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[nikomat:11062] [OTF2]



OTF 講座(2回)

<始めに>
1回目はオーディオや制御のファンには当たり前すぎますが、これを光学に平行移動
すれば良いのですから、簡単でしょう?

#と、用意して置いたのですが、じゃんじゃん進めないと、書くことなくなりそう!
#実は、まだそれほど困ってはいませんが、いきなり難しい話に入ると読んでもらえ
#ないかと心配しています。
#よって、難しそうなことや、質問は[OTF Q&A] でやりましょう。
#両者が欲求不満にならないためにも、講座ははじめちょろちょろでスタートして、
質問は何でもOKのスタイルでいきましょう。
  
 <(2)電気から光学へ です>
「電気の周波数は光に比べてだいぶ低いため、簡単に振幅が観察できます。
たとえばオシロスコープで電気信号を見ちゃうわけです。」
と前回に書きましたが、光ではどうでしょうか?  直接的には光の周波数に追いつく
ディテクタやアンプはなく、見れません。(ではどうやってみるか?  #2)
ですから、ゲインについてちょっと考え方が違います。  また周波数の定義も異なり
ます。  まず、そこの理解が必要です。(重要!)

電気はオシロでわかるように横軸は時間です。よって周波数と言うと、単位時間に
どの位振動しているかです。 単位は[Helz]ですね。

光(と書いたので誤解が生じたのが、今わかりました。結像と書けばよかった)では
なくて、結像系の周波数に対応するのが、「空間周波数」です。  これは通常、
[本/mm]が単位です。
10本/mmとは、1mmに10本のsin波状に明るさの変化する縞があることです。
(定義としては、sin波状の縞です)TVの世界ではラインペアなんて言うこともあり
ますが、[本/mm]が世の中の標準です。

電気は時間に対して1次元ですし、時間は逆行しないので+のみ、よって、ラプラス
変換を基礎に使いますね。でも、写真は見ての通り、2次元でしかもレンズの中心を
原点に上下左右のプラスマイナスですから、基礎にフーリエ変換を使います。
(こりは難しい!)

で、電気は振幅がどのように変化したかでゲインが決まりましたが、それに代わるもの
としてコントラスト(日本語訳は可視度)を使います。
結像は強度しか観察されないので、コントラスト1のsin波状の物体が結像後にどうな
ったか?
ところで、コントラストの定義は、以下です。
      γ=(max-min)/(max+min)
さらに、結像によって、sin波状の像が、本来結像される位置からずれたその量が位相
になります。単位は [radian] になります。
ずれた量をΔ、空間周波数をfとすれば、位相Pは、
      P=2πfΔ
になります。  たとえば、2本/mmの空間周波数の縞が0.5mmずれれば、
P=2πx2x0.5=2π  で、周期性からずれていないのと同じ事です。

さあ、一気に行くぞ〜〜!

このγの入力に対する出力をMTF(Modulation Transfer Function)、位相の変化を
PTF(Phase Transfer Function)といい、OTFはそれを合成したものです。
よって、MTF=γ出力/γ入力  です。

つまり、その系でどのくらいコントラストが劣化するかの指標になります。これが、
周波数によって違い、プロットしたのがMTFカーブです。

次回に電気と結像のアナロジーについて述べます。

ところで、前回の入力がsinなら出力もsinはなぜか?
  これは系の線形性があるかどうかに掛かっています。sin関数は線形微分方程式
の解ですから、線形系で成り立ちます。 sin波が歪むアンプはもう線形ではありま
せん。たとえば、電源電圧より増幅したりすると簡単に歪みます。
  光は、線形か?  強度についてやはり弱い内は線形です。よって、レンズをとおる
光が2倍になれば像の明るさ(強度)も2倍ですよね。でもどんどんやっていくとその
うち非線形効果がでてきて、もっとも簡単なのはレンズが溶けりゃ、もう非線形です。
#相反則不軌を思い浮かべた人もいることでしょう。
#あれは、光と感光体の非線形ですね。

#つい、長文堂の長文道を身につけてしまった。
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    馬込 伸貴 ∈ (株)ニコン 精機・開発推進室(大井です)
             magome@nikongw.nikon.co.jp ,  IFOS = nba3194
                          phone 03-3773-1892, fax.03-3775-9042