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[nikomat 39008] Re: LBCAST



市川@元電機会社半導体部門です

In the message <20030723090107.A0B72381@ml.asahi-net.or.jp>,
    "Ryota Hiura" writes:
> 
> 逆に,半導体メーカでは素子がダブつくリスクをものすごく嫌うので,
> 半導体メーカが作ったものを採用しても,一定の数量がまとまる
> まで新しいロットを流さなかったりして安定供給に問題があります。

ラインと言うのは、投入してから完成品が出て来るまでの時間が長
いんですよね。どのくらい長いかは製造プロセスによりますが、工
程が長ければ余計に時間がかかります。一般にはCCDよりCMOSの方
が工程は少ないでしょうし、同じCMOSでもメタル層の数(多いほど
配線が楽)が少ないほど工程は減る。

工程数が多いと、大抵は歩留まりが下がります。また、同じものを
流し続けるとノウハウが溜るので歩留まりが上がります。ラインを
占有するDRAMみたいなものでも、歩留まり数十%というところでしょ
う。時々しか流れないもので、面積の大きいものだと、歩留まり数
%とか1%以下とか、そういうこともあるでしょう。安定しないラ
インで製品を取るのは、確率事象ですし、結構大変なわけです。そ
ういう意味で安定供給に問題がでることがあります。

さらにリーディングタイムの問題もあります。ラインを独占して昼
夜問わずラインを動かせば2週間とかでウエハが出て来るかも知れ
ませんが、現実には製造ラインを遊ばせないように色々な物がライ
ンを流れてますから、各工程で待ちが生じます。製造を安くあげよ
うと思えば優先度が下がるので、ウエハが出て来るまで1〜3ヵ月
かかることもあるでしょう。発注してすぐに製品を作ることはでき
ないわけです。しかも歩留まりが安定しないと、幾つ取れるかの見
込みも確実でない。沢山在庫を持つと売れないときに不良在庫にな
るし、在庫を持たないと発注→納品まで数ヵ月待ちになってしまう。

さらに、イメージセンサや液晶のように代替がききにくいものは、
歩留まりが上がりにくいですよね。DRAMならば、一部が死んでいて
も他の場所にある代替セルというのを使って修理することができま
す。ハードディスクでも、代替トラックと言うのがあります。でも、
CCDや液晶では場所が本質的に大事なので、代替がきかない。ます
ます歩留まりが下がります。

-- 
    Shuichi ICHIKAWA <ichikawa@tutkie.tut.ac.jp>