[Date Prev][Date Next][Thread Prev][Thread Next][Date Index][Thread Index]
[nikomat 40918] Re: 本:「木に学べ」西岡常一
長文堂でござい。
mgmさま:
> 「鉄」にしても、飛鳥時代の釘から作った道具と、今の「鉄」から作ったのでは
> 違う・・・など。
> 炭素が違うのでしょうか?
炭素みたいに素性の良いモノではなくて不純物の違いです。たしか
硫黄の量だったかな? 理由は石炭に酸素ガスで作るのと木炭で叩
いて作るので違う、だったような。現代製法の方が不純物は少ない
のですが、伝統製法の方が悪いモノは少ないそうです。
五重塔を建てるほどのクギの数を20世紀にたたらで作るのは無理
だから、日本鋼管が全面協力して古いクギを分析して「薬師寺何号」
とかいう新しい鋼材(JISなんとかという番号まである)を開発し
ました。それを鍛冶屋が叩いてクギにしたと思います。
#1年ぐらい前の日本鉄鋼協会の会誌に書いてあった。
東北大で鉄鋼協会の学術講演会があったとき「陸奥の鉄」というシ
ンポジウムで刀鍛冶が講演しました。今の工業鉄は全くダメ、雨ざ
らしにしておくと腐ってしまうが伝統製法の鉄は大丈夫、と言って
ました。製鉄会社の人が苦笑いしてました。
> 結論:実際に携わっている人の知識を残さないと駄目ですね。
(株)日本製鋼所室蘭製作所には「瑞泉鍛刀所」という部署があって
伝統製法で日本刀を打っているそうです。日本刀は鉄のライカM3、
ニコンSPですから、技術を残しておくのは素晴らしいことだと思い
ます。