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[nikomat 1113] Re: [Nikon][TC-16AS] TC-16AS,etc



ひうら@きょうだいです。

日浦@MHI:
> ちょっと考えてみたんですが,理想的なレンズですと,
> (1)マスターレンズが無限遠位置で,無限遠の物体に合焦している
> (2)マスターレンズを繰り出して近距離の物体に合焦している
> 
> の二つの条件で,TC16AS+カメラのほうから見て光学的に区別が
> つかないような気がします。
> (フィルム面に向かって収束している光,という点ではまったく同じで,
> その収束する焦点の位置を前後にずらすだけと思います。)

うーむ、確かに。鋭いなぁ。

理想的なレンズは、被写体の遠近等に関係なく、点光源から出た
光を、フィルム面を頂点とする円錐状の収束へと屈折する・・
ちゅうわけですな。で、テレコンは、この円錐の頂点の位置を
自分の厚み分だけ後ろにずらして、かつ間隔を広げる作用を
するわけですからね。

あと問題になるのは、射出瞳位置ですが、これはレンズによって
ある程度ばらつきはあるし。

そういう考え方でいけば、「せっかくのマクロレンズでも無限遠固定
で使わないといけないんだから、無意味」と残念がる理由はないという
ことになりますね。

> 射出瞳の位置が変わり,収差も変化するでしょうが,マスターレンズの
> 収差をテレコン側で打ち消すようなことを考えていない限りは関係
> ないような気がします。

そういうことが出来るんなら、最初からもっと高度な収差補正が
出来るということにもなるしね。このテレコンは汎用性を持たせた
設定だし、よしださんが前に書いておられたように、
いろいろ構造的制限があるので、そこまでやってなさそう。

> また,「マスターレンズを近距離側に設定することで さらに近接
> 撮影を行うこともできますが、像は悪化します」のくだりは

画質が悪化することがある、という表現だったと・・
また確認のうえメールします。

どっちにしても、そもそも(無限遠時でも)そんなに良くない
ということはありそうなので、あまりこだわっても仕方ないのかも。
要はマスターレンズ依存ということか。

よしださん:
>  > 現実にはレンズを繰り出したときに収差が増えていることが多い
>  > でしょうから,それをテレコンで引き伸ばすよりは,テレコン側で
>  > ピントを移動させたほうが収差の増加が抑えられるということが
>  > あるのかも知れないなと思います。
> 
> そういう設計もできるかも知れませんね。可能性としては。
> ただ、そういう設計は 面白い かも知れないけど、基本的には不利だ
> と言いたかった(から やってないだろうなぁ)だけです。

設計の問題ではなく、条件の問題ですね。

マスターレンズの近接時収差が、テレコンのそれより大きいかどうか
という条件の問題です。

どのようなレンズに対しても、常にテレコンで繰り出した方が
マスターレンズのフォーカシングより高性能という条件を満す
設計、清造が(許されるコストの制限のなかで)可能かどうかと
いうと、よしださんのおっしゃるとおり不可能でしょう。

# 基本的に不利というのはそういう意味ですね。

しかし、それならば逆に、テレコンの移動による収差変動の方が、
マスターレンズのフォーカシングによる収差変動より大きいことが
有り得るわけで、つまるところ「収差変動の少ないレンズ(マクロ
レンズ等)では、近接撮影時を含め、極力マスターレンズで繰り出し、
残差分をテレコンで繰り出した方が良い結果が得られる」ということを
意味します。

・・つまり、テレコン側の動きが小さくなるようにマスターレンズを
調整することが否定されません。(テレコンの出来が悪いほど
マスターレンズに動いてもらった方がいいということになる)

TC-16AS の説明は、「マスターレンズの繰り出しと、テレコンの駆動を
併用するとどうなるかわからん」ということであって、テレコンが
無限遠付近になるようにマスターレンズを触って調整すると
常に像が悪化するとは書いてありません。

>  > また,「マスターレンズを近距離側に設定することで さらに近接
>  > 撮影を行うこともできますが、像は悪化します」のくだりは
>  > 「繰り出してピントを合わせるよりTC-16ASでピントをずらしたほうが
>  > 収差の増加がおさえられるんだぞい(へへんっ!)」っていう風に
>  > 読めるのではないかと。
> 
> それも 無いでしょう。

これは、解釈がちょっとおかしいわけですね。
両者を組み合わせてさらに寄った場合のことを書いてあるだけで、
「テレコンで繰り出した方が、マスターレンズで繰り出すより
像がいい」とは書いてないので。

近接物体に関しては、テレコンに対してレンズを繰り出そうが、
繰り出そまいが、収差が発生するのは同じだし。

------
というわけで、「テレコンを組み合わせるとさらに寄れる、という
使い方については保証しないよ」ということでありまして、
(使い勝手の上ではレンズを無限遠に固定していた方がいいという
意味で、そうしろと書いてあるだけで)像の良さの意味では、
(特に近接時に収差が改善されるタイプのレンズでは)
マスターレンズで繰り出した方がいいということは理論的に
正しいと思われます。

テレコンが無限遠を基準に設計されていると仮定すると、
普通のレンズでもテレコンが楽を出来る分だけ、同じことでしょう。

例えば、「近距離補正方式」のレンズというものは、レンズの
フォーカスリング位置が無限遠の時、近接した平面の像の素性が悪い
(曲がってるとか、非点収差があるとか)ということを意味しています。
(だから、わざわざ複数群に分けて補正するわけです。)

しかし、近距離補正方式のレンズを、無限遠のまま用いて、
近接撮影時はテレコンの移動でカバーする・・ということは、
この「素性の悪い」近接面の像を、なんとか こねくり回して 
使おうということになるわけです。

で、こういうテレコンによる補正が、マスターレンズの
近距離補正方式の効果より常に高いなんてことはありえない。

なぜなら、近接時の収差変動はレンズ固有のものだから。

つまり、「近距離補正方式のレンズは、マスターレンズで
くりだしたほうが良い」ということになります。

つまるところ、テレコンが移動して発生する収差の増加は
ある程度予想がつくので、一定レベルの性能は保証が出来るが、
マスターレンズの繰り出しにより発生する収差はどれぐらいか
分からないので、マスターレンズによりフォーカシングするより
テレコンでフォーカシングしたほうが「性能の悪いレンズに
対しても性能保証しやすい」といった程度の話ではないかと
思います。

つまり、そもそも素性の良いレンズについてはなにも説明
していないことになる。本質的に、そういうレンズには、
近接時にも最大限の仕事をして頂くのがよろしいでしょう。

場合によってはあるでしょう。

> 方式としては そうですが、状況が違うので 収差改善の点(効果)からは
> リヤフォーカスレンズの効果とは 別物ですね。

そりゃそうですね。
それは、弟も分かってると思います。

話は変りますが、リアフォーカス方式を採用している CONTAX AX 
では、近接補正方式やズームレンズでは極力マスターレンズで
繰り出し、本体は基準位置付近で使うように説明されているそうです。
当たり前と言ったら当たり前ですが・・