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[nikomat 38239] Re: Sony QUALIA 016
ひうらっす.
下記の文章は含蓄があって納得でききるし反対ではありません.
指摘されているようにキーワードに単に踊らされるのはよくないと
思うんですが,しかし,やはり無視できない重要な要素のように
思っています.
あるキーワードが流行り,あちこちで取り上げられることによって
これまでは明示的に語られることの少なかった問題が「目に見えるように」
なる,つまり無意識ではなく,明確に意識できるようになる.
それが,新しいものを作ったり,研究を進める上での新しい基準・視点
として有形無形に影響する,そしてそれが世の中をじわじわと変える
ということじゃないですかね.
人間は思考するときに言葉という道具を用いることができますが,
裏を返せば,言葉が対応しない概念に対して思考をめぐらすことは
不得意です.そういうときに適切な言葉が対応すると便利ですし
思索が深まります.思った以上に人間は言葉に影響されます.
本当かうそかは知らないですが,ある国には肩こりという言葉がないとか.
しかし,その国の方が,ひとたび「肩こり」という日本語を知ってから,
その人は急に肩が凝るようになった..というような話がありました.
それまでは,単に筋肉痛であるとか,そういう事象として捕らえていた
ものが,より明確に理解できるようになったということでしょう.
例えば「人間工学」という言葉がありますが,それの中身はいったい
何かということは別にして,その言葉が存在するということによって
ものづくりに対する取り組みが変わったり,勉強してみようかという
ことになったりする.
感性情報とか,アフォーダンスとか,そういう言葉も同じと思います.
中身には既存のものが含まれたり,結局ものにならないものがあったり
するかもしれませんが,新たな切り口を与えるという意味では
役目を果たしていると思います.
あと,言葉には,ある種の明確なコンセプトが付随しないと,そう簡単
には流行らないと思います.さらに言うと,モノはなくても,
コンセプトというのはとても重要なことだと思います.
特に情報科学では,新しいコンセプトというのは非常に重要です.
なぜなら情報科学は一面で「制約することの科学」だからです.
例えばある計算機を動かすとき,すべての動作は機械語に還元される
ので,機械語を用いればどんなことでも出来てしまいます.
しかし,高級言語だとか,構造化だとか,オブジェクト指向だとか,
そういうものは,制約を与えるコンセプトであり,それが結果的に
人間の思考を助けて効率化を実現するということになっています.
だから「○○を禁じて,取りうる操作は△と□と☆だけにする」
というような,一見なにも実体を伴わないようなコンセプトも非常に
大切で,なおかつコンセプトがコンセプト単体で実用的に自立し得る
例だと思います.
#法学とか哲学でもそうなんではないでしょうかねえ..
>「キーワードに踊らされるな!」
>
>情報処理に限らず、世の中にはカタカナ語が氾濫しています。すべてを否定す るわけ
>ではありませんが、「何と寿命の短い言葉が
>多いことか」とは思いませんか?
新しいキーワードが出ると、それがブームになって、
>人々がそれに走り、 しばらくすると忘れて
>しまう、ということの繰り返しのように思えてなりません。
>
>このカラクリを教えてくれたのは、東工大の佐藤先生の「ノイマンの夢・近代
の欲望」
>という本(講談社)です。つまり、新しい
>キーワードを作ることを生業 としている人が結構いて、しかも始末が悪い事に、それ
>が結構いいビジネスになっているということ
>です。要するに、本質的な問題や核となる技術はほとんど変わら
ないのに、新しいキー
>ワードでそれらが解決するような幻想を作
>り、計算機システムを売りたい企業と巧みに連携して、"新しい"トレンドに遅れまい
>とするユーザーを煽導しているのです。
>
>残念ながら研究の分野でも同じ傾向があります。これらが健全な技術開発や研究にと
>っては大変なマイナスであることは言うまでも
>ないでしょう。これらと一線を画するには、研究が「お話」だけで終わるのではな
く、
>上で述べたように、その成果をきちんと見え
>るもの、つまり存在するものにして、それを社会が評価してゆくことが大事です。存
>在しないもの、お話だけのものでは議論や評価
>が深まりません。 それを逆手にとっているのが、キーワードビジネスなのです。
>
>踊らされたツケはすべて自分に回ってくることを肝に命じておく 必要があります。