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[nikomat 9005] Re: suspention
日浦です.
もういいと思うんですが,・・
せっかく書いておられるので,
> よしだ@ちゃんと 書いているジャン! です。
>
> 週末は 家からでしたので 自分が書いたメールを読めませんでした。
>
> > 下図は、加速のとき(重心移動だけなら リアは沈む)に アンチ
> > スクワット効果により リアに 生じる力(リアを持ち上げる力)
> > を矢印で 現したものです。
> >
> > ↑
> > ○ C
> > A ○→
> > |
> > |
> > B +
>
> ね!
>
> 「全体の挙動」でなくあくまで、「アンチスクワット効果が 引き
> 起こす力」だけを書いているのよ。
はい,最初からこの説明の部分は合ってると認識してます.
反論したのは,後の説明で,リアでブレーキしたときのモーメントの
計算方法がおかしいということですね(車全体に沈もうとする力が
働いているかのような説明).
#私の論点は「車自身は路面に押しつけられることはない」です.
#よしださんの以前の説明では,リアブレーキだと,リアの接地点
#と車の重心の位置関係から,重心が沈もうとするモーメントが働き
#車全体が沈むというふうに読める説明でした.
#車全体の荷重が増えているから沈むのではなく,単にジオメトリに
#よる「自動車内での内力」で車の形(=サスのストローク)が変形
#するというだけのことです.
それと,アンチスクワットとアンチリフトは「まったく反対方向に
力が働く逆の現象」ではありませんよね.
#よしださんが上で書いたように,加速時はハブの所に前向きに力が
#かかるので「垂れ角」がないとアンチスクワット効果がないですが,
#ブレーキング時は(ブレーキがバネ下に付いている場合)ハブが
#固定されるので,垂れ角がなくてもアンチリフト効果があります.
#インボードブレーキなどだと,ブレーキングのトルクが車全体を
#前転方向に回転させようとするから車は余計リフトします.
> # だから ここでは あえて 車重(アンチスクワットにより発生する
> # 力ではないから)を 入れなくて、いいんでは?
そうっす.だからおっしゃるとおり,車重はどこにあろうと無関係で,
(よしださんの以前の説明では,重心が路面より上にあるから,車全体に
右回りのモーメントが働き,サスのピボットが路面に押しつけられるとの
主張でしたが)トレーリングの付け根に前向きの力(車の慣性力)がかかり,
路面に後ろ向きの力(制動力)がかかりさえすればアームは沈み方向に
回ろうとするんですね.
いやらしいようですが,以前のメールを引用するので
読んでみてください.以下の説明で,「上記の図」は,上の図です.
引用記号が * になっているところが特に問題となる部分です.
わたしが「おかしい」として反論したのが理解いただけるのではと
思います.論点が違うからすれ違っているだけではないと思います.
> <お話3>
> 上記の図を B点中心に 考えてみます。
> B点中心に考えると、、、
* 「トレーリングアーム というのは、減速による力を、車重と合成
* して上向きに変える」ための リンク機構 と 言えるでしょう。
>
> まず 前輪だけで減速した場合、接地点よりも 重心Gのほうが 上です
> ので、Aはリフトしようとします。この力の源は、減速に伴う、前輪の
> 接地点を中心とする瞬間中心周りのモメントですから、点Aには、やはり
> 前輪の接地点周りに 上(上手だと 真上より ちょびっと 右)に リフト
> しようとする力:FPが 加わります。
>
> そのため、前輪だけで減速した場合だと、B点には、Aから受ける「FO
> − FP」が掛かります。
> この結果、外から見ると、前が沈んで、うしろが 持ち上がったような
> ピッチング・モーションが 観測されます。
>
* 今度は リアだけで 制動しましょう。
* 今度は「重心Gの B点周りのモメント:MB」が 発生し、点C には
* MBから 発生した力で 下方(上図では 真下より ちょびっと 右側)
* へ 押し付けられます。
>
> # このとき、同時に、前輪も MBにより 力FF を 受けて 沈み込みます。
>
> ところで、A の上には バネが あり、その上端は Cと 同一構造物で
> すので、C に掛かった力は ばねを 解して Aに 伝わります。この力を
> FC’ と しましょう。
>
> つまり、Bには、「F0+FC’」が 掛かります。
>
> 結果的に、 外から見ると、前輪も後輪も 沈んだように見えます。
> どっちに ピッチングするかは、FF と F0+FC’ の 大きさの
> 比で 決まる(現実の車両では ダンパーもあるし)ため、一概には
> 言えません。
>
> と、いうことで、B点中心に考えると、
> 「力の変化が あるから 姿勢が変わる」
> ということになります。
>
> # つまり、姿勢変化 と タイヤの面圧変化は 同時に起こっているのです。
この説明に反例を挙げることでまとめとします.
このトレーリングアームを持つ,モノレールを考えます.
以前の説明では
D→
==---------------+-------------+------ 前輪へ
$ |
$ |
$ |
A ○---------------○C→ A:ハブベアリング
| B:接地面
| C:アーム取りつけ点
←B+ D:重心
という図を使いましたが,このかわりに
==---------------+-------------+--------------+--前輪へ
$ | | |
$ | |
$ | |
A ○---------------○C→ |
| |
| |
----- ←B○------路面(レール)------ | --------
|
|
|
|
+D→(重心)
というような図で考えてみます.
上の理論を適用すると,この場合,BとD(重心)の位置関係から,
Bを中心とする半時計周りのモーメントが発生して,Cが持ち上げられる
ということになります.
実際にはDにかかる慣性力によってCには同様に(この図の→のように)
力が働き,アームにアンチリフトのモーメント(つまり沈もうとする力)
が発生します.
重心と路面の位置関係から,モノレール全体には重心回り半時計周りの
モーメントが働くので,減速時にはリアの荷重が増加し,リアが沈もうと
します.そういうことで,リアサスは沈もうとする力が合わさり,かなり
沈むはずです.
こういう設計はまずいので,この場合ではリアサスはリーディング形式
であるべきでしょうね.
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ちなみにドラムブレーキの「リーディングシュー」というものがありますが,
これはよく言われるようにセルフサーボ効果(ブレーキ力がよりシューを
ドラムに押しつけようとする)があります.
これは,車でいえば荷重が増加するのに相当するではないか・・という反論
がありそうですが,これは
A○----------------------------+
| | A:アーム支点
←+−−−−−−−−+ | C:ワイア取りつけ点
C | | B:シュー接触点
ドラム面----←○---------====--
B
のように,シューの支点Aとドラム面(Bの乗った水平面)との距離が
固定されているため,アームに働く時計回りのモーメントが結果的に
シューの接触面(B)に働くことになりセルフサーボ効果が生まれます.
車の場合,サスが伸びようとしても車を押し上げるだけで,踏面には
力が働かないのでこの場合とは違うわけです.
では
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日浦 慎作 Shinsaku HIURA
大阪大学大学院 基礎工学研究科
システム人間系専攻 システム科学分野
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