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[nikomat:02692] Re: Nikkor-P.C 8.5cm f2
日浦@三菱重工です。
SATO Yoshiyuki さんが 11:14 97.2.25 +0900ごろに
「[nikomat:02691] Re: Nikkor-P.C 8.5cm f2」の件で:
>私のは No.399123。 155番違いですね。同じロットかもしれませんね。
>表面の傷とコーティング剥げが酷かったので、
>山崎光学さんで再研磨してもらっています。
番号,近いですね。同じるつぼから割られて,同じ摺り皿で磨かれたのかも。
表面には目立つ傷はないのですが,最後面には点状のコーティングはげ(?)
が多数あります。
>アサヒカメラ増刊号での検査記事を見ると、0.15ミリのオーバーコレクション
>マイナス側の膨らみは F2.8 の部分で 0.1ミリ。あとは、なだらかに落ちています。
>非点収差は 12度付近で交差して開いていくタイプとあります。
この,アサヒカメラ増刊号は具体的にはどの本でしょうか。
当時のゾナーはアンダーコレクションのものが多いようなので,
ニコンが独自の思想で改良したんだろうなあと思います。
>写真家の萩谷氏が、描写の評で、細い線が太く写るといってます。
>再研磨前の撮影結果からは、
>倍率色収差が割と大きく残っているレンズなのではないか、と思ってます。
>(同時代のコムラー80ミリ/1.8に較べると小さいですけど)
倍率色収差の大きさは私も感じています。
他の収差はあまり目立たなくて現代的な印象を受けました。
>> 発売は1948年 クラシックカメラレビュー#37によれば光学系は一度
>> 改良を受けてるらしい。
>ロトローニさんの本では、ニコンIが発売になった時に同時に発売になった
>5本のレンズの内の一本で、1964までの16年間、optical formula が unchanged、
>と紹介されています。曲率や硝材が替わっているんでしょうね。
先のクラシックカメラレビューの記事では,ニコンの元設計者がこのレンズの
改良を命じられたが難しい仕事だった,と述べているだけですが,製品に反映
されていないならこんな記事は書かないかな,と勝手に判断してます。
記事の内容では,レンズの構成は変えずにガラス材や曲率に対する各収差の微分
係数を解いて最適化した,とあったのでロトローニさんの本の記述に一致してる
とも考えられますね。
>別なレンズの例では、私はセロテープを貼っています。
>一枚余計に貼るかどうかで変化するので試行錯誤が必要かも。
>しかも、遠距離、中距離、近距離、色んな絞りで、なので、
>作業自体は面白いと思いました。
>(面倒でそんなことやってられないという人も勿論多いと思いますが、、、、)
セロテープは一度やってみました。スコッチの薄いのを2枚ほどでちょうどでした。
そこで,そのまま使っても良かったんですが,改造してしまいました。
調整箇所はよく分からなかったので,ツメの先にアラルダイト(溶剤の出ない,
2液混合エポキシボンド)を塗って,やすりで削りおとしながら調整しました。
その結果,無限遠から近距離まで,距離計,像面,距離指標がほぼ一致するように
なったので,喜んでます。
#作業は楽しめましたが,目が疲れました...
>> ただ,像はすこし黄緑に偏るように思います。
>当時の高級レンズの宿痾でしょう。
気泡が入ってるのも然り,ですね。
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日浦 亮太
三菱重工業(株) 高砂研究所 機器・自動化装置研究室
Ryota HIURA
Machinery Labo, Takasago R&D center,
Mitsubishi Heavy Industries, LTD. Japan
email to hiura@trdc.mhi.co.jp