[nikomat 36841] Re: 鉄腕アトムの誕生日だって？

[Masahiro Ishii <ishii@iis.toyama-u.ac.jp>]

At 11:33 AM +0900 03.4.7, Shinsaku HIURA wrote:
>ひうらっす．
>
>石井さん：
>> > ホンダが「アシモ」で二足歩行を実現しました。日本では結構「うけた」の
>> > ですが、欧米では「何の役に立つのー？」という見解が多いらしいです。
>
>「欧」と「米」ではかなり反応は違うかもしれませんね．
>後者なんかについて言わせてもらえれば，彼らはどこかに「他人に出来て
>自分たちに出来ないことはない」というような思想を持っているような
>ところがあったり．　そういう点で言えば，ある意味，「敗北宣言」であり
>開発した人は「してやったり」とほくそ笑んでよいでしょう．

http://www.ieice.org/jpn/books/kantougen/2003/2003_03.html
電子情報通信学会誌３月号の巻頭言です。

＃私も、今すぐ役に立つ見込みはなくてもいいのでは？と思います。

>何の役に立つのかどうかということは，産業総合研究所のＨＲＰの研究などでも
>多岐に渡るデモンストレーション，提案がありますし，役に立つという認識は
>議論の余地はない部分かと思います．特に人間と同じフォームファクタである
>ことから来る「コンパチビリティ」と，人間がその動作を知覚・認識しやすい
>（コミュニケーション能力の高さ）という面は大きいでしょう．
>
>が，それとは別に，自然科学的見地からは「二足歩行の解明，研究」という
>絶対的な価値はあるでしょうね．なんでもかんでも「なんの役に立つのか」
>という軸でしか見られないというのはちょっと発想が貧困だなあと思います．
>
>それとこれもよく言われることですが，メカトロの発展に寄与するところも
>大変大きいわけですし．二足歩行ロボットの脚は，言い換えれば
>「自重の２倍よりもよりもはるかに重いものをハンドリングするロボット」
>であり，かなり難しい技術であるのは確かですからね．
>
>ですがやっぱり基礎研究段階であるのは確かで，応用に結び付けるにはハードル
>が高すぎますから，上に書いた「コミュニケーション能力」を生かした実応用を
>優先するなら，三菱重工のように二足歩行の部分は省略するというのも１つの
>見識であるのはまちがいないでしょうね．
>ただこれは即，二足歩行の否定ということにはなりませんね．
>
>ヒューマノイドというと，お手伝いとか，そういう実際の労働に携わる印象が
>ありますが，実は「キーボード，ディスプレイの代替」として，ヒューマン
>インタフェースの一手段としての価値が大変大きいと思います．

どんな研究でも「お役立ち」に結び付けることは可能です。
問われているのは、哲学や思想なんでしょう。