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[nikomat:04053] Re: Split Prism



ひうら@きょうだい#やっぱりばれていた です。

#自分のマシンの X-window が上がらなくなっちゃって遅れました。

> 日浦さん@京大がfjに投稿した、球面収差が大きいレンズのピンを
> スプリットプリズムで合わすとき、目の位置がスプリットの合致に影
> 響を与える(=ピンぼけになる)、という説ですが、
> Σの28−70/2.8@70mm+F2 Lスクリーンで確認しました。

でしょおーー ^^;; まあ、ピンぼけも問題ですけれど、この球面収差量
を確認した瞬間の落胆は大きいですね。はっきり言って、「こんなんで
まともに写るかい!」ってレンズを放り投げたくなります。

で、だいたい「このズームってテレで甘いんよな」っていう感覚と一致
してます。私の場合。
でも逆に「1段絞るって大きいんだなあ」とも実感します。

> これが、馬込さんが書いておられた、高倍率ファインダーで視度をず
> らすとスプリットがずれる、に関係があるのでしょうか(視度をずら
> すときに目の位置がずれたとか)?

ううむ・・この現象は目を横にずらさないと発生しませんからね。
でもスプリットのやや横の方とかならずれるかも。

> #この記事、MLにも載せませんか−>日浦さん

了解。というわけでこちらにも。

===================================
ひうらです。

>> ふと気付いたのですが。収差のあるレンズを使った場合は、
>> ファインダを覗く角度(位置)をずらすとピントがずれたように見える?
>> スプリットの片方は光軸に近い方を、もう一方は遠い方を見るから。

あります。特に、ズームレンズなどで大きく発生します。目を左右に動かして
いくと、フウッと陰りが発生しますが、その直前に、エッジがぐぐっと移動します。

「うそー」って思う人は一度手持ちのズームレンズ+MFカメラで試して見てくだ
さい。で、もしも全域で発生しないようなら教えてください。球面収差がフルコ
レクションだということです。買うかも。

F値が 2.8 - 4.5 ぐらいのレンズで、手っ取り早く球面収差をチェックする方法
として有効です。中古レンズを買う時などにどうぞ。やったことはありませんが、
十字線スクリーン+Nikon F3 のウェストレベルなどを用いれば、かなり広範囲の
球面収差をチェックできるかもしれません。

#一度(レンズメーカー製の)古い MF 35-70mm/F2.8 ぐらいのズームレンズを買
#おうとして、これに気付きやめたことがあります。明るさ優先の設計で、無理
#があったのかも。でもズームレンズは開放の像にこだわるもんじゃないですね。

あと、縦色収差(軸上色収差)があると、スプリット上の白黒の縁に色が見え
たりすることがありますね。
===================================

> コレに関連した質問をひとつ。
> ”球面収差があるレンズのピントって何だろうか?”

これは問題ですね。いわゆる「最良像面」の問題か。理論的なもの
(たとえば分散が最小とか)と、感性的な最良とはちがいますからね。 

> スプリットプリズムってF5.6の光束でピンを出すわけですよね。で、
> 例えば下のような球面収差のレンズを仮定します。
> 
>           0
>      *     F1.4
>         * |
>       *   |     F2
>        *  |
>         * |     F2.8
>          *|
>           *     F4
>           *
>           *     F5.6 ←スプリットプリズムが示すピント位置
>           *

フルコレクション (full correction) というヤツですね。

> このレンズをF1.4で使うとき、スプリットで合わせるとF1.4,F4,F5.6
> の光束に対してはピンが出ます。でも、F2,2,8あたりは外れますよね。

まったくですね。

> フィルムの上に出来る像は、F1.4〜∞の光束の積分ですから、ベスト
> のピント位置は図の0の位置(=スプリットプリズムが示すベストの
> 位置)より左側にずれると思います。これが、
> 
>        (ズレの量)<(F1.4の焦点深度)
> 
> ならいいんでしょうが、>だとスプリットで合わせるとピンぼけにな
> るということですよね?

ですね。レンズの光束は1段ごとに倍、倍で増えていきますから、1段
開けるごとにいままでと同じだけの光が増えるわけです。要は光軸から
F2 までの光の総和と、F2 から F1.4 までの光量の総和は等しいわけで
す。

ということで、上のフルコレクションの場合だと最良像面はやや左に
(レンズ側に)ずれると思われますが、これはやわらかいフレア性の
像になって、いわゆるピントの芯の感覚は結構ぴったしくるんじゃな
いかというふうに想像してます。というか、ここからピントをずらし
ていくと、この最外周 F1.4 の光束のフレアがブワッと広がってきて、
ああピントがずれてるなって感じがするのではないかなあ?というわ
けです。

フルコレクションのレンズで、マットでピントを合わせると、絞って
も移動がすくないと言われるゆえんでしょうか。でも厳密にはやや
オーバーコレクション(後述)のほうがぴったりくるでしょうね。

> コレが正しければ、仮に完全補正型だとしても球面収差の膨らみの大
> きいレンズ(例えば大口径レンズ)を絞りを開けて使うとき、スプリ
> ットで合わせてはいけない、という結論になります。
> 
> #85/1.4開放はマット面でピンを合わせろ、というのはこの事か。
> #スプリットの精度(感度?)だけの問題じゃないわけね。

まあぜいたくを言えば、実際に使う絞りの像を拡大して、一番意図に
あった(合わせたいところにピントが合っている、とか)ピント位置
を探す、ということになるのでしょう。見えるか見えないかは別と
して。

> 逆に、絞って使うときにマットで合わせると(自動絞りでいつも開放
> の像を見ているから)ピンが外れるということになりますけど、焦点
> 深度が深くなるからOKなのね。

上の例では、開放で合わせて、F2 で撮影すると一番悲劇的結果を生むの
でしょうね。いわゆる「絞り込みによるピント移動」。

よく引き合いに出す Planar 85mm/F1.4 は球面収差が大きいと思うのです
が(マットで合わせようとしても、ソフトレンズみたいにピント位置で葛
藤してしまう)では、前ピン傾向になりやすいと思うのです。
どう?このあたりが、原因だよね。 -> 亮太。

実際は F2 でもピン出しは困難でないと思われるので、絞って合わせる
ほうがよいのかもしれませんね。

>        -  0  +
>        | *     F1.4
>           *
>         * |     F2
>        *  |
>         * |     F2.8
>          *|
>           *     F4
>           *
>           *     F5.6 ←スプリットプリズムが示すピント位置
>           *
> 
> こういう特性をF1.4で使うときは、全ての光束のピンを積分するから
> +−で0になるのでスプリットで合わせりゃ良いかというと・・・・。
> こんどは、前ピンの像と後ピンの像を足し合わせることになるから0
> にはならないんでしょうね。

オーバーコレクションですね。開放の最良像面と絞ったときのピント位置
が一致している、という。

>        -  0  +
>     *    |     F1.4
>        *  |
>         * |     F2
>          *|
>           *     F2.8
>           *
>           *     F4
>           *
>           *     F5.6 ←スプリットプリズムが示すピント位置
>           *
> 
> この場合にスプリットで合わせると、F1.4〜2.8は前ピン、F2.8〜∞
> はジャストのピントになります。その結果、F2.8〜∞の光束がシャー
> プな、芯となる像を作り、F1.4〜2.8の光束がボケた像をF2.8〜∞の
> 像のまわりに作ることになります。

と、一般には言われているんですが、光量のことを考えると、F1.4-2.8
ですでに全体の 75% ですので、どんなもんかなあ?と思うのです。芯
が出来るというのは間違いない(25% が一点に集中し、あとの 75% は
分散が大きいので、フワッとする)でしょうが。

> #軟らかいけど、芯があるヲタク好みの描写・・・

ソフトレンズではこの手のアンダーコレクションが多いようですね。

・・私が考えるに、この球面収差曲線が「垂直」になっているところで
(強かれ弱かれ)芯が出来ると思うのです。というのは、このアンダー
コレクションのやつでは、上記のように芯ができますが、最初のフル
コレクションのやつでは、F2の当りで一度球面収差曲線が垂直になる
ので、ここに像面を持っていけば、この当りの光束はみんなこの一点に
集中する。そのほかの光、外側の光束はフレアを生むし、光軸に近い側
の光束はどのみちあまり大きなボケを生まないので、芯が出来るのでは
ないか、と。

で、絞ったときと、F2付近とで、最良像面が全然違うわけです。


> ここまで、考えてきて、はたと思い当たったんですけど、
> もし、芯になる像(F5.6〜∞の像)をボケた像が取り囲むのをよ
> しとするなら、いつでもスプリットで合わせて良いような気がす
> るんですが・・・・。

問題なのはここです。「本当に芯になるのは中心光束か?」
このあたりは光の集中性が高いですけれど、量そのものが少ないで
すからね。

で、私の考え:
「球面収差曲線が垂直な部分で芯が出来る。一般的な、折り返されて
いるタイプ(上のフルコレクションやオーバーコレクションのもの)
では、2個所にその可能性がある。アンダーコレクションでは芯が出来
るのは中心光束。」
「呆味は、F値の変化による円錐の頂角の変化と、それに伴う球面収差
量の変化によって変化するので、一概には決まらない。私が思うに、
下に向かって広がる曲線(上のフルコレクションの例の、F1.4-2 の間)
では、円錐の頂角の減少にしたがってボケ量が増えるので、一定の半径
の円周上に光が集中しやすく、2線ボケになりやすいのでは?(絵がな
いと難しいなあ)。」

> #はて、人の目がマット面で合わせるときは、ホントに積分で合わせ
> #るのでしょうか、それとも、芯となる像がシャープになるときに合
> #焦と判断する(この場合はスプリットと合致)のでしょうか?

これは難しいですね。対象の周波数特性にも依存しそうです。
低周波だったら(分散最小の)最良像面に合わせそうだけど、細かい模様
だと芯を出さないとあった気にならない、とか。

#周波数特性から言えば、最良像面は中間周波数のゲインが高く、芯の
#ある画像は高周波部分重視といえるでしょう。

結局「感性工学」ですよ。たぶん。