体の測定では,弊社の分析計のソフトバグ等有れば
> ご迷惑をおかけすると判断し,わたくしのM沈ズミクロンも測定
> いたしました.

これがあって比較が面白くなっていると思います。
見た目は,マウントと玉の着色具合以外はほんとそっくり
ですもんね。

> LとMを比べると全然違う硝子なんですね.

Lでも53年以降の,Mと番号帯がダブっているものは同じ硝子かもしれません。

> なお,分析した蛍光X線のターゲットはロジウムです.
> ほんの表面からちびっと潜ったくらいのところまでしか測定できていない
> 筈ですので,本当の内部の組成は不明です.

非破壊検査だということですので皆さん心配なされぬよう :)